日本語版Highlights
Volume 27, Issue 1-12 (2017)
Issue 12 (December 2017)
Issue 11 (November 2017)
Issue 10 (October 2017)
Issue 9 (September 2017)
Issue 8 (August 2017)
Issue 7 (July 2017)
Issue 6 (June 2017)
Issue 5 (May 2017)
Issue 4 (April 2017)
Issue 3 (March 2017)
Issue 2 (February 2017)
Issue 1 (January 2017)
Volume 27, Issue 12 (December 2017)
Review Article Smoking and the risk of type 2 diabetes in Japan: A systematic review and meta-analysis
- 日本人における喫煙と糖尿病リスクとの関連についてメタアナリシスを行った。
- 現在及び過去喫煙者は非喫煙者に比べて糖尿病リスクが高かった。
- 糖尿病リスクは喫煙量の増加に伴い上昇した。
- 過去喫煙者では、禁煙期間が長いほど糖尿病リスクが低かった。
- 冬季の日中、低い室温で過ごす者では血小板数が高い関連がみられた。
- その関連は、外気温や社会経済因子と独立して有意であった。
- 1,095名の高齢対象者は、1日の大部分の時間を自宅で過ごしていた。
- 高血圧, 糖尿病, 高脂血症の有病割合は中国が一番高く, 日本が一番低い。
- これらの疾患はいくつかの食習慣によって改善される。
- これらの食習慣は性別, 年齢, および婚姻状況によって異なる。
- 台湾全体を対象とした前向きコホート研究において、痔核と末梢動脈疾患との関連を検討した。
- 痔核を有するものでは、末梢動脈疾患のリスクが有意に上昇していた。
- 血清EPA/AA比の低下に伴い、癌死亡のリスクが有意に増加した。
- 発生部位別の検討では、血清EPA/AA比の低下により肝臓癌による死亡リスクが有意に上昇した。
- 血清DHA/AA比と癌死亡の間に明らかな関連はみられなかった。
- 低い気温、高い気温ともに有意にFeNOと関連していた。
- 粒子状物質濃度の増加は微小、粗大ともにFeNOと関連していた。
- 微小、粗大粒子状物質ともに低い気温での関連が強かった。
- 連続30日以上の疾病休業発生率を12の日本企業で調査した。
- 疾病休業主要因は精神疾患、新生物、妊娠関連疾患であった。
- 30代女性では、精神疾患と妊娠関連疾患の休業発生率が同程度であった。
Volume 27, Issue 11 (November 2017)
- どの血圧コンポーネントが蛋白尿のリスクを上昇させるかを調べた。
- 血圧コンポーネントについては収縮期血圧、拡張期血圧、脈圧、中心動脈圧を用いた。
- これらの血圧コンポーネントのうち、収縮期血圧と拡張期血圧が持続性蛋白尿のリスクを検討する際に最も有用であった。
- 1秒率が70%未満であった人は、有意にヘモグロビンA1cの値が高値を示していた。
- 高齢、高ヘモグロビンA1c、喫煙歴ありが、低1秒率(70%未満)と関連していた。
- 日本において、上記の要因を持つ者にはCOPDのスクリーニングを推奨すべきである。
- 出生前のphthalate曝露は、女児におけるプロゲステロン低下と関連する。
- 出生後のDEHP曝露は、男児おけるフリーのTT低下、女児におけるPG低下と関連する。
- 発育中の児へのPhthalate含有製品の限定的な使用が示唆される。
- 我々はCNAQとSNAQを翻訳し、CNAQ-JとSNAQ-Jを開発した。
- CNAQ-Jは一因子(食欲)で構成されていた。
- 探索的因子分析法によりSNAQ-JEを開発した。
- CNAQ-JとSNAQ-JEは満足できる信頼性、再現性と妥当性を示した。
- CNAQ-JとSNAQ-JEは日本人高齢者の食欲の評価ツールとして有用であると考えられた。
- 中国の小児において、長時間の睡眠と肥満は負の相関関係にあった。
- 同集団で、遅い就寝時刻と肥満は正の相関関係にあった。
- 睡眠の質と肥満の間には関連が見られなかった。
- 身体活動と能力障害発生との関連を調査した。
- 余暇時間の身体活動量を定量的に測定した。
- 認知症を伴う能力障害のリスクにおいて量反応関係を認めた。
- 日本の地域在住高齢者では、食料品アクセス不良は食品低頻度摂取と関連していた。
- 近所付き合いがあまりないことも食品低頻度摂取と関連していた。
- 食料品アクセスと近所付き合いの交互作用は男性にのみ有意であった。
