- 韓国では2017年の発売以来加熱式たばこの使用が劇的に増加した。これには加熱式たばこに対する肯定的な認知が影響している可能性がある。
- 複数のたばこ製品の使用者の多くは禁煙の意思が低く、加熱式たばこはたばこ会社の主張とは異なり従来型の紙巻きたばこの代替とはなりにくい。
- 韓国の加熱式たばこで使われている「従来型たばこのような電子たばこ」のようなあいまいな製品名は、市場に混乱を招くだけではなく、製品使用の正確なモニタリングを困難にする可能性がある。
Highlights
Journal of Epidemiology
- Volume 32, Issue 8
- Volume 32, Issue 7
- Volume 32, Issue 6
- Volume 32, Issue 5
- Volume 32, Issue 4
- Volume 32, Issue 3
- Volume 32, Issue 2
- Volume 32, Issue 1
- Volume 31
- Volume 30
- Volume 29
- Volume 28
- Volume 27
Volume 32, Issue 8(August 2022)
- 孫の世話は祖父母の健康に決定的な影響を及ぼさない。
- 横断データで示される正の相関は縦断データでは確認できない。
- 祖父の健康は孫の世話に影響されない。
- 孫の世話とは対照的に老親の世話は健康にマイナスの影響を及ぼす。
- 日本の地域住民を対象とした前向きコホート研究において、BMIと帯状疱疹の有病率・発生率との関連を検討した。
- 過体重群は、特に女性において、正常体重群よりも帯状疱疹の発症リスクが有意に低かった。
- BMIと有病率との間に関連は認められなかった。
- 栄養素パターンと脂肪肝の指標であるFatty Liver Index(FLI)との関連を検討した。
- ビタミン、食物繊維、鉄、カリウム摂取の多い栄養素パターンは、飲酒量を含む交絡因子となりうる変数を調整しても、FLIの高値と負の関連があった(傾向性のP-値<0.001)。
- FLIの各要素の検討から、肥満と腹部肥満が、この栄養素パターンとFLIとの関連を介在していることが示唆された。
- 経済危機のがんへの影響を検討した研究は一貫した結果が出ていない。
- これまでの研究の殆どは、非雇用状態を景気後退の指標とし、がん死亡率への影響を見たものであった。
- 20年のフォローアップを行った我々の研究では、1990年台初頭に起きたフィンランドの景気後退は、男性のがんリスク上昇へと繋がる一方、女性ではそのような関連は認められなかった。
- 将来のマクロ経済の退潮の最中あるいはその後の集団の健康を守るためには、様々な健康的・社会的政策ツールが必要である。
- 静岡国保データベース(SKDB)は静岡県民の個人レベルのデータを有する人口ベースの縦断的コホートである。
- SKDBは国民健康保険と後期高齢者保険の全被保険者のデータで構成されている。
- 2012年4月から2018年9月までの期間のSKDBには2,230,848例のデータがあり,その保険加入期間の中央値は4.36年であった。
- SKDBには,654,035例分2,469,648レコードの健康診断のデータと,283,537例分の介護保険サービス受給者のデータがあった。
- SKDBは従来のコホート研究よりも,高齢者の健康課題や明らかになっていない疫学的問題を扱うのに適している。
Volume 32, Issue 7(July 2022)
- 日本人一般集団において、非空腹時の中性脂肪値は脳・心血管疾患の死亡リスクとU字型の関連を示した。
- 65歳未満では非空腹時の中性脂肪高値が脳・心血管疾患死亡リスクの増加と関連する一方、65歳以上では非空腹時の中性脂肪低値が脳・心血管疾患死亡リスクの増加と関連していた。
- 本研究の知見は非空腹時中性脂肪の適正値が年齢で異なる可能性を示唆している。
- 2型糖尿病の罹患は民族間で大きく異なる。
- アジア系の人々においては、肥満が2型糖尿病のリスクに大きく関与する。
- 内臓脂肪面積/皮下脂肪面積比は2型糖尿病と強く関連を示した。
- 内臓脂肪面積/皮下脂肪面積比、日系アメリカ人において最も強い関連を示した。
