日本語版Highlights
Volume 33, Issue 1-12 (2023)
Issue 12 (December 2023)
Issue 11 (November 2023)
Issue 10 (October 2023)
Issue 9 (September 2023)
Issue 8 (August 2023)
Issue 7 (July 2023)
Issue 6 (June 2023)
Issue 5 (May 2023)
Issue 4 (April 2023)
Issue 3 (March 2023)
Issue 2 (February 2023)
Issue 1 (January 2023)
Volume 33, Issue 12 (December 2023)
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ピッツバーグ睡眠質問票を用いて評価した日本人高齢者の睡眠障害の有症率は48.7%であった。
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睡眠時間が長いおよび短い者で睡眠障害を有する者は総死亡リスクと強く正の関連を示した。
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睡眠時間と死亡リスクはU字型の関連があり、1日当たり約420分の睡眠時間が最も死亡リスクが低いことを示した。
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ピッツバーグ睡眠質問票の得点が0点を基準にした際に、ピッツバーグ睡眠質問票の得点が5点まではほぼ横ばいだが、その後は用量反応依存的に総死亡リスクとの間に正の強い対数線形関係にあることを明らかにした。
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地震被災者は様々な精神衛生上の問題を抱えやすい。
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2016年,韓国の蔚山近郊でマグニチュード5.0と5.8の2つの地震が発生した。
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これらの地震後の処方薬の変化について検討した。
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これらの地震は、抗うつ薬の処方の増加と関連していた。
特に21~40歳の男性において抗うつ薬処方の増加が最も著しかった。
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東日本大震災前後の過剰飲酒者(純アルコール量 ≧44gの飲酒)の割合および、飲酒習慣の変化と高血圧発症との関連についてハザード比を算出した。
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女性および60歳以上の過剰飲酒者の割合は、福島県のすべての地域で震災後に増加した。
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男性では、飲酒習慣の変化にかかわらず、過剰飲酒者で高血圧発症のリスクは有意に高かった。
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女性では、震災後のリスクのある飲酒者(純アルコール量 ≧22gの飲酒)および過剰飲酒者において、高血圧発症のリスクが有意に高かった。
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かかりつけ薬剤師による調剤は、かかりつけ薬剤師以外による調剤に比べ、重複投与や薬物相互作用を防ぐ目的で行われる処方変更が発生する可能性が1.37倍高かった。
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高齢であること及びポリファーマシーであることは、処方変更の発生可能性を高める要因であった。
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かかりつけ薬剤師による調剤は、過剰な投薬や相互作用を防ぐ可能性のある処方変更に関連することが示された。
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がんリスクに対する安全な飲酒量の上限は見つからなかった。
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アルコールは軽度の摂取でも、口唇、口腔・咽頭、食道、大腸、喉頭、胃、胆嚢・胆道のがんリスクを増加させる。
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重度のアルコール摂取は、肝臓がん、膵臓がん、肺がんのリスクと有意に関連していた。
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重度のアルコール摂取を低減することはがん予防効果を示した。
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軌跡分析は飲酒の分類に有用なアプローチである。
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NDBから得られた2009年4月から2016年10月の診療報酬請求情報を用いて、骨粗鬆症患者は男女含め7,958,655人が特定された。
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大腿骨骨幹部骨折は22,604人に生じ、10万人年あたりの発生率は70.7件だった。
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共変量調整Poisson回帰の結果、ビスフォスフォネート製剤、選択的エストロゲン受容体修飾剤、エストロゲン、カルシトニン、デノスマブのいずれも、非服用に比べ、有意なリスク増加はみられなかった。
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アレンドロネート単剤の非服用に対する共変量調整発生率比は、1.18(95%信頼区間1.14~1.22)だった。
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原著論文を特定するために、革新的な方法論を用いた。
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その結果、現在喫煙者、過去喫煙者、喫煙経験者にそれぞれ7%、8%、9%の乳がんリスクの増加が認められた。
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喫煙と乳がんリスクの間には、有意な喫煙量・喫煙期間依存の関係がある。
Volume 33, Issue 11 (November 2023)
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夕食エネルギー比が高いこと及び低いことは高血圧有病と独立して関連している。
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食事中のナトリウム/カリウム比が高いことは高血圧と独立して関連している。
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夕食エネルギー比と食事中のナトリウム/カリウム比は高血圧リスクと交互作用を示す。
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事業用トラック運転者に対して呼気アルコール検査が導入された2011年前後の事業用トラック運転者による飲酒運転事故の傾向を調べた。
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2001年から2012年までの事業用トラック運転者による飲酒運転事故の年間変化率は–13.5%であった。
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その後は、2011 年に呼気アルコール検査が導入されたにもかかわらず、飲酒運転事故に減少傾向は見られなかった。