Volume 27, Issue 10 (October 2017)
- 近年アフリカで発生したエボラ出血熱のアウトブレイクでは、12,933人が死亡した(2015年9月現在)。
- 特筆すべきは、保健医療従事者における死亡が多数認められたことである。
- 保健医療従事者で感染した者は890人であり、致命率は57%であった。
- 疾病を予防し安全を提供する、医療機器の使用を広めるべきである。
- 定期的にトレーニングを行うこと、リスクコミュニケーションを改善することにより、エボラ出血熱に対する備えが向上するであろう。
- 我々は年齢3.5-4.5歳の子どもたち93,538人の身体測定データを入手した。
- 身体測定データは震災の前後で測定された。
- 我々は身体測定データを岩手、宮城、福島 vs他県とで比較した。
- 三県では他の県に比べて過体重の発生が高値であった。
- 肝移植待機患者における低栄養の有病率は高い
- 評価法によって低栄養の有病率は大きく異なる
- 既存の低栄養の評価法は全般的に一致率が低かった
- PNI-Oは既存の低栄養の評価法で最も一致率が高かった
- NRIは低栄養の診断において陽性尤度比が最も高かった
- カルテレビューの結果を対照とし、DPCおよびSS-MIXデータの妥当性を検証した。
- DPCデータ上の診断名の特異度は高かったが、感度は低く疾患の種類によるばらつきを認めた。
- DPCデータ上の処置情報は感度、特異度とも高値を示した。
- SS-MIXデータの検査値の正確性は、検証した13種の検査全てで95%を超えた。
- 日本人小児および成人用の栄養知識質問票を開発した。
- 栄養知識レベルが高いことは、小児における健康的な食習慣と関連していた。
- 小児の栄養知識と保護者の栄養知識の両方が、小児の食品摂取量に影響していた。
- 栄養知識の影響には性差があることが示唆された。
- 全国周産期データベースを用いて、分娩アウトカムを最適化する妊娠中体重増加量を算出した。
- 妊娠前BMI 17.0-18.4kg/m2での最適な体重増加量は、12.2kg/40週であった。
- 妊娠前BMI 25.0-27.4kg/m2での最適な体重増加量は、4.3kg/40週であった。
- 現在の日本の妊娠中体重増加推奨量は、妊娠前BMI <18.5kg/m2の妊婦にとっては低すぎる可能性がある。
- 米国Institute of Medicineのガイドラインを日本人に適応する場合は、BMI>25kg/m2ではなくMI>23kg/m2を過体重と定義するほうがよい。
Short Communication
Relationship between 8-year weight change, body size, and health in a large cohort of adults in Thailand
Relationship between 8-year weight change, body size, and health in a large cohort of adults in Thailand
- 本研究では、8年間の体重変化と全般的な健康との関係をタイの成人で検討した。
- 体重増加は、不良な幸福感や低い活力と関連していた。
- 本研究の知見は、体重変化とその健康影響を観察することの重要性を強調するものである。
Volume 27, Issue 9 (September 2017)
- 就業者の身体活動・座位と過体重・肥満の関連を検討した。
- 強度の職業性身体活動は、軽度のそれに比べ、全体の、また腹部の過体重・肥満のリスクが低い。
- 積極的な余暇の身体活動や職場への自転車通勤は、過体重・肥満リスクの低さと関連している。
- 余暇の座位時間の減少は、腹部の過体重・肥満リスクを低減しうる。
- これらの結果は男性就業者にのみ観察され、女性ではみられなかった。
- 耐糖能異常の有無別に、その他のメタボリックシンドローム要因(腹部肥満、脂質代謝異常、高血圧)の保有数およびその組み合わせと糖尿病リスクとの関連を前向きに検討した。
- 耐糖能異常の有無に関わらず、糖尿病リスクはメタボリックシンドローム要因保有数が増加するほど高くなっていた。
- 耐糖能の状態およびメタボリックシンドローム要因数が同じ場合、腹部肥満を含む組み合わせはそれ以外の組み合わせに比べて糖尿病リスクとの関連が強かった。
- 1998年から2014年までのKNHANESを使用した研究。
- 男性の肥満は、過体重/肥満、肥満レベル1、肥満レベル2が増加傾向を示していた。
- 女性の肥満は、過体重/肥満、肥満レベル1、腹部肥満では横ばいの値を示していた。
- 男性における低体重者の割合は減少していたが女性では増加していた。
- HTLV-I感染と遺伝子多型に関わる死亡および罹患リスクをマッチド・コーホート研究で観察した。