- 早期発見を積極的に行う対象として腹部肥満者が挙げられる。
- 協会けんぽ京都支部の経年的な健診・医療レセプトデータを用いて行動変容ステージモデルにおける観察開始時のステージがその後の腎機能低下に及ぼす影響を調べた。
- 準備期以降のステージにおける集団では翌年の健康行動の改善割合が高く、年齢性別などの他に糖尿病や高血圧や脂質代謝異常症などで調整しても、eGFRが30%以上低下するリスクが低かった。
- 口腔状態が低下した者で、主観的な認知機能低下の発生確率が有意に高かった。
- 口腔機能のうち嚥下機能の低下で、主観的な認知機能低下の発生確率が最も高かった。
- 主観的な認知機能低下は、将来の認知症発症リスクを高めるが、口腔の健康状態を維持することで主観的な認知機能低下が防げる可能性が示唆された。
- 発育阻害の有病率は、人口集団における5歳未満の子どもの低栄養の評価に広く用いられている。
- 親(特に母親)の低身長は、子どもの発育阻害の改変できない最も大きな決定要因である。
- 発育阻害の要因のうち、母親の身長で説明可能な部分は国によって大きく異なる。
- 母親の身長で調整した発育阻害の有病率は、従来の発育阻害の指標より、他の小児保健の指標とよく相関することがわかった。
- パンデミック直後(2020年2-4月頃)における市民のメンタルヘルスは、世帯構成にかかわらず悪化した。
- それ以降(2020年4月~2021年1月)、同居者がいる者のメンタルヘルスは、徐々に改善した。
- しかし、独居者では、流行直後から約1年間(2020年2月~2021年1月)メンタルヘルスの不良状態が持続していた。
Volume 32, Issue 6(June 2022)
- コックス比例ハザードモデルを用いて、日本の高齢者において趣味活動の総数と死亡リスクとの間にリニアな関係(調整ハザード比 = 0.93、95%信頼区間:0.92, 0.95)が認められた。
- 身体的活動を伴う趣味および2人以上で行う趣味への参加は、死亡リスクの低下と有意な関連を示した。
- 文化的活動を伴う趣味および1人で行う趣味への参加に関しては、死亡リスクの低下との有意な関連はみられなかった。
- 農村部では、市民参加率が高い地域ほど閉じこもりの高齢者が少なかった。
- 農村部では、近隣にウォーキングや運動に適した公園や舗装道路が多い地域ほど閉じこもりの高齢者が少なかった。
- 地域のソーシャルキャピタルや近隣の建築環境の改善は、農村部における高齢者の閉じこもりを減らす可能性がある。
- 口唇裂と口蓋裂を有している子供と口蓋裂のみを有している子供は1歳までの下気道感染症の発症リスクと有意に関連していた。しかし、口蓋裂のみを有している子供は関連していなかった。
- 累積母乳摂取期間をモデルに加えた場合、口唇裂と口蓋裂を有している子供の下気道感染症発症のリスクは低下した。
- 本研究に含まれた口唇口蓋裂を有する子供の人数が十分ではなかっため、本研究結果は不確実性が高いことに留意すべきである。
- 東日本大震災後の高LDLコレステロール血症の発症率は、非避難者と比較して避難者の方が有意に高かった。
- 様々な因子を調整しても、避難は高LDLコレステロール血症発症の独立した危険因子であった。
- 避難者に対して、定期的な健康診断や必要に応じてライフスタイルの改善を指導することが重要である。
- 長時間労働が健康を損なうことは先行研究で広く報告されている。
- 本研究は精神疾患による長期病休をアウトカムとする研究である。
- 残業時間と精神疾患による長期病休のリスクの関連はU字型であった。
- 残業時間が月100時間以上の群でリスクの有意な上昇が認められた。
- 残業時間が月45-79時間の群ではリスクの有意な低下が認められた。
- 日本の農村地域在住高齢者における近隣食環境と食品摂取多様性との関連性を検討した。
- 多変量回帰分析の結果、自宅から最寄りの食料品店までの距離が遠いことと食品摂取多様性が低いことの間に有意な関連が認められた。
- 食料品店の種別ではスーパーマーケットとコンビニエンスストアまでの距離が遠いことと食品摂取多様性が低いことの間には有意な関連がみられたが、その他の小規模の商店においては有意な関連はみられなかった。
