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Highlights

Journal of Epidemiology

Volume 30, Issue 4 (April 2020)

Special Article
Causal Diagrams: Pitfalls and Tips
  • 疫学者は、対象とする因果構造に関する既知の事柄を表すツールとして、因果ダイアグラムを用いてきた。
  • 因果非巡回有向グラフは、適切に用いられるならば、因果推論をする上で有用なツールである。
  • 因果非巡回有向グラフを用いる際には、避けるべき多くの落とし穴がある。
  • 因果ダイアグラムは、研究の様々な段階で非常に役立つものであり、研究デザイン、データ収集、分析、研究結果の解釈などの際に用いられる。
  • 因果推論における教育的ツールとして、因果ダイアグラムの価値はとても大きい。
Serum Gamma-Glutamyltransferase, Daily Alcohol Consumption, and the Risk of Chronic Kidney Disease: The Kansai Healthcare Study
  • 血清γ-GTPと慢性腎臓病発症との関連を検討した。
  • 血清γ-GTP上昇は飲酒とは独立して持続蛋白尿発症リスクを増大させた。
  • 血清γ-GTP値と飲酒を組み合わせて解析すると、非飲酒者でγ-GTP高値群の持続蛋白尿発症リスクが最も高かった。
  • 血清γ-GTPと腎機能低下については関連を認めなかった。
Echocardiographic Parameters and the Risk of Incident Atrial Fibrillation: The Suita Study
  • 吹田研究対象者において、心臓超音波検査で測定した指標と心房細動発症リスクの関連を前向きコホート研究で検討した。
  • 吹田研究の心房細動発症リスクスコアで使用される危険因子を調整しても、左房径は心房細動の発症リスクと有意な関連を示した。
  • 左房径を含む、心臓の構造と機能に関する指標を用いて、各指標の1標準偏差ごとの心房細動発症リスクを比較すると、左房径が最も高いハザード比を示した。
  • 本研究はアジアの一般住民集団において、心臓超音波検査で測定した左房径の拡大が心房細動の発症リスクになることを示した、最初の前向きコホート研究である。
  • 一般住民集団の健康診査等において、左房径は心房細動の発症リスクが高い者を同定する際に有用である可能性が、本研究により示唆された。
Associations of Frequency of Laughter With Risk of All-Cause Mortality and Cardiovascular Disease Incidence in a General Population: Findings From the Yamagata Study
  • 山形県コホート研究は日本人一般住民を対象とした前向き研究で、本検討では40歳以上の健診受診者17,152例について解析した。
  • 笑う頻度は自記述式質問票を用いて調査し、「1週間に1回以上」「月に1回以上1週間に1回未満」「月に1回未満」の3群に分類した。
  • 笑う頻度が低い群では、全死亡率および心血管イベント発生率が有意に高かった。
  • この関連は、背景因子調整後も変わらなかった。
Study Profile
Japan Trial in High-Risk Individuals to Enhance Their Referral to Physicians (J-HARP)—A Nurse-Led, Community-Based Prevention Program of Lifestyle-Related Disease
  • 未治療の重症化ハイリスク者を対象に、「受療行動促進モデルを用いた保健指導」による受療促進効果を検証するため、全国43自治体を対象としたクラスターランダム化比較試験を実施した。
  • 一般的な保健指導と比較した「受療行動促進モデルを用いた保健指導」の介入効果を検証するための研究データの収集が完了した。

Volume 30, Issue 3 (March 2020)