- 島嶼地域において、HTLV-Iに伴う全死亡リスクの上昇を認めた。
- 動脈硬化関連疾患リスクに対して、炎症性遺伝子多型はHTLV-Iとの相互作用を有していた。
- 日本ナースヘルス研究(JNHS)において出生体重と成人後の糖尿病との関連を調べた。
- 出生体重100g増加に対応する糖尿病発症オッズ比は0.93 (95%CI: 0.90–0.96)であった。
- この関連は、出生体重の妊娠週数別パーセンタイルでも同様であった。
- 低出生体重は、現在のBMIが正常であっても糖尿病と関連があった。
- ウェブシステム食物摂取頻度調査票(FFQ)に基づく摂取量の妥当性を、紙媒体のFFQによる妥当性と比較することによって検討した。
- ウェブFFQに基づく摂取量推定値の多くは中程度の妥当性を示した。
- これらのウェブFFQと12日間食事記録との相関係数は、紙媒体のFFQによるものと同様であった。
- 2つのFFQでの摂取量ランキングも良く一致した。
これらウェブ、紙媒体FFQを疫学研究の曝露評価として混在させることは許容できると考えられる。
- レーベル遺伝性視神経症(LHON)の日本における発症率は不明であった。
- LHONの年間発症者数を推計するための全国アンケート調査を行った。
- 2014年において、約120人の患者が、遺伝子変異の明らかなLHONを新規に発症したと推定された。
Volume 27, Issue 8 (August 2017)
- 日本では急速に高齢化が進行しており、喫緊の課題であるフレイルの研究において非常に重要なモデルとなりえる。
- 本稿では系統的レビューにより選ばれた5編の文献のデータをメタ解析によりプールした結果、65歳以上の日本人地域在住高齢者のフレイル有病率は7.4%であった。
- 年齢層別のメタ解析においては、過去に発表された多国籍の地域在住高齢者のデータと比較し、本研究の日本人地域在住高齢者のフレイル有病率は65-69歳と70-74歳の層で低く、80-84歳と85歳以上の層では高い結果となった。
- 最も大きな集団寄与危険割合は、肥満の無い高血圧症のものであった。
- 高血圧全体の集団寄与危険割合は、11.7%であった。
- 高血圧症は日本の医療費の最も大きな負担となっているかもしれない。
- 日本人地域住民を対象とした前向きコホート研究では以下のことが明らかになった。
- 日本人中年(40-69歳)での脳卒中罹患率は心房細動群で20/1000人年、非心房細動群では3/1000人年。日本人高齢者(70歳以上)での脳卒中罹患率は心房細動群で30/1000人年、非心房細動群で9/1000人年。
- 日本人中年での心不全罹患率は心房細動群で6/1000人年、非心房細動群で0.5/1000人年。日本人高齢者での心不全罹患率は心房細動群で21人/1000人年、非心房細動群で2/1000人年。
- 心房細動による(脳卒中と心不全)相対危険は、中年で(5倍と8倍)、高齢者で(3倍と8倍)であった。
- フィックスド・エフェクトモデルは時間で変化しない交絡因子を調整できる。
- 近隣の社会的団結が高いと子供の全体的な問題行動が少ない。
- 近隣の非公式なコントロールが高いと子供の外的な問題行動が少ない。
- 近隣の集合的効力感は子どもの心理社会的問題を予防する。
- ベンゾジアゼピン系薬剤は19歳以上の過量服薬患者の59%に処方されていた。
- 循環器系薬剤は75歳以上の過量服薬患者において頻繁に認められた。
- 直近に精神科治療を受けている患者の割合は,年齢と共に下がっていた。
- 過量服薬の予防は,年齢に関連する相違を考慮して最適化すべきである。
- 地域の社会経済状況が個人の死亡リスクに与える影響は個人の所得により異なる可能性がある。
- 地域の社会経済状況が脳卒中既往者の死亡リスクに与える影響を検証した。
- 社会経済状況の高い地域に居住することの死亡リスクへの影響は、個人所得レベルが中位の脳卒中既往者では低い個人所得レベルの脳卒中既往者と比較して小さい。
- 運動習慣がない生活習慣は新規CKD発症と関連する。
- 夜遅くの食事や間食習慣は新規CKD発症のリスクを上昇させる。
- CKD発症予防のため,早期の生活習慣への介入が重要である。
Volume 27, Issue 7 (July 2017)
- 経済状況が悪い患者ほどステージの進んだがんが多かった。
- SESとステージの関係は胃がん、大腸がん、乳がんでみられた。
- 韓国の全国がん検診プログラム(National cancer Screening Program)が始まった後でも、これらの格差が確認された。
- 日本人集団における喫煙と白血病(AML、CML、ALL)罹患の関連を多目的コホート研究(JPHC study)において検討した。その関連をコホート研究において検討した報告はこれまでにはなく、本邦初である。