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日本人男女を対象に、睡眠時間及び昼寝の有無が2型糖尿病の発症リスクと関連するか否かを調査した。
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長時間睡眠(≥10時間)と昼寝は、非肥満者(BMI<25kg/m2)において、2型糖尿病発症リスクの上昇と関連した。
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2型糖尿病の発症リスクは、長時間睡眠かつ昼寝有りの群で、通常の睡眠時間かつ昼寝無しの群と比べ約2.5倍高かった。
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2018年に偽性副甲状腺機能低下症および非術後性副甲状腺機能低下症に関する全国調査を実施した。調査期間は2017年1月1日から12月31日の1年間とした。
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この結果、本邦における10万人あたりの有病率は偽性副甲状腺機能低下症1.2人、非術後性副甲状腺機能低下症1.8人と推定された。
- 1997年に施行された同様の調査と比較し、偽性副甲状腺機能低下症および非術後性副甲状腺機能低下症とも有病率は高く算出された。
- 本研究は余暇身体活動および家事身体活動と全死因死亡率との関連を検討することを目的とした。
- 本研究の対象集団は、台湾を代表する調査である台湾の加齢に関する縦断調査に基づく。
- 余暇身体活動が充足している中高年者は死亡リスクが低い関連性を示した。
- 余暇身体活動が不足している場合、家事身体活動を追加することで死亡リスクが低くなる関連性を示した。
- 本研究は、余暇身体活動が不足している場合の家事身体活動と死亡率の関連性を示した最初の研究である。
- このプール解析には、日本の住民を対象とした10個の前向きコホート研究が含まれている。
- 男性の膀胱がん発症リスクは、パックイヤーが増えるに従い直線的に増大した。
- 禁煙年数が増加するに従い、有意な用量反応傾向をもって、男性の膀胱がんリスクは減少した。
- 10年以上禁煙した過去喫煙者は、非喫煙者と比較して、有意な膀胱がんリスクの増大は認めなかった。
Volume 33, Issue 10 (October 2023)
- 妊婦の継続的な能動喫煙は、出生した児の1歳までの下気道炎および胃腸炎の発症リスク上昇と関連していた。
- 非受動喫煙環境において、母親の妊娠判明前、或いは判明後の禁煙と児の下気道炎の発症リスクとの関連は認められなかった。
- 妊娠中の受動喫煙は,小児の中耳炎,上気道炎,下気道炎,胃腸炎の発症リスク上昇と関連していた。
- 欧米では妊娠中の喫煙により妊娠高血圧症候群のリスクが低下することが繰り返し報告されてきた。
- 全国出生コホート連合(JBiCC)計28,219人とエコチル調査のメタ解析から、妊娠中の喫煙(妊娠初期以降も継続)と妊娠高血圧症候群の関係のオッズ比(OR)は1.19[95%信頼区間(CI) 1.00-1.43, p=0.056]であった。また、1日の喫煙量が増えるとリスクは高まり、10本以上/日でOR1.27(95%CI 1.04-1.54)であった。
- 欧米で繰り返し報告されている喫煙による妊娠高血圧症候群の予防効果は、日本人には当てはまらない可能性がある。
Risk Ratio and Risk Difference Estimation in Case-cohort Studies (ケースコホート研究におけるリスク比とリスク差の推定)
- 2値アウトカムのケースコホート研究では、ロジスティック回帰モデルを用いた分析が広く行われているが、その結果として得られるオッズ比の推定値は、イベントの発生頻度が稀であるという仮定のもとでリスク比の近似になるということ以外の疫学的解釈ができない。
- 本研究では、ケースコホート研究におけるリスク比とリスク差の推定を行うための多変量解析の方法として、擬似ポアソン回帰分析・擬似正規線形回帰分析による方法を提案する。また、簡便なコマンドで実行することができるR (R Foundation for Statistical Computing, Vienna, Austria) による計算プログラムを示す。
- 米国におけるNational Wilms Tumor Studyのデータを用いた事例解析と、シミュレーション実験による評価を通して、提案する方法によって、リスク比とリスク差の正確な推定値が得られることが示された。
- 本研究で提案した擬似ポアソン回帰分析と擬似正規線形回帰分析による方法は、ケースコホート研究における疫学指標の正確な推定値を与えるための有用な方法となる。
- 1992-1994年に20〜39歳であった韓国の若年成人におけるベースラインBMIと脳心血管病発症との関連を、2002-2004年(中年期)に測定された代謝メディエーターの影響を考慮に入れながら検討した。
- 男女においてベースラインBMIと中年期における脳心血管病発症との間にリニアな関連を認めた。
- 若年成人における肥満と中年期の脳心血管病発症との関連の20-30%は、中年期における代謝指標の増悪によりもたらされており、残り70-80%が肥満の直接効果によるものと推測された。
- 地理的剥奪指標値が高い貧困地域において、男性の全部位と肺がん、女性の肺がんと子宮頸がん罹患率の有意な上昇を認めた。
- 進行がんの罹患率は、男女の全部位と肺、および男性の胃と大腸について貧困地域で有意に上昇していた。
- 検診で発見されたがんの割合は、男性の胃と大腸について貧困地域で有意に低下していた。
- 日本におけるがん対策として、貧困層へのたばこやHPV感染対策および早期受療を促す取り組みが必要である。
- Japan Coma Scale (JCS) をGlasgow Coma Scale (GCS)に換算する手法として妥当性を検証した報告はない。
- 本研究ではJCSからGCSへの換算表を開発した。
- この換算表は救急外来において妥当性を検証し、高い一致割合を示した。
- 本手法はJCSを用いた日本の臨床研究を世界に発信する際に利用可能と考えられる。
- 40-79歳の日本人男女を対象とした大規模で長期間のコホート研究によりビタミンKの摂取と肺がんの罹患リスクとの関連を分析した。
- ビタミンKの摂取量は肺がんの罹患リスクと負の関連を示し、摂取量の最小四分位と比べて最大四分位の多変量調整ハザード比(95%信頼区間)は0.67(0.46-0.96)であった。
- 上記の関連は男性や喫煙者においてより強く認められた。
Volume 33, Issue 9 (September 2023)
- これまでに加熱式たばこに関する医師の認知、態度、懸念に関する報告はほとんどない。
- 日本の医師の76.7%が加熱式たばこを認知しており、そのうち約半数が加熱式たばこの使用について患者に問診をしていた。
- 医師の喫煙状況や禁煙指導時間は患者に加熱式たばこ使用を勧めないことと関連があった。
- 加熱式たばこ使用経験のある医師は他の医師に比べて最も製品の長期的な安全性に関心がある一方、製品の規制には関心を示さない傾向があった。
- 2013年~2017年の日本産科婦人科学会の周産期データベースを用いた後方視的解析から、低出生体重児のうち正期産が占める割合は35.7%であった。
- 正期産における低出生体重児出生の関連因子を検討した結果、妊娠前やせ、妊娠中体重増加不良、喫煙が改善可能な因子として示された。
- 妊娠前女性ならびに妊婦の栄養状態の改善は、正期産における低出生体重児を減らすための対策として有効である可能性が考えられた。
Hobby Engagement and Risk of Disabling Dementia(趣味と要介護認知症の発症リスクとの関連)
- 趣味と介護保険情報より把握した認知症(要介護認知症)の発症リスクとの関連を検討した。
- 趣味を持つ人は、持たない人に比べて要介護認知症の発症リスクが低かった。
- 認知症の病型別に検討した結果、趣味は脳卒中既往のない認知症とは負の関連が認められたが、脳卒中既往のある認知症とは関連は認められなかった。
- 希望寿命は、人々が自分の寿命の延伸をどれだけ強く望むかを示すものである。
- 中高年の日本人約4万人を約25年間追跡したところ、希望寿命の短さが、全死因死亡、がんや自殺による死亡のリスク増加と有意に関連することが分かった。
- この関連性は、年齢、性別、結婚歴、教育歴、既往歴、健康状態とは独立していた。
- 希望寿命と全死因死亡リスクとの関連の30.4%が、喫煙、肥満、運動不足などの不健康な生活習慣によって媒介されていることが示された。