Special Article
Japanese Legacy Cohorts: Six-Prefecture Cohort Study (Hirayama Cohort Study)
  • 故平山 雄博士は共同研究者と共に、大規模コホート研究として、わが国の6府県(宮城県、愛知県、大阪府、兵庫県、岡山県、鹿児島県)での死亡追跡調査を実施し、この地域住民のライフスタイルと死亡との関連を調べた(6府県コホート研究または平山コホート研究と呼ばれる)。
  • このコホートのベースライン調査は、1965年の国勢調査に基づく40歳以上の住民を対象に行われ、264,118人(全体の94.8%に相当)が1982年末までの17年間追跡された。
  • この研究から得られた最も重要な知見の1つは、受動喫煙(二次喫煙)曝露と肺がん死亡との関連であり、この成果は、その後の屋内の公共の場や職場での禁煙の世界的な広がりのきっかけとなった。
  • 本稿は、平山コホートから産まれた主要な研究成果を簡潔に紹介し、わが国だけでなく世界に影響を与える研究成果を得て情報を発信された故平山雄先生の先見的な洞察力とリーダーシップにあらためて敬意を表するものである。
Elevated Fasting Blood Glucose Levels Are Associated With Lower Cognitive Function, With a Threshold in Non-Diabetic Individuals: A Population-Based Study
  • 日本人男性集団において認知機能と空腹時血糖の関連を検討した。
  • 認知機能はCASIで評価した。
  • 糖尿病のない男性では血糖値が3.97-6.20mmol/Lの範囲で認知機能が最も高かった。
  • 糖尿病のある男性では、血糖値が高いほど認知機能が低かった。
  • 血糖値と認知機能との関連は糖尿病の有無により異なっていた。
The Association Between Education and Smoking Prevalence, Independent of Occupation: A Nationally Representative Survey in Japan
  • 職業とは独立して、低学歴は日本人の喫煙と有意に関連していた。
  • 喫煙の学歴格差は高齢者よりも若い世代、特に20-39歳の女性で大きかった。
  • 職業に関しては、学歴などの変数の調整後、ホワイトカラー労働者よりもブルーカラー労働者で喫煙者が有意に多い傾向は20-64歳の男性のみに認められた。
  • 65歳以上の女性ではブルーカラー労働者はホワイトカラー労働者よりも喫煙者が少なく、20-64歳女性では職業は喫煙とは関連していなかった。
  • 本研究は日本国民の喫煙率だけでなく喫煙の社会格差も留意する必要性を示唆している。
Socio-Economic Disparities in Early Childhood Education Enrollment: Japanese Population-Based Study
  • 21世紀出生児縦断調査のデータを用いて、3-5歳の子どもに対し施設型保育(幼稚園、認定こども園、保育園)を利用しない家庭の特徴を探索的に調べた。
  • 社会経済的に不利な家庭(親が低所得、低学歴など)ほど施設型保育を利用しない傾向が示された。
  • 子どもに健康や発達の問題(早産など)がある家族も、施設型保育を利用しない傾向が認められた。

Volume 30, Issue 2 (February 2020)

Utility of a Specific Health Checkup Database Containing Lifestyle Behaviors and Lifestyle Diseases for Employee Health Insurance in Japan
  • 特定健康診査では、生活習慣および生活習慣病を調査している。
  • 株式会社JMDCの特定健康診査データベースの集計結果を国民健康・栄養調査の結果と比較した。
  • 特定健康診査集団の方が若く、良好な生活習慣を有していた。
  • 特定健康診査集団の方がメタボリックシンドローム、糖尿病、高血圧症の有病割合が低かった。
  • 健康政策を策定する上で、適切なデータベースを選択することが重要だ。
Self-Reported Hearing/Visual Loss and Mortality in Middle-Aged and Older Adults: Findings From the Komo-Ise Cohort, Japan
  • 10年間の追跡の結果、聴覚の喪失と二重の感覚喪失(聴覚・視覚の両方の喪失)が全死亡の危険因子である可能性が示された。
  • 聴覚の喪失は主にがん死亡率の上昇と関連していた。
  • うつ状態・歩行障害・社会的参加はメディエータとして、聴覚喪失・二重の感覚喪失と死亡の間の関連を多少説明する程度であった。
Sociodemographic Factors Influenced Response to the 2015 National Nutrition Survey on Preschool Children: Results From Linkage With the Comprehensive Survey of Living Conditions
  • 平成27年度乳幼児栄養調査の協力率は64.1%であった。
  • 協力率は、居住地域、世帯構造、母親の特性などの社会経済的要因による違いが見られた。
  • 調査協力の有無に起因する調査推定値のバイアスが見られたものの、その程度は小さかった。
Dental Status is Associated With Incident Functional Disability in Community-Dwelling Older Japanese: A Prospective Cohort Study Using Propensity Score Matching
  • 地域在住高齢者574人を対象とした13年間の前向きコホート研究を用いて,口腔状態と要介護認定の関連を検討した。
  • 交絡因子の影響を低減する目的で,傾向スコアマッチングを用いて両者の関連を検討した。
  • 残存歯数20歯未満は,要介護認定の独立したリスク因子であることが示唆された。
Incidence and Age Distribution of Hospitalized Presumptive and Possible Abusive Head Trauma of Children Under 12 Months Old in Japan
  • 虐待による乳幼児頭部外傷(AHT)は虐待死の主要因であるが、本邦におけるその発生率は今まで報告されていなかった。
  • DPCデータを用いて、2010〜2013年における3歳未満の頭部外傷による入院率とその月齢分布を分析した。
  • 1歳未満入院児において、AHTを強く疑う症例は7.2 人(10万人出生あたり)、AHTの可能性がある症例は41.7人の発生率であった。
  • AHTを強く疑う症例、およびAHTの可能性がある症例の両者で、月齢2ヶ月と8ヶ月頃に最も多い分布を認めた。