- 食品群別に検討したサブ解析では、食料品店までの距離は肉類と果実類の低い摂取頻度と有意に関連していた。
- 食料品店、特にスーパーマーケットやコンビニエンスストアから距離が遠いというような食品摂取多様性が低くなるリスクが高い地域では、重点的に介入を行う必要性があることが考えられる。
Volume 32, Issue 5(May 2022)
- 本研究では、従来型脂質とレムナント脂質の代謝性リスクを調べた。
- レムナント脂質は、中性脂肪を多く含むリポ蛋白質(TGL)の粒子径に応じて、冠動脈疾患と虚血性脳卒中に与えるリスクが異なる。
- TGLが異なれば、各循環器疾患に与える影響も正負の向きも含め異なることから、必ずしもすべてのレムナント脂質が有害で、治療的介入が必要であるわけではない。
- 本研究によって、介入目標となりうるレムナント脂質に関する因果効果に基づくエビデンスが得られた。
- 多群分割時系列解析モデル(ITS解析)を用いて、歯科医療の公的保険の範囲拡大の高齢者の咀嚼能力への因果関係を検証することを目的とした。
- 2007年から2016年~2018年に実施された韓国国民健康・栄養検診調査のデータを用いた。
- ITS解析の結果、保険適用になった65歳以上の高齢者(適格群)とそうでない65歳未満の者(非適格群)では、政策拡大後に咀嚼困難度が毎年それぞれ0.93%および0.38%減少していた。
- 韓国の歯科保険拡大の適格群、非適格群両方とも、咀嚼困難度は時間の経過とともに減少した。これらの傾向には、歯科保険給付の変化とは別の要因が影響していると考えられる。
- 肝機能指標であるALTとGGTの組み合わせが、肥満に有無に関係なく糖尿病の有病と関連するか検討した。
- ALTやGGTの高値(カットオフ値ALT:30IU/L、GGT:50IU/L)は、非肥満者においても糖尿病の有病と関連した。
- 肥満者は、ALTとGGTが低値でも糖尿病の有病オッズ比が高く、ALTやGGTが高値の場合は更に糖尿病の有病オッズ比が高かった。
- ALT値およびGGT値の改善と肥満の改善が糖尿病対策に重要であることが示唆された。
- 子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)詳細調査は、全体調査参加者の中から無作為に抽出された一部を対象としてより詳細な曝露評価・アウトカム評価を実施するものである。
- 1.5歳・3歳時には訪問調査、2、4、6、8歳時には発達検査や医学的検査を実施する。10歳以降の詳細な計画は検討中である。
- 詳細調査には5,017名(リクルート時)が参加し、そのプロファイルは全体調査のものと大きな違いはなかった。
- エコチル調査詳細調査は、環境要因と子どもの健康の関連を明らかにするプラットフォームを提供するものである。
- 先行研究によると、欧米人では体重変化は認知症発生リスクとの関連があることが示唆されたが、アジア人ではまだ明らかになっていない。
- 本研究は、初めて日本人高齢者における体重減少と認知症発生リスクとの関連を報告した。
- 本研究では、3.5㎏以上の体重減少により認知症発生リスクが増加することを明らかにした。
Volume 32, Issue 4(April 2022)
Special Article
AI Implementation Science for Social Issues: Pitfalls and Tips(社会課題に対するAI実装科学:落とし穴と注意点)
AI Implementation Science for Social Issues: Pitfalls and Tips(社会課題に対するAI実装科学:落とし穴と注意点)
- 社会実装のアウトカムは、現場と協働しながら、どのような課題を解決すべきかの合意形成に基づき、丁寧に設定する必要がある。
- エビデンスを参照した実践と、蓄積されたデータから実践を評価するループを繰り返せるよう、実装計画を行うことが重要となる。
- うまくいった新しいシステム機能を残し、うまくいかなかった機能を改善するというサイクルを、いかにすばやく研究から実装まで循環させることがポイントとなる。
- プロダクトを社会実装する際は、研究者は常にそれらを大規模に展開させ、社会的インパクトを最大化させる出口戦略を描く必要がある。