- 長生きしたくない人は、実際に短命だったという結果が得られた。
- 誰もが長生きを前向きに捉えられる社会を実現することが、寿命の延伸につながり、高齢社会の幸福を達成するために重要である。
- 植物性食品からの食生活のシフトが急速に進んでいる中国における、食事パターンと胆石の関連を調査した初めての研究である。
- 89,544人(平均年齢51.6歳、女性60.1%)を対象とした。胆石の有病率は7.5%であった。
- 代替地中海式食事スコアと、確認された3つの食事パターン(現代的な食事パターン、粗粒穀物(トウモロコシなど)の食事パターン、米の食事パターン)について胆石リスクとの関連を検討した。
- 米の食事パターンの遵守度が高いほど、胆石のリスクが低いことが示された。
- 小中学生の親を対象として、育ったきょうだい数とソーシャルキャピタルとの関連を調べた結果、逆U字型の関連があった。
- ソーシャルキャピタルの種類によって最適なきょうだい数は異なっていた。
- 1~3人のきょうだいがいる家庭で育った親は、一人っ子で育った親よりも、ソーシャルキャピタルが高かった。
- きょうだいがいることは、ソーシャルキャピタルを育む機会を提供することにつながるのかもしれない。
Volume 33, Issue 8 (August 2023)
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対象集団で曝露と非曝露を入れ替えた場合に、関連指標の値が変わらないことがある。
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一般的に、曝露と非曝露を入れ替えた場合に関連指標の値が変わるときには、「分布交絡(confounding in distribution)」が常に存在する。
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一般的に、曝露と非曝露を入れ替えた場合に関連指標の値が変わるときには、「指標交絡(confounding in measure)」が存在するか否かは言えない。
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曝露と非曝露を入れ替えた場合に関連指標の値が変わらないとしても、分布交絡と指標交絡はいずれも存在し得る。
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本質的に、関連指標の値が変わるか否かに基づくアプローチは、交絡の定義を与えるものではない。
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約400人の透析患者を対象に6カ月毎の透析後体重変化を5年間追跡した観察研究である。
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体重変化と死亡リスクとの関連を、ランドマーク解析・一般化非線形混合効果モデル解析の両面から分析を行った。
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ランドマーク解析において、半年で1kg以上の体重減少は、体重を維持した群と比較して約2倍の全死亡リスクを示した。
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一般化非線形混合効果モデル解析において、体重変化の軌跡は、死亡5年前より継続的な減少を認め、一方で生存者では観察期間中概ね体重は維持されていた。
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透析患者における6か月毎の体重測定の実施により、全死亡に関与する体重減少の傾向を確認できた。
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本研究の目的は、地域在住高齢者において、家庭内温水浴を用いた受動的身体加温が夜間頻尿と関連するかを検証することである。
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家庭内温水浴は、夜間頻尿オッズ低下、夜間1回排尿量増加と有意に関連していた。
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特に、入床前61-160分の温水浴が、夜間頻尿オッズ低下と関連していた。
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夜間排尿回数が2、3、4回であった場合、就寝前家庭内温水浴に伴う夜間排尿回数の変化量は、それぞれ、−0.36、−0.54、−0.72回と推測された。
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本研究は、家庭内温水浴が夜間頻尿を改善させる可能性があることを示唆するものである。
Disease Attribution to Multiple Exposures Using Aggregate Data (集計データから複数の曝露による疾病寄与を評価する方法)
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疾病負荷を、各曝露による効果、曝露間の交互作用による効果、曝露以外の因子による効果に分ける方法を提案する。
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提案された方法では、個々の疾病負荷を足すと100%になる。
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複数の集計データから、疾病負荷をシンプルでわかりやすく計算する方法を提案した。
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認知活動的座位行動時間が多い者ほど認知症発症リスクは低かった。
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身体活動量が多い群ほど、認知的活動座位行動と認知症発症との関連は顕著であった。
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認知活動的座位行動を10分/日以上かつ身体活動量を16メッツ・時/週実施している群の認知症発症リスクは約60%低かった。
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受動的座位行動は身体活動量に関わらず認知症発症との関連は認められなかった。
Short Communication
Applicability of a Web-based 24-hour Dietary Recall Tool for Japanese Populations in Large-scale Epidemiological Studies (日本人を対象とした大規模疫学研究におけるウェブベースの24時間思い出し法の応用可能性)
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日本人を対象とした大規模疫学研究へのウェブベース24時間思い出し法(24HR)の応用可能性を検討した。
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自己申告によるウェブベース24HRは、高齢、及び女性の対象者で調査に時間がかかる傾向がみられた。
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システムが難しいと回答した対象者は、調査員が電話を用いて聞き取る24HRではわずか10%であったが、自己申告による24HRでは60%であった。
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自己申告による24HRを大規模疫学研究で応用するためには、料理詳細入力や料理名選択のより良いアプローチが必要であることが明らかとなった。
Study Profile
The Longevity Improvement & Fair Evidence (LIFE) Study: Overview of the Study Design and Baseline Participant Profile (LIFE Study:研究デザインと参加者のベースラインプロファイル)