- パックイヤー30以上の喫煙歴のある現喫煙者は、非喫煙者の男性と比べて、統計学的に有意にAMLリスクが上昇しており(HR:2.22, 95%CI:1.01-4.84)、喫煙が日本人男性においてAMLリスクを上昇させることが示された。
- 女性における喫煙とAMLとの関連や、喫煙とCML、ALLとの関連については、大規模な研究による検証が必要と考えられる。
- 本研究の対象は,ギラン-バレー症候群と診断された4,132人の入院患者であった。
- データは,DPCデータベースより抽出された。
- 入院時併存症と人工呼吸器装着との関連性が検証された。
- サイトメガロウィルスおよび単純ヘルぺスウィルス感染症が,人工呼吸器装着と有意な関連を認めた。
- 麻疹予防接種の接種率、さらに適切な時期の接種率は低かった。
- 広西壮族自治区の子どもにおいては、麻疹予防接種が遅れる期間が長かった。
- 麻疹発生率が高い地域では、不適切な時期の接種が多かった。
- 地域住民を対象としてbody mass index(BMI)と脳卒中の罹患との関連を検討する疫学研究で行われてきたが、さまざまな結果が得られている。
- 本大規模コホート研究は、わが国の地域住民を対象にBMIと脳卒中の罹患との関連を検討した。
- 男性ではBMIの低値が全脳卒中と脳梗塞の罹患のリスクを有意に上昇させた一方で、女性ではBMI高値が全脳卒中の罹患のリスクを有意に上昇させた。
- 独立して実施した二つの研究において、秤量食事記録法の手順を比較した。
- 食事記録の一般的な手順は両研究で概ね同一であった。
- 調査日の設定と調査用紙に違いがあった。
- 調査日の設定の違いによる、個人内個人間変動への影響はなかった。
- 調査用紙の違いによる、ポーションサイズへの影響はなかった。
- 中国広州の子どもの3分の1以上が自己の体重に関する間違った認識を持っていた。
- 体重の過小評価は過大評価よりもその割合が多かった。
- 過小評価は年少の子ども、女子、そして両親が肥満の場合に多かった。
- 過体重や過小体重の認識を持つ子どもは体重を変えようとする意志が高かった。
- 適正体重と認識する子どもは、ある種の行動においてはより健康的にふるまっていた。
Volume 27, Issue 6 (June 2017)
Review Article
Factors affecting sustainable iodine deficiency elimination in Pakistan: A global perspective
Factors affecting sustainable iodine deficiency elimination in Pakistan: A global perspective
- 1880年以降、56の研究が、甲状腺腫もしくはヨード欠乏症の有病割合について報告しており、58.9%が、甲状腺腫もしくは、ヨード欠乏症の有病割合を30%以上と報告している。
- 1994年以前の研究のうちの75%が甲状腺腫もしくはヨード欠乏症の有病割合が30%以上であると報告している。
- 1994年以降に実施された研究では、その32.1%の研究において、甲状腺腫もしくはヨード欠乏症の有病割合が30%以上であると報告されている。
- 所得レベルが低いほど自殺は多くなる傾向であった。
- 自殺はメディケイドの患者に最も多かった。
- 自殺は性別・年代によって異なる傾向を示した。
- ブラジル人のダウン症児(0-20歳)について、成長曲線を作成した。
- ブラジル人のダウン症児には、明らかな発育遅滞が認められた。
- ダウン症児の発育には、国レベルでの違いが存在した。
- 中国では、学童が病原微生物に汚染された水を直接摂取することを原因とする感染症の脅威にさらされている。
- waterborne diseaseの発生率は、都市より地方、セカンダリースクールよりプライマリースクールにおいてい高かった。
- 男子が女子に比べwaterborne diseaseのリスクが高かった。
- 井戸の不衛生な状況がしばしば報告されていた。
- 2011年における中国の平均腹囲は、男性85.9センチメートル、女性80.7センチメートルであった。
- 2011年におけう腹部肥満の有病率は、男性35.3%、女性51.7%であった。
- 中国での有病率は、日本や米国より、それぞれ低かった。
- 家族と同居している若年女性では目標量を満たしていない栄養素の数が高値を示した。
- 家族と同居している若年女性では外食頻度の増加に伴い目標量を満たしていない栄養素の数が増加した。
- 独居の若年女性では推定平均必要量に達していない栄養素の数が高値を示した。