- このような社会実装に向けた展開には、研究開発としての持続可能なサービスチーム(SSTRD)モデルを構築する必要がある。
- 2014年4月1日から2017年3月31日までにFIAの治療のために入院した9,079人の患者をDPCデータベースから同定した。
- 0~3歳、4~6歳、7~19歳、20歳以上の患者でFIAの原因食物として最も多かったのは、それぞれ鶏卵、牛乳、落花生、小麦であった。
- 学校におけるピーナッツアレルギー対策が重要である。
- 女性の出生時体重が後の妊娠中の合併症リスクとどのように関連しているかの、アジア系の女性に関する大規模な疫学研究はない。
- 本研究では大規模な横断情報を利用して、日本人女性では低出生体重で生まれると妊娠高血圧症候群の発症リスクが高いことを示した。
- 妊娠糖尿病のリスクは、1500〜2500グラムで生まれた女性では出生体重2500〜3500グラムで生まれた女性と比較して有意に高かったが、他の出生体重カテゴリーの女性の間では有意ではなかった。
- 家庭内ケア(子育て、介護、ダブルケア)を行う者は、家庭内ケアを行わない者に比べて、重複負担により健康状態が悪化している可能性がある。
- しかし、家庭内ケアの組み合わせによる健康影響を検討した先行研究はない。
- 本研究は、2013年国民生活基礎調査データを用い、家庭内ケアと主観的不健康感の関連を検討した。
- 家庭内ケアを行わない者と比較して、介護あるいはダブルケアを行う者は主観的不健康感を訴える者の割合が高く、特に、ダブルケアを行う者は、4群(家庭内ケアなし、育児のみ、介護のみ、ダブルケア)の中で一番高いオッズ比を示した。
- 社会経済的状況による家庭内ケアと主観的不健康感の関連についての交互作用は認められなかった。
- 日本の山形県鶴岡市で実施したコホート研究では、紙巻きたばこと加熱式たばこの併用者は、加熱式たばこを併用し始めてから、以前より多くのたばこ製品を吸う/使用する傾向があった。
- 併用者では、紙巻きたばこのみの喫煙者や加熱式たばこのみの使用者よりも、呼吸機能検査でのFEV1(1秒量)の年間減少量が大きかった。
- 平均1.7年前に加熱式たばこのみの使用に切り替えた喫煙者での1秒量の年間減少量は、紙巻きたばこのみの喫煙者と同等であった。
- 本研究の結果は、たばこ対策を検討する際に、紙巻きたばこと加熱式たばこの併用者を高リスク群として扱うべきであることを示唆している。
- 2021年7-8月に行った調査において、日本の妊婦のCOVID-19ワクチン接種率は13.4%、ワクチン忌避は50.9%であった。
- ワクチン忌避の理由では、副反応や胎児および授乳への影響に関する心配が多く、妊婦への適切な情報提供が重要と考えられた。
- ワクチン忌避に関連する因子として、政府への不信頼が認められた。
- 2020年4月~9月のCOVID-19感染拡大下において、収入の低下、生活必需品を買えない金欠、家計への不安は、心身の健康状態の悪化と相関していた。
- 非就労者においてのみ、経済的搾取(個人の資産を許可なく第三者に使われる)と心身の健康状態の悪化に相関が見られた。
- 回答者の13.6%が10万円特別定額給付金を受け取っていないと回答しており、給付金の個人への分配が各家庭内で停滞していた可能性が示唆された。
Volume 32, Issue 3(March 2022)
- 日本の女性看護職における女性ホルモン使用について10年間にわたる前向き研究を行った。
- 経口避妊薬の使用率は6%であった。
- ホルモン補充療法(HRT)の使用率は13.8% であり、HRT使用期間の中央値は2年であった。
- HRT使用者のうち, 66.2%は45〜54歳で開始していた。
- 我々の大規模コホート研究は、日本人一般住民におけるヘモグロビン濃度と脳卒中との関連を解明することを目的とした。
- ヘモグロビン濃度が低いものは脳卒中発症のリスクが高かった。
- ヘモグロビン濃度と脳卒中の分析では、クモ膜下出血が最も強く関連していた。
- 世界保健機関の定義するヨーロッパ地域の国々の60%未満の国でしか、全国を対象にした電子タバコ利用に関する法律を持っていなかった。