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2019年にスタートした「Longevity Improvement & Fair Evidence(LIFE)Study」は、多地域を対象にした住民コホート型のデータベースプロジェクトである。
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LIFE Studyは、日本における健康寿命の延伸と健康格差の是正に向けたエビデンスの創出を目指している。
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現時点で、4都道府県18市町村の住民142万人の健康関連データなどを蓄積している。
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全年齢層および全疾患をカバーしており、日本発のリアル・ワールド・エビデンスを創出可能なプラットフォームになることが期待される。
Volume 33, Issue 7 (July 2023)
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国際疾病分類(ICD-11)のゲーム障害の診断基準を参考に、質問紙票を用いた大規模調査を行い、小学生のゲーム依存に関する疫学研究を行った。
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小学生のゲーム依存の有病率は5.6%であった。不健康な生活習慣、頻回のいらいら、学校での成績不良や家庭で親子の会話が少ない、ルールが無いことなどがゲーム依存と有意に関連した。
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子供のゲーム依存の対策には、規則正しい生活を送ることに加え、親の積極的な関与が不可欠と思われた。
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中年期におけるイソフラボンや大豆の摂取は、その後の認知機能に関連している可能性があるが、その関連を調べた研究は少ない。
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中年期のイソフラボン(ゲニステイン)摂取と高齢期の認知機能低下のリスクとの間に統計学的有意な正の関連が認められた。
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中年期の大豆製品摂取は高齢期の認知機能低下のリスク上昇と関連する傾向がみられた。
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身体活動、多様な食品摂取、社会的交流が新規要介護認定に及ぼす組み合わせ効果や公衆衛生インパクトは未だ明らかではない。
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新規要介護認定リスクは、これら3つの健康行動の充足数が増大するにしたがって漸減し、負の量・反応関係が確認された。
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仮にすべての高齢者がこれら3つの健康行動すべてを充足した場合、3.6年間の新規要介護認定者数は16.0%(95%信頼区間:8.7-22.8)減少する。
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個人の生活習慣や自主グループ活動に、これら3つの健康行動のうち不十分な行動要素を加える取り組みは、地域における介護予防の推進に効果的かもしれない。
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仕事と家庭のあり方についての葛藤(ワーク・ファミリー・コンフリクト)は就労者人口における高いうつ病有病率と関連することが国を問わず報告されている。
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仕事および家庭環境の両面において、文化的な違いがこれらの関連に影響を与える可能性があるため、異文化間の研究が推奨されている。
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愛知県職域コホート研究対象者4792名とエジプトの公務員3109名を対象とした国際異文化比較横断研究において、この関係を検証した。
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両国ともにワーク・ファミリー・コンフリクトの高さは、うつ症状の存在と、また生きがいのないことと量反応的に関連した。
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人生の目的の存在を意味する日本人固有の生きがいという概念は、異なる文化圏においてもワーク・ファミリー・コンフリクトとうつ病の関連を媒介していたが、その程度は国・男女によって異なる可能性がある。
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本研究では、特に現在喫煙者のCOVID-19の予後が悪いことを確認した。
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受動喫煙への曝露がCOVID‐19の死亡リスクの上昇と関連があることを初めて示した。
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本研究の結果は、政府や政策立案者が効果的なタバコ規制措置を強化・実施し、禁煙を支援するための一助となる。
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人口の高齢化を受けて、直接法による年齢調整率の算出のための基準人口が平成27年(2015年)モデル人口に変更された。
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昭和60年(1985年)モデル人口から平成27年(2015年)モデル人口への変更による影響を、利用可能な人口データと死亡数データを用いて検討した。
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全死因死亡率については、平成27年(2015年)モデル人口への変更による影響はほぼ見られなかった。
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悪性新生物と肺炎の死亡率については、モデル人口変更による影響があるため、年次推移を解釈する際には注意が必要である。
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平成27年(2015年)モデル人口を用いて、1950~2020年の全死因および主要死因別年齢調整死亡率のデータアーカイブを作成した。
Volume 33, Issue 6 (June 2023)
Review Article
Bias in Odds Ratios From Logistic Regression Methods With Sparse Data Sets (ロジスティック回帰分析におけるオッズ比のスパースデータバイアス)
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ロジスティック回帰分析では,アウトカムと特定の因子水準のデータ数が少ない場合,最尤法により推定されたオッズ比にバイアスが生じる。これはスパースデータバイアスと呼ばれ,時として無視できない大きさになる。
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本稿では,ロジスティック回帰分析の枠組みで,スパースデータバイアス補正法をレビューし,シミュレーション実験を通じてこれらの方法の性能を比較した。
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Firthの方法及び正確な方法はスパースデータバイアスを十分に軽減できず,log F prior や g-prior を使ったBayes流の方法のバイアスは相対的に小さかった。
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アウトカムのイベント数が10より小さく,評価対象となる暴露因子の割合が0.1よりも小さいとき,最尤法に基づくロジスティック回帰分析の解釈に注意を要する。