- 独居の若年女性では外食頻度と充足栄養素数の間に関連は認められなかった。
Short Communication
Sources of heterogeneity in studies of the BMI-mortality association
Sources of heterogeneity in studies of the BMI-mortality association
- BMIと死亡の関連はコホートごとにかなり異なる。
- コホートの異質性の36%は人種により説明される。
- 年齢と追跡期間が残りの異質性の56%を説明する。
Volume 27, Issue 5 (May 2017)
- 今回我々は日本人妊婦を対象としたFFQの妥当性を証明した。
- このFFQは妊娠初期における栄養摂取を推定した。
- このFFQはつわりがあっても、妥当であった。
- 本研究は、日本中高年住民の健診頻度と医療費との関連を検討するため、後ろ向きコホート研究を行った。
- 6年間の受診有無から受診なし者、低頻度受診者、と高頻度受診者分け、その後の3年間の医療費をTweedie分布の一般化線形モデルより分析した。
- その結果、受診頻度が高いほど入院外医療費が高く、入院および総医療費が低かった。
- 27件のケース・コントロール研究によるメタアナリシスである。
- IL4遺伝子のrs2070874のTアレルは、消化管がんのリスクを増大させるかもしれない。
- IL4R遺伝子のrs1801275の変異型は、消化管がんのリスクを減少させるかもしれない。
- IL4遺伝子とIL4R遺伝子の多型は消化管がんの発がん感受性に影響するかもしれない。
- 多くの先行研究ではソーシャル・キャピタルの多次元的な側面を測定できておらず、尺度の信頼性および妥当性に関する検討も不十分といえる。
- 本研究では、ソーシャル・キャピタル関連変数を多数含んだ高齢者調査データに基づいて、53の候補指標から11の健康関連ソーシャル・キャピタル指標を開発した。
- 本指標は、市民参加・社会的連帯・互酬性と命名できる3次元で構成された。市民参加に関しては個人の健康度とも密接に関連することが確認された。
- 米国の子どもにおける尿中のBPAと体組成との関連を調べた。
- その関連において、性差がみられた。
- 男子において、尿中BPAレベルはやせと関連していた。女子ではその関連はなかった。
- 女子において、尿中BPAレベルは体脂肪量と関連していた。男子ではその関連はなかった。
- 2型糖尿病患者の多発性硬化症発症リスクは対照群の1.44倍であった。
- 他の性年齢階級と比べ50歳未満女性で多発性硬化症のハザード比が最大であった。
- 2型糖尿病の多発性硬化症の集団寄与危険度割合は2.55%と推定された。
Short Communication
Validity and reliability of a self-administered food frequency questionnaire for the JPHC study: The assessment of amino acid intake
Validity and reliability of a self-administered food frequency questionnaire for the JPHC study: The assessment of amino acid intake
- 2010年に日本のアミノ酸成分表が改訂された。
- 食物摂取頻度調査票におけるアミノ酸摂取量の妥当性と再現性を評価した。
- 新しいデータベースを用いて評価したアミノ酸摂取量は,旧データベースを用いた摂取量より良い妥当性がみたれた。
- アミノ酸摂取量推定のための食物摂取頻度調査票の再現性は良かった。
Volume 27, Issue 4 (April 2017)
- 東アジアの女性において、肥満はルミナルタイプとエストロゲン及びプロゲステロン受容体陰性乳がんのリスクを増加させる。
- 東アジアの女性において、早い初経年齢はルミナルタイプのリスクを増加させる。
- 東アジアの女性において、未経産はルミナルタイプのリスクを増加させる。
- 日本の大規模コホート研究を用いて統合解析を行った。
- 日本人男女191,519人から17,681人ががんに罹患した。
- 野菜・果物摂取とがん全体の罹患リスクとの関連は見られなかった。
- Mini-Mental State Examination(MMSE老人の認知機能テスト)は完全にランダムな欠損(MCAR)ではなかった。
- 欠損値の補完の最適な方法は回帰分析をするか記述をするかで異なる。
- ゴールドスタンダードであるアイテムレベルの多重代入法で得られた結果とおおむね近い値を示した方法がいくつかあった。