- 欧州連合加盟国の方が非加盟国よりも法制化がなされていた。
- 法律における電子タバコ利用の規制対象となる場所の種類は国によって異なっていた。保護対象としてもっとも一般的な場所は教育施設であった。
- 電子タバコ規制の法制化には、ある程度の困難を伴った。
- 電子タバコ利用制限の制定や施行において直面する問題を解決するために必要なサポートは国によって異なるであろう。
- ヨーロッパにおける大規模断面調査において、2017~2018年の一般集団における加熱式たばこ(heated tobacco products)使用はまだ限定的であった。
- しかしながら、他のたばこ製品との併用(dual use)、若い世代での高い使用割合、および非喫煙者の加熱式たばこへの関心が懸念された。
- これらの結果は、加熱式たばこの使用と使用者の属性についての詳細なモニタリングが必要であることを示している。
Short Communication
The Association Between Sleeping Pill Use and Metabolic Syndrome in an Apparently Healthy Population in Japan: JMS-II Cohort Study(日本人における睡眠薬とメタボリック症候群の関係 : JMS-Ⅱコホート研究)
The Association Between Sleeping Pill Use and Metabolic Syndrome in an Apparently Healthy Population in Japan: JMS-II Cohort Study(日本人における睡眠薬とメタボリック症候群の関係 : JMS-Ⅱコホート研究)
- 非睡眠薬使用者と比べ、短時間睡眠の睡眠薬使用者のメタボリック症候群のオッズ比は3であった。
- 睡眠薬の使用頻度は、メタボリック症候群の有病率と正の関係があった。
- 短時間睡眠の睡眠薬使用者は、特に代謝機能障害や動脈硬化を有しやすい可能性があり、要注意である。
Volume 32, Issue 2(February 2022)
- 母親および子どものウェルビーングに対するオンラインによるピアサポートの効果を検討するため、システマティック・スコーピングレビューを行った。
- 21の文献をレビューした結果、母親は情報や感情面でサポートを受け、つながりやコミュニティ感覚を感じていることがわかった。
- 母親のメンタルヘルスに対する効果は報告されていたが、オンラインによるピアサポートの効果に関するエビデンスは不十分である。
- 東北メディカル・メガバンク計画が推進する出生三世代コホート調査に登録された、妊婦のベースラインにおける背景および周産期予後を報告した。
- 妊婦の社会人口統計学的ベースラインデータ、感染症スクリーニング検査の結果、産科学的転帰を母親の年齢層別に解析した。
- 23,730 名の胎児を含む23,406 件の妊娠、23,143 名の生産児のデータが得られ、ベースラインにおける妊婦背景の分布と年齢層別の周産期予後が明確に示された。
- 本コホート研究のデータを幅広く共有することで、DOHaD研究に革新的なブレークスルーをもたらす戦略的情報を得ることができる。
- ベースラインデータは、東京医科歯科大学救命救急センターで治療を行った患者19,420人である。
- 外国人患者は、日本人患者よりアナフィラキシー、熱傷、感染症の診断が多く、心血管疾患の診断が少なかった。
- 外国人患者のアナフィラキシー症例はすべて食物に起因し、そのうち71%は日本の伝統的な「そば」の麺、魚、または貝類が引き金となっていた。
- 第三次救急医療において、日本人と外国人の間では、患者ケアのアウトカムに顕著な差は認められなかった。
- 婚姻状況の変化と野菜摂取量との関連を検討した。
- 配偶者との死別の経験と野菜摂取量の減少は関連していた。
- 婚姻状況を考慮した食事指導が必要である。
- 2017年、山形県で総感染者数60人の麻疹流行を認めた。
- 時間データを解析することで、感染世代毎の感染者数と再生産数(1人の感染者が生み出す二次感染者数の平均値)を推定した。