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ヨーロッパ12か国での代表的な調査(TackSHS調査)では、参加者の2.4%が2017-18年時点で、電子タバコを使用していた。
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電子タバコ使用者の大多数は、従来のタバコと電子タバコのデュアルユーザーであり、ニコチン入りリキッドの電子タバコを消費していた。
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電子タバコ使用者の3分の2は、喫煙が禁止されている屋内で電子タバコを消費していた。
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電子タバコの使用は、紙巻きタバコの価格が高い国で最も高かった。
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不十分な中高強度の身体活動と長い座位行動は独立して腎機能と関連する。
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高強度の身体活動と慢性腎臓病(CKD)の関連は性別で交互作用がみられる。
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1時間の座位行動を身体活動に置き換えるとCKDのオッズ比が3から4%低くなる。
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心理的苦痛を感じている父親の割合は、父子家庭の方が(8.5%)ふたり親家庭(5.0%)より高かった。
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父子家庭の父親のうち、自営業者や、会社・企業の役員の場合、一般労働者に比べて心理的苦痛を訴える割合が有意に低かった。
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睡眠時間が6時間未満の父子家庭の父親は、睡眠時間が6時間以上の父子家庭の父親と比較して、心理的苦痛を生じやすくなる。
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本研究は、東京都足立区の小学1年生を対象に、留守番の頻度とう蝕の関連を明らかにすることを目的とした。
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傾向スコアマッチングによる解析の結果、週に1回以上留守番をする子どもは、留守番を全くしない子どもに比べてう蝕が多かった。
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週1回未満の留守番はう蝕と有意な関連はなかった。
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週に1回以上の留守番は子どものう蝕を増加させる可能性がある。
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メタボリックシンドロームが長期病休のリスクを上昇させること、特に心血管疾患による長期病休リスクを上昇させることが明らかになった。
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血糖高値、中性脂肪高値、腹部肥満、血圧高値の各要素と長期病休リスクの関連が示された。
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メタボリックシンドロームの構成要素の数が増えるにつれて長期病休リスクが増加した。
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労働者を対象としたメタボリックシンドローム予防は、長期病休対策の観点からも必要であると考えられる。
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LifeCycleは、EUが資金提供したLifeCycle Projectを含むヨーロッパとオーストラリアにおける250,000人以上のコホート研究参加者から得たデータを、統合し分析するために開始された。
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メンタルヘルスデータには、0〜18歳以上の縦断的および横断的データが含まれており、行動、認知、精神病理学にわたる、メンタルヘルスの要素をカバーしている。
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メンタルヘルスデータには、定性的データ(アンケートと臨床検査)、生体試料、脳の画像(MRI、胎児超音波)、およびエピジェネティックデータが含まれる。
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生涯を通じた軌跡と曝露-結果モデルによって、精神疾患の小児期の危険因子を特定し、その後の疾患の予測マーカーが開発される。
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この研究参加に関心のある外部のパートナーは、ライフサイクルプロジェクトのウェブサイト(https://lifecycle-project.eu/)で詳細を確認できる。
Volume 33, Issue 5 (May 2023)
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89,954名の女性のうち、産後1か月で3.7%、産後6か月で2.8%が産後うつ状態(EPDS13点以上)であった。
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自然分娩群と比較して、帝王切開群では産後1か月の産後うつ高リスクとわずかに関連したが、6か月では関連を認めなかった。
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妊娠中抑うつでの層別化解析では、抑うつあり群で帝王切開と産後1か月時における産後うつ高リスクと関連を認めた。
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妊娠中抑うつがあり帝王切開により出産した女性は、産後うつのモニタリング対象と考えられる。
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妊娠中の体重増加曲線は経時的に体重を追跡し、適切な介入を施すために有用である。
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今回、エコチル調査データを用いて 日本人の妊娠中の体重増加曲線を作成した。
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2021年3月に改訂された「妊婦の体重増加指導の目安」に準じた妊娠週数ごとの体重増加曲線を推定した。
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過去の研究では、心拍数の上昇が全死亡や脳・心血管疾患死亡リスクの増加と関連したと報告されている。
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しかし、本研究では日本人一般集団において、血清アルブミンの値によって心拍数が脳・心血管疾患死亡に与える影響が異なることが明らかとなった。
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血清アルブミン値が中央値より低い集団では心拍数の上昇が脳・心血管疾患死亡リスクの増加と関連した一方、血清アルブミン値の高い集団では拍数の上昇が脳・心血管疾患死亡リスクの低下と関連した。
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本研究の知見を指示するエビデンスは十分でなく、これらの背景を明らかにするための今後の研究が望まれる。
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日本の大規模集団において、特定の対処行動をとっている人は、「ほとんどとっていない」人に比べて、全体的に全死亡リスクが低かった。