- 自記式食事歴法質問票(DHQ)および簡易版自記式食事歴法質問票(BDHQ)は、たんぱく質・ナトリウム・カリウムのエネルギー調整済摂取量を評価することが可能である。
- 自記式食事歴法質問票(DHQ)は、妊娠中のエネルギー摂取量を推定するために有用なツールである。
- 簡易版自記式食事歴法質問票(BDHQ)では、妊娠中のエネルギー摂取量を推定することは難しい。
- 東日本大震災後、肝機能障害の頻度は増加した。
- 肝機能障害の頻度は、非避難者に比べ避難者で有意に高かった。
- 避難生活は、肝機能障害新規発症の危険因子の一つである。
- 日本における喫煙の学歴格差は、高齢層よりも若年層で大きかった。
- 男女ともに学歴が中卒の者で最も喫煙率が高く、学歴が大学院卒の者で最も低かった。
- 学歴による喫煙率の格差は、男性より女性において急峻であった。
Study Profile
Rationale, design, and profile of the Three-Prefecture Cohort in Japan: A 15-year follow-up
Rationale, design, and profile of the Three-Prefecture Cohort in Japan: A 15-year follow-up
- 三府県コホートは都市と田舎に在住した約10万人の健常者を対象者とした。
- 三府県コホートは職業分類などの詳細な生活習慣を自記式アンケートで調査した。
- 三府県コホートは対象者のがん罹患ならびに死亡原因の情報を収集した。
Volume 27, Issue 3 (March 2017)
- ハゲタカジャーナル(predatory journals)は査読を行っていると主張しているが、実際は全ての投稿論文を出版している。
- ハゲタカジャーナルで出版される論文の殆どは質が低い。
- 研究者はハゲタカジャーナルとちゃんとしたジャーナルの区別ができるように訓練を受ける必要がある。
- ハゲタカジャーナルの隆盛の背景には、研究機関の問題が存在。
- 研究の質や研究に対するトレーニングを向上させる努力が必要である。
- 食事からのビタミンC、カロテン摂取は、中国において全死亡と逆の関連があった。
- これらの関連は、循環器疾患による死亡においてより顕著であった。
- 食事から摂取する抗酸化作用を有するビタミン群は、がん死亡リスクと関連していなかった。
- 状況依存的な乳がんのイニシエーターとプロモーターを同定。
- 個人のリスク層化のための多段階リスクアセスメントモデルを構築。
- 個人のリスクに応じた検診や臨床経過観察を促進。
- 日本の青少年における飲酒行動とインターネット依存・過剰使用の関係について調査した。
- 日本全国から無作為抽出した10万人規模の中高校生を対象に自記式質問票調査を実施した。
- 多変量解析により,青少年の飲酒行動と,問題と思われるインターネット使用との間に有意な関係を認めた。
- 妊娠中の母親の喫煙と乳児期初期の急激な体重増加に関連が認められた。
- この関連には、量反応関係が認められた。
- 本研究は、日本のポピュレーションベースのデータセットに基づくものである。
- 粘液水腫性昏睡の患者において、3分の2が女性であり、平均年齢は77歳であった。
- 死亡率は29.5%であり、推定発症頻度は1.08/100万人/年であった。
- 高齢と、カテコラミンの単独使用もしくはカテコラミンとステロイドの併用が死亡と関連していた。
- 本研究は、わが国の8つの既存のコホート研究の個人レベルデータを用いたメタ解析である(対象者38,854人)。
- この研究では、日本人において糖尿病は心血管病死亡のリスクを上昇させることを明らかにした。
- 年齢階級別にみると、中年期から老年期のいずれの年代でも、糖尿病が心血管病死亡に与える影響は同程度であった。
Short Communication
Metabolic syndrome among non-obese adults in the teaching profession in Melaka, Malaysia
Metabolic syndrome among non-obese adults in the teaching profession in Melaka, Malaysia
- 肥満していないマレーシア人教師におけるメンタボリックシンドローム有病率は17.7%であった。
- メタボリックシンドロームのオッズ比はBMIが23.0 kg/m2から急激に増加していた。
- 肥満していないメタボリックシンドローム有病者(MONO)は男性・インド系マレー人・高齢者に多かった。
Study Profile