- 感染ネットワークを用いることで、時間が進むにつれて1人の感染者が生み出す二次感染者数の平均値と分散が共に低下した。
- 咽頭粘液内高ウイルス量が感染性に寄与する可能性があることが示唆された。
- 2020年9月から2021年3月における都内病院の来院者23,324人の新型コロナウイルスに対する抗体の保有状況を解析した。
- 全検体の抗体保有率は1.83%であった。
- 2021年3月における東京都の抗体保有率は3.4%と推定され、470,778人が新型コロナウイルスに感染歴があると推定された。
- 推定された2021年3月の抗体保有者は、実際に2021年3月までに感染が確認された数の3.9倍で、新型コロナウイルス感染の74.3%が診断されなかった可能性が示された。
Volume 32, Issue 1(January 2022)
- 親の労働状況は子どもの座位行動と関連していた。
- 母親の労働時間が長い家庭や父親が無職の家庭では、子どもの座位時間が長かった。
- 父親が働いている子どもに限定すると、父親の労働時間と子どもの座位時間との間に統計的に有意な関連はなかった。
- 各家庭が多様な労働状況にある中、育児資源の不足を補うことを含め、様々な支援と対策が必要かもしれない。
- 全世界的に労働災害を減らすためにかなりの努力が払われている。しかしながら、労働災害後に起こる精神的な影響、特にその状態を予防するための対策については、ほとんど知られていない。
- 全国代表コホートを用いて、職業性受傷のある労働者、非職業性受傷のある労働者、及び受傷のない労働者において精神医学的影響を明らかにした。職業性受傷のある労働者は非職業性受傷のある労働者と同様に、受傷のない労働者と比較して精神障害を発症するリスクが高かった。
- 一般的な考えに反して、時間の経過とともに精神障害発症との関連が弱まることはなく、受傷後10年間同様に関連がみられた。
- 2005年-2017年の健康保険組合加入者の医療データベースを用いて、ムンプス難聴の発生頻度を検討した。
- 全体のムンプス難聴の発生率は、ムンプス患者10,000人当たり15.0人であった。
- ムンプス難聴の発生率は、16~64歳が0~15歳に比べて8.4倍高く、6~15歳が0~5歳に比べて7.2倍高かった。
- ムンプス難聴の発生ピークは6~15歳、次いで26~35歳であり、この2つの年齢層はムンプス難聴の発生リスクが高いことが示された。
- 本研究は日本の臨床研究法(CTA)が臨床研究数に与える影響を検証した初の研究であり、分割時系列分析(ITSA)を用いている。
- CTA施行後の1年間で、新規臨床試験の月次件数のトレンド(傾き)とレベル(切片)が大幅に減少したことが示された。
- マルチグループITSAを用いた分析では、サンプルサイズが小さい研究、介入研究、および資金源が非営利の研究で特に新規研究数のトレンド(傾き)の減少傾向が見られた。
- 研究の透明性と安全性を確保しつつ臨床研究を促進する新たなシステムを構築することが必要である。
- 本研究の目的は、HPVワクチン接種歴のない日本人青少年について、「重篤である多様な症状」の有訴率と発症率を推定することである。
- 2016年に、全国規模の記述疫学研究を実施した。調査対象期間は2015年7月~12月の6ヵ月間とした。
- HPVワクチン接種歴のない12~18歳の女子では、「多様な症状」の6 ヵ月間の期間有訴率は人口10万人あたり20.2、年間発症率は人口10万人あたり7.3と推計された。
- HPVワクチン接種歴のない女子も、HPVワクチン接種後に報告された症状と同様の「多様な症状」で病院を受診していた。
- 本研究結果は、日本人青少年において、HPVワクチン接種後に発症するが接種とは関連がないと考えられる、すなわち偶然発症の「多様な症状」による医療需要を予測している。
- 天津出生コホートは、中国北部における大規模な出生コホート研究である。
- 目的は妊娠中のばく露と健康影響を明らかにすることである。
- 母親と父親は、妊娠初期にリクルートされ、その後、妊娠中期・後期、出生時、出生から42日後、6ヶ月後、1歳以降は毎年1回、追跡調査が行われる。
- 母親の血液、父親の血液、胎盤、臍帯血、母乳、児の尿、便など、さまざまな生体サンプルが定期的に収集される。