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ストレス対処行動と全死亡との関係は、いずれも自覚的ストレスレベルとは独立であった。
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女性では、ストレス対処行動として、感情表出、感情的な支援希求、なりゆきまかせといった対処行動を行う者、男性では感情表出、肯定的解釈、積極的問題解決を行う者で、それぞれ「ほとんどとっていない」人に比べて死亡リスクが低かった。
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感情的な支援希求と全死亡との関係には性別による交互作用があったが、この結果は、対象集団の属性に応じた介入方法を明らかにするためには、性差について検討することが重要であるという証拠を提示している。
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日本において社会経済的要因による死亡率格差に着目した研究は少ないが、これはその用途に足りる国レベルでの死亡率データベースがないためである。
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国勢調査から性・生年月・市区町村・婚姻状況について他の人と重複のない人を抽出し、1対1対応の確定的リンケージ法(deterministic linkage)を用いて人口動態統計(死亡票)の個票データをリンケージした。
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重み付けされたサンプル人口と全人口を比較すると人口学的属性分布は似通っていたが、若年層では死亡率が過大推計となるなどの乖離があった。
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本研究の推定によれば、教育歴別死亡率の差は男女とも2000年代から2010年代にかけて継続かつ拡大していた。
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本研究で用いた国勢調査とのリンケージによる縦断的死亡率データは解釈に注意を要するが、日本における社会経済的要因による死亡率格差のおおよその推定に有用と思われる。
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2003年から2017年にかけて新規にHIV感染症と診断された患者において、CD4陽性リンパ球数が200/mm3未満であった患者の割合が有意に増加していた。
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年齢・HIV検査歴・転帰・ウィルス量・診断から治療までの期間の分布が15年間で有意に変化していた。
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CD4陽性リンパ球数の変化から、HIV感染症罹患率の減少が示唆された。それにはARTの早期開始とHIV検査の増加が寄与していると考えられた。
Volume 33, Issue 4 (April 2023)
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怒り表出と脳卒中リスクとの関連に対する自覚的ソーシャルサポート(PSS)の影響を検討した。
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PSSが少ない群では怒り表出は脳卒中発症と正に関連したが、PSSが多い群では両者の関連は認めなかった。
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怒り表出に関連した脳卒中リスク増加はPSSによって修飾されることが示された。
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医療情報を用いた糖尿病の定義に関する妥当性の検討は、医学研究において重要であるが、そのエビデンスは不足している。
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そのため、カルテレビューをゴールドスタンダードとして、診療群分類別包括評価(DPC)データによる糖尿病定義の妥当性を検証した。
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入院患者において、感度、特異度、陽性的中度、陰性的中度はいずれも高い結果を示した。
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日系アメリカ人を対象として、白米摂取量と大腸がん罹患リスクとの関連を調べた。
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白米の摂取は、男性および女性において大腸がん罹患リスクとは関連していなかった。
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白米の摂取は、糖尿病のない男性において大腸がん罹患リスクの低下と有意に関連していた。
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糖尿病のない男性において、白米摂取量と遠位部の結腸がん罹患リスクとの間に有意な逆関連が認められた。
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本研究では、妊娠中および産後2.5年時のソーシャルサポートおよび信頼感の欠如と、母親の健康状態の関係を調べた。
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精神的および身体的健康は、SF-8質問票の精神的および身体的サマリースコアを用いて測定した。
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ソーシャルサポートおよび信頼感の欠如が健康に与える全般的な効果推定値は、身体面よりも、精神面において大きかった。
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効果推定値は、妊娠中および産後2.5年時の双方で欠如しているよりも、産後2.5年時のみに欠如している方が大きい傾向にあった。
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これらの結果は、出産後におけるソーシャルサポートおよび信頼感の喪失が、特に、精神的健康のハイリスクとなることを示唆している。
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発育性股関節形成不全(DDH)は乳児期に起きる股関節の発育異常である。
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日本で2011年から2013年の間に生まれた児で、DDHによる脱臼の発生率は0.076%であった。
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診断遅延の割合は11.5%で、その割合に地域差は無かった。
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女児がDDHによる脱臼を起こすリスクは男児の約7倍であった。
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寒い時期(11月-2月)に生まれた児はDDHによる脱臼のリスクが他の時期に生まれた児より高かった。
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飲酒、日常活動、習慣的運動、卵摂取および女性はHDLコレステロール値と正の関連、喫煙、BMIおよび年齢は負の関連を示した。
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GWASにおいて、7 SNP (CETP 、APOA5、LIPC、LPL、ABCA1、LIPG、APOE )がHDLコレステロール値と関連していた。
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非遺伝要因における、低HDLコレステロールに対するPAFは男性が最も高かった。
