日本語版Highlights
Volume 35, Issue 1 (2025)
Volume 35, Issue 1 (January 2025)
Special Article
Methodological Tutorial Series for Epidemiological Studies:Confounder Selection and Sensitivity Analyses to Unmeasured Confounding From Epidemiological and Statistical Perspectives(交絡因子の選択と未測定交絡に対する感度分析:疫学および統計学の視点から)
- 観察研究では、交絡因子をしっかりと同定し調整することが曝露の因果効果を正確に推定するために重要である。
- 本レビューでは、疫学および統計学の視点から交絡因子を選択する原則・アプローチについて網羅的に紹介した。
- また、重要な交絡因子を十分に測定することが困難な場合に有用な感度分析(E-value, Robustness Value)について紹介した。
- これらの原則とアプローチを統合することで、観察研究における交絡因子の選択と対応への理解が深まり、将来の疫学研究に役立つことが期待される。
- 連続変数である曝露と二値変数であるアウトカムで、多くの操作変数が利用できる状況において、いくつかの操作変数法を比較検討した。
- これらの手法に伴うバイアスに、完全に対処することはできなかった。
- 主要分析と感度分析で異なる操作変数法を使うなど、複数の操作変数法を用いることが有用と考えられる。
- 疾病特異的死亡率を疾病発生(媒介変数)と死亡率(結果変数)に分けることで、HCVの自然経過を特徴づけた。
- 3つの肝疾患(例:肝硬変、肝癌)と9つの非肝疾患(例:敗血症、腎疾患、内分泌疾患、高血圧)がHCVによる死亡率を媒介することを特定し、それらの相対的な寄与を表す媒介割合を算出した。
- 直接作用型抗ウイルス剤へのアクセスが限られている発展途上国において、特定の疾病(肝疾患を除く)のスクリーニングを行うことで、HCV感染者の死亡を減らすための保健政策に役立つ可能性がある。
- 所得と大腸がんリスクとの関連は国によって異なる。
- 大腸がんのハイリスク集団である2型糖尿病患者において、大腸がんリスクにおける所得動態の役割は不明である。
- 低所得状態が5年以上継続したまたは所得減少を経験した2型糖尿病患者は、大腸がんリスクの増加を示した。
- 逆に、高所得状態が5年以上継続した2型糖尿病患者は、大腸がんのリスクが低いという関連があった。
- 日本の地域在住高齢者における代謝物のパターンと認知機能低下との関連を検討した。
- アミノ酸を有することは認知機能が良好である方向に関連していたが、ケトン体を有することは認知機能の低下と関連していた。
- メタボロームをモニタリングすることは、将来の認知機能低下を予測・予防するのに有用である可能性がある。
- がん検診および健康診査の自己申告受診歴をがん検診・健康診査の自治体の記録と照合し、その信頼性を検討した。
- 大腸がん、胃がん、乳がん、子宮頸がんのがん検診の自己申告受診歴は中程度の信頼性であった。
- 肺がん検診では受診記録のある者で受診したと申告する者の割合がやや低く、健康診査では受診記録のない者で受診したと申告する者の割合がやや高かった。
- がん検診および健康診査の自己申告受診歴を用いて、受診率などを算出する場合にはその解釈に注意が必要である。