Design of the health examination survey on early childhood physical growth in the Great East Japan Earthquake affected areas
Design of the health examination survey on early childhood physical growth in the Great East Japan Earthquake affected areas
- 我々は、東日本大震災被災地の子どもの身体発育状況に関する調査を実施した。
- 就学前の子どもの身体発育指標となる大規模な経時的測定データを自治体の乳幼児健診情報より収集した。
- 東日本大震災後の身体発育状況等子どもの健康に関する疫学的根拠を示してゆく。
Volume 27, Issue 3, Supplement (March 2017)
- プレシジョン・メディスンの実現のためには、遺伝情報・臨床情報・環境情報が重要である。
- バイオバンク・ジャパンプロジェクト(別名:オーダーメイド医療実現化プロジェクト)は、20万人の患者の臨床データベースを構築した。
- この別冊は、バイオバンク・ジャパンに構築された臨床データベースを用いた疫学研究14報を報告する。
- バイオバンク・ジャパン(BBJ)には、47の対象疾患の罹患者20万人が登録された。
- BBJは、世界最大の患者ベースのバイオバンクの一つである。
- BBJは今後、個別化医療の実現に資するだろう。
- バイオバンク・ジャパンプロジェクトにおいて登録時より毎年臨床情報を収集した
- 初回登録時臨床情報の解析によりバイオバンク・ジャパン登録患者の特性を明らかにした
- 家族歴の解析により各疾患の遺伝的素因への影響を明らかにした
- 32疾患で登録された141,612名について追跡生存調査を実施した
- 追跡調査対象者の初回登録時の特性を明らかにした
- 32疾患の中で膵がんの相対生存率が最低であった
- 追跡調査対象者の原死因は悪性腫瘍が最多であった
- 飲酒歴のある食道扁平上皮がん患者は、予後不良だった。
- 低体重の胃がん患者は、予後不良だった。
- 運動習慣がある胃がん患者は、良好な予後を示した。
- 食道扁平上皮がん患者ならびに胃がん患者の予後と喫煙歴との関連は認めなかった。
- BBJに登録された結腸がん、直腸がん患者の95%以上が腺がんであった。
- 直腸がん患者は結腸がん患者よりも肉の摂取量は多く、野菜の摂取量は少なかった。
- 野菜を食べ、適度に飲酒することは、大腸がん患者の死亡リスクを低下させていた。
- 肝臓がんは、世界におけるがん死因の第2位を占める。
- 本報告は、BBJに登録された肝臓がん患者の基本属性を概観することを目的とする。
- 肝臓がんの91.9%は、肝細胞がんであった。
- 本研究における肝臓がんの10年相対生存率は、男性で34%、女性で38%であった。
- BBJをベースとした今後の研究は、肝臓がん予防プログラム開発の一助となることが期待される。
- 日本人肺がん患者のほぼ10人に1人はステージⅣと診断されていた。
- 男女とも、腺がんはもっともよくある組織型であった。
- 肺がん患者において、患者特性の中のあるものは総死亡に影響を及ぼしていた。
- 日本人女性乳がん患者の約1%はステージⅣと診断されていた。
- 浸潤がんは非浸潤がんよりもはるかに多かった。
- 乳頭線管がんが浸潤がんの中でもっともよくある組織型であった。
- 乳がん患者の約75%はエストロゲン受容体陽性、約60%はプロゲステロン受容体陽性であった。
- 乳がん患者において、患者特性の中のあるものは総死亡に影響を及ぼしていた。
- 前立腺がんは、世界におけるがん罹患の第2位を占める。
- 本報告は、BBJに登録された前立腺がん患者の基本属性を概観する。
- 前立腺がんの99.3%は腺がんであった。
- 本研究における前立腺がんの5年相対生存率および10年相対生存率はそれぞれ、96.3%、100.5%であった。
- BBJをベースとした今後の研究は、前立腺がん予防プログラム開発の一助となることが期待される。
- 心血管病慢性期患者を対象とした死亡リスクの予測モデルを開発し,その予測能を独立した集団で検証した。
- このモデルは心血管病慢性期患者における死亡リスクの推定に有用と考えられる。
- 日本人脂質異常症患者の血清コレステロールコントロール状況についてのエビデンスは少ない。
- この研究では、病院にかかる多数の患者データを解析した。
- この研究から、様々なリスクを抱える患者毎の血清コレステロール値が分かった。
- 若年層の患者で最も血清脂質値は低かった。
- 軽症高脂血症患者にこの結果を適用するには注意が必要である。
- スタチン服用によりLDLコレステロール値を下げれば、死亡率を低下させることができる。