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遺伝要因における、低HDL-Cに対するPAFはCETP rs3764261が最も高かった。
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低HDLコレステロールに対する遺伝要因であるCETP rs3764261のPAFは、喫煙よりも高く、飲酒よりも低く、非遺伝要因と同程度のインパクトを有していることが示された。
A Stabilized Kriging Method for Mapping Disease Rates (疾病率マッピングのための安定化クリギング法)
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本研究では導入が容易な安定化クリギング法を提案する。
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モンテカルロシミュレーションの結果、安定化クリギング法は、他の3種類の方法(地域行政区画に基づく方法、経験的ベイズ法、従来のクリギング法)と比べて、対称的な平均絶対誤差が小さいという点で優れていた。
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台湾の男性における口腔がん罹患率のケーススタディにおいて、本方法が、いくつかのホットスポットとコールドスポットを同定することに役立てられた。
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疾病の率だけでなく、この手法の前提条件を満たす定量的に類似したデータのマッピングには、安定化クリギング法の使用が推奨される。
Volume 33, Issue 3 (March 2023)
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エコチル調査に登録された55,203単胎生産を対象として、妊娠間隔と早産との関連について検討した。
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妊娠間隔18~23か月と比べて、妊娠間隔6か月未満及び120か月以上において、早産リスクが高かった。
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この早産リスクの上昇は不十分な葉酸摂取(サプリメントを含む)の群で認められた。
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JPHC研究における17,546人の死亡データを用いて、死亡場所に影響を与える要因を探った。
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未婚であること、心血管疾患・脳血管疾患死亡、外因死などが在宅死亡と関連していた。一方、がん死では在宅死亡が少ない傾向にあった。
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男性の場合、死別、離婚といった婚姻状況、無職、飲酒が多い状態が在宅死亡と関連していた。
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婚姻状況、職業などから社会的な関わりが少ない状況、また死亡のタイミングの予測が困難な死因において在宅死亡との関連が示唆された。
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東日本大震災後から少なくとも2年半後の妊婦において、被災と妊娠前の過体重との関連が認められた。
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被災が直接的、及び、間接的に妊娠前の過体重を介して、妊娠高血圧症候群の発症と関連していた。
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本研究では、家屋の被害により被災状況を評価しているため、災害の影響が過小評価されている可能性があり、今後のさらなる研究が待たれる。
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日本人高齢者において、高次生活機能の障害は長期間の全死亡リスクの上昇と関連していた。
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女性では、手段的日常生活動作や知的活動の障害が死亡リスクの上昇と関連していた。
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男性では、社会的役割の障害が死亡リスクの上昇と関連していた。
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高次生活機能の障害と死亡リスクの関連は死因別(心血管疾患、脳卒中、がん、肺炎)に検討しても同様の傾向が認められた。
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脳卒中は、中国における死亡および身体障害の第1位の原因であり、世界でも第2位の死因である。
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推定糸球体濾過量(eGFR)の経時的変化と脳卒中の発症リスクとの関連性については、まだ結論が出ていない。
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中国の高血圧患者では、eGFRの経時的な低下と上昇の両方が、脳卒中の初発リスクと独立して関連していた。
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したがって、eGFRの経時的な変化の軌跡をモニタリングすることは、脳卒中のリスクが高い患者を特定する臨床判断に有益であると考えられる。
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死亡した患者は、高齢で入院時のDダイマー値が高く、併存疾患も多かった。
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死亡した患者は、入院時のCOVID-19感染症がより重症であった。
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死亡した患者は、血栓症および大出血の発生率が高かった。
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入院中のCOVID-19患者の死亡予測因子が見出された。
Volume 33, Issue 2 (February 2023)
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母乳栄養が、成人期以降の肥満を抑制するかどうかはこれまで明らかでなかった。
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茨チル研究の長期間前向き追跡デザインにより、乳児期の栄養摂取方法とその後の体格との関連を検討した。
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母乳栄養は、小児期の過体重リスクの低下と関連したが、思春期や成人期での過体重リスクとの関連は認めなかった。
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本研究は、全国データベースを用いて日本におけるミトコンドリア病の患者数を包括的に推定した初めての試みである。
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2018年4月から2019年3月までの期間に、国内で3,629人のミトコンドリア病患者が存在した。これは、日本政府によって2018年に報告された指定難病受給者証所持者数である1,504人の2倍以上であった。
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日本の医療システムは、現時点で予想されているよりもさらに多くのミトコンドリア病患者を支援する必要があるかもしれない。
- 糖尿病は軽度認知障害の高リスク状態である。
- 中年期の空腹時血糖値は、MoCA-Jで評価した高齢期の認知機能と負の関連があることが示された。
