Highlights

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Journal of Epidemiology


Volume 29, Issue 3 (March 2019)

1) Special article
The Circulatory Risk in Communities Study (CIRCS): A Long-Term Epidemiological Study for Lifestyle-Related Disease Among Japanese Men and Women Living in Communities
● Circulatory Risk in Communities Study (CIRCS)は、国内の5地区約12000人の住民からなる、現在も進行中の生活習慣病のダイナミックコホート研究である。
● 50年以上に渡り実施されてきたCIRCSの最も大きな特徴は、循環器疾患の特徴を地域ごとに把握し、その背景となる要因を明らかにすることを通して、地域の予防対策の展開につなげていく点にある。

2) Social Capital and Dietary Intakes Following the 2011 Great East Japan Earthquake