- スタチン以外の抗高脂血症薬が死亡率を下げているかについての報告は少ない。
- がんによる死亡率という観点で見れば、スタチン単剤服用は問題がない。
- スタチン服用は大腸がんによる死亡を減らしているかもしれない。
- レジンを単剤で服用している患者の死亡率は最も低かった。
- 糖尿病患者の詳しい血糖コントロール状況を知ることは診療上必要である。
- 1型糖尿病と2型糖尿病の生存時間を比べた研究はほとんど無い。
- 1型糖尿病で2型糖尿病より高いHbA1c値が観察された。
- 2型糖尿病に比べて1型糖尿病でより大きい死亡ハザード比がみられた。
- 2型糖尿病は1型糖尿病に比べて高い割合で大血管合併症を伴っていた。
- 糖尿病にはしばしば致死的な疾病が伴う。
- アジア人型糖尿病患者が共存症を持つことについての生存時間解析報告はほとんど無い。
- 糖尿病患者の共存症の中で、慢性腎疾患が最も大きい死亡率と関連していた。
- 現在喫煙していることは、10歳多く年齢を重ねていることと同等の死亡リスクとなっていた。
- HbA1cが1%高いこと、また収縮期血圧が10 mm Hg高いことは、11%の死亡率増加と関連していた。
Volume 27, Issue 2 (February 2017)
- 交絡は標的集団に依存するだけではなく,交絡自体の四つの観念にも依存する。
- 標的集団として全集団を用いることは有用である。
- 単純な例は,複雑な因果概念を理解するうえで強力な道具となり得る。
- 小児の注意欠陥障害:attention deficit hyperactivity disorder (ADHD) の有病割合は社会的に不利な集団で高いことを示している。
- 本研究では小児期の所得の推移とADHDの発症との関連について調べた。
- 所得が低水準の世帯でADHDの発症が多く観察された。
- 女性では、血清中のポリ塩化ビフェニルレベルは、非喫煙者に比べて喫煙経験 者で高かった。
- 高レベルの残留性有機汚染物質(POPs)濃度を呈するリスクは、非喫煙者に比べ て喫煙経験者で高かった。
- 男性では、高レベルのPOPs濃度を呈するリスクは、非喫煙者に比べて1日15本 未満の現在喫煙者で高かった。
- 職業階層と歯周病発症の関連を検討した初めてのコホート研究。
- 職業階層が、5年後の歯周病の発症に影響を与えることを明らかにした。
- 技術職、販売従事職や運輸・通信従事者が歯周病発症のリスクが高かった。
- 日本における健康寿命は、活動制限割合と死亡率を用いて算出している。
- 我々は、活動制限割合と各種疾病の罹患率のオッズ比と人口寄与危険割合を算出した。
- その結果、整形・眼・精神疾患が活動制限割合に強く影響することが分かった。
- 包括的なヘルスリテラシーに関する調査ツールの妥当性が、アジア数カ国で検証された。
- ヘルスリテラシーは、教育レベルや社会階層と有意に関連していた。
- アジアの公衆衛生調査において、本ツールは信頼性を有することが示された。
Volume 27, Issue 1 (January 2017)
- 我々は、地域住民の心血管イベントを追跡した自治医科大学コホート研究の対象者のうち、追跡血圧を測定した2,227名について検討した。
- 前高血圧症から高血圧症に移行した対象者は移行しなかった対象者に対して、2.95倍の心血管イベントリスクの上昇を認めた。
- 本研究において、イベント発症数が少ないため限界はあるももの、前高血圧症は高血圧に移行することにより心血管イベント発症のリスクが高くなることが示唆された。
- 震災後、避難生活は質の悪い食事と関連していた。
- 自宅に住んでいる者は野菜および果物(ジュース以外)の摂取頻度が高かった。
- 自宅に住んでいる者は肉、豆製品および乳製品の摂取頻度が高かった。
- 保険償還のデータには 脳出血後の発生アウトカムに対する重要な予測因子である脳卒中の重症度がない。
- 保険償還データに基づいた脳卒中の重症度指数は、脳出血の重症度とよく相関する。
- 保険償還データを使用した脳出血の研究でリ
- 妊娠初期、後期とも FFQ による LC-PUFA 推定摂取量には高い妥当性が検証された。
- 食事記録調査によって推定された EPA,DHA 摂取と高い相関を示した。
- 血清リン脂質中の EPA,DHA 値と高い相関を示した。
- 中国において、緑茶摂取が全死亡リスクと逆相関を示した。
- この逆相関は、主に循環器疾患死亡によるものであった。
- 緑茶摂取とがん死亡との間には有意な関連がみられなかった。
- 夕食後の間食習慣は抑うつ傾向と関連した。
- 抑うつ傾向に対して夕食後の間食と就寝前の食事には交互作用が認められた。
- 2つ以上の不健全な食事行動をもつ対象者は抑うつ傾向のリスクが高かった。