- 中年期糖尿病患者への積極的介入の実施は軽度認知障害予防にも重要である。
- 薬理疫学研究で最近多く使用されている自己コントロールデザインにおいて、測定不可能な時間バイアスの影響は未だ検討されていない。
- 入院患者と外来患者の両方の投薬日が記載されている韓国の医療データベースを使用して、ケースクロスオーバー、ケースタイムコントロール、およびケースケースタイムコントロールの分析を実施した。
- 高齢患者の2つの症例を使用して、1)ベンゾジアゼピンの使用と股関節骨折、および 2)ベンゾジアゼピンの使用と死亡率、について測定不可能な時間バイアスの影響を検討した。
- 測定不能な時間バイアスは、急性イベントに対する薬剤の効果にほとんど影響を与えなかったが、全死亡率に対しては薬剤の影響に負のバイアスがかかっていることがわかった。
- 大腸がん死亡・罹患に対する便潜血検査(FOBT: fecal occult blood test)と大腸内視鏡検査の有効性を同時に評価した。
- 本研究では多目的コホート研究の30,381人を解析した。
- FOBTと内視鏡検査の情報は3回の質問票(5年おき)から抽出した。
- FOBTは回数に応じて、内視鏡検査は時期に応じて大腸がん死亡・罹患のリスクが低下した。
- 本研究では、韓国の高齢者、特に低所得の高齢者を対象に、歯科保険の拡大が高齢者の歯科医療ニーズに与える因果効果を明らかにすることを目的としている。
- 2010年と2016年~2018年の韓国国民健康栄養調査データをもとに、二重差(DD)分析と三重差(DDD)分析を用いて、政策実施前後のデータを比較した。
- 韓国では、歯科保険の拡大により、歯科補綴サービスへのアクセスが全体的に改善された。
- 予想に反し、歯科保険の拡大は、高齢者の歯科治療ニーズが満たされていないという自覚の増加(8.8%ポイント)と関連していた。しかし、保険拡大により、低所得者の満たされていない歯科治療ニーズの増加は、高所得者に比べて21.6%低かった。
Volume 33, Issue 1 (January 2023)
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これまでに大規模データを用いてヘリコバクター・ピロリ菌除菌後の抗体価の時系列変化について報告した研究はほとんどない。
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本研究は、コホート研究の横断データを使用してヘリコバクター・ピロリ菌除菌後の血清学的反応について分析した。
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ヘリコバクター・ピロリ菌抗体価は除菌治療後1年以内に大幅に減少する一方、陰転化までには長期間が必要であることが分かった。
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妊娠初期に禁煙した女性の23.7%が、産後1年の間に喫煙を再開していた。
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教育歴、分娩歴、母乳育児、産後うつが、産後の喫煙再開と関連していた。
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家庭で受動喫煙にさらされている女性は、産後に喫煙を再開する割合が高かった。
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職場で受動喫煙にさらされている女性は、産後に喫煙を再開する割合が高かった。
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就業は健康に総じてプラスだが、メンタルヘルスには逆効果であった。
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定年延長や年金の支給開始年齢の引き上げは高齢者就業を高める可能性があった。
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就業の引き上げが高齢者の健康に及ぼす影響は不透明であった。
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本研究は身長と脳梗塞病型の発症リスクの関連を調べた世界で初めての研究である。
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男性において、40-59歳、60-79歳のいずれの年齢階級でも、身長は全脳卒中及び脳血栓の発症リスクと有意な負の関連を示し、身長五分位の最も低い群では中間群(第3群)に比し、それらの発症リスクは増加していた。
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40-59歳の男性において、身長は脳塞栓及び脳内出血の発症リスクと有意な負の関連を示したが、最低身長群におけるそれらの発症リスクの増加は統計学的に有意ではなかった。
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40-59歳の女性において、身長は全脳卒中、脳卒中及び脳梗塞病型のいずれの発症リスクとも明確な関連を示さなかった。
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60-79歳の女性において、身長は全脳卒中及び脳内出血の発症リスクと正の関連の傾向を示し、最高身長群では中間群(第3群)に比し、それらの発症リスクは有意に増加していた。
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日本人一般集団において、血清ヒドロキシビタミンD3低値は糖尿病と関連があった。
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血清ヒドロキシビタミンD3と自然対数変換したインスリン抵抗性指数(HOMA-R)の間には軽微な負の関連があった。
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これらの観察された関連は、社会人口学、生活習慣、身体および環境に関する因子と独立していた。
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血清ヒドロキシビタミンD3と自然対数変換したインスリン分泌指数(HOMA-β)の間には明確な関連がなかった。
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男性におけるCOVID-19の重症化リスクは、10歳以上年上の女性と同等であった。
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4つの先行研究においても、COVID-19の重症化に男女差が大きく影響していた。
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COVID-19の重症化リスクを予測する要因の一つとして男女差に着目し,公衆衛生政策において考慮すべきである。
- 日本のCOVID-19流行下において、女性の自殺者数が増加した。
- 失業率の経時的変化を考慮しながら、コロナ禍の女性の自殺について、職種、動機、年齢の各カテゴリ別にO/E比を評価した。
- 2020年3月から12月の期間において、ほぼすべてのカテゴリでO/E比が1.0を大きく上回り,その後2021年10月までの期間でも続いていた。
- COVID-19流行時における自殺予防対策としては、特定の集団に限定した介入を行うのではなく、全方位的な対策が重要になるであろう。
- 台湾原子力発電所・疫学コホート研究(TNPECS)は、3つの原子力発電所のいずれかの近くに住んでいることによる38年間の放射線被ばくが、がんのリスクに関連するかどうかを調査するためのデータソースを提供している。
- TNPECSは、1978年から2016年までに、台湾の3つの原子力発電所のいずれかの近く(8km以内)に住んだことのあるすべての住民を対象としている。この母集団の大きさにより、希少ながんのアウトカムに対応する新しい研究のアイデアを評価することができる。
- 住民全員に付与された固有の識別番号により、台湾の全国がん登録(TCR)、台湾死亡登録(TDR)、国民健康保険データベースの情報をリンクし、38年間の放射線に関連するがんを追跡することができ、幅広い研究課題に応える機会を提供している。