Volume 30, Issue 1 (January 2020)

Trends in Serum Lipid Levels of a 10- and 13-Year-Old Population in Fukuroi City, Japan (2007–2017)
  • 日本の袋井市の10歳と13歳の小児の血清脂質の2007年から2017年の動向について検討した。
  • 高LDLコレステロールを持つ者と低HDLコレステロールを持つ者の割合には、性、年齢に関わらず明らかな変化はなかった。一方、高non-HDLコレステロールを持つ者の割合は男児において増加していた。
  • 10歳の男女においてはLDLコレステロールとHDLコレステロールの値は僅かに増加していた。13歳の女子においてはHDLコレステロールの値は僅かに増加していた。
Serum Pepsinogen Values in Japanese Junior High School Students With Reference to Helicobacter Pylori Infection
  • 血清抗体検査と尿中抗体検査両方の結果を用いることで、対象者である中学生のピロリ菌感染診断の正確さの向上を図った。
  • 分析した対象はピロリ菌感染者8人と非感染者171人である。
  • 非感染者に比べ、感染者ではペプシノゲンⅠ、Ⅱとも高く、ⅠとⅡの比は低かった。
  • 中学生のペプシノゲン値の分布は、成人の分布とは異なった。
  • 非感染者では、ペプシノゲンⅠ、Ⅱとも、男子が女子より高値であった。
Association of Vegetable, Fruit, and Okinawan Vegetable Consumption With Incident Stroke and Coronary Heart Disease
  • 沖縄県在住者を対象に野菜、果物および沖縄野菜摂取量と循環器疾患リスクとの関連を多目的コホート研究(JPHC study)において検討した。
  • 野菜、果物および沖縄野菜摂取量のいずれも、循環器疾患リスクとの間に統計的に有意な関連は認められなかった。
  • 個別の沖縄野菜摂取量(チンゲン菜、からし菜、にがうり、フダンソウ、ヘチマ、ヨモギ、パパイヤ)も循環器疾患リスクとの間に統計的に有意な関連は認められなかった。
Study Profile
The Japan Public Health Center-based Prospective Study for the Next Generation (JPHC-NEXT): Study Design and Participants
  • 次世代多目的コホート研究は、生活習慣病の危険因子と、健康寿命の延伸に関連する因子、また、個別化予防に資する因子を明らかにするために、2011年に開始された。
  • 2011年から2016年までに、7県16市町村において、ベースライン調査が行われた。
  • 115,385名(全地域対象年齢の44.1%)から同意を得て、そのうち、55,278名(参加者の47.9%)から血液と尿の提供を受け、人口ベースのコホート基盤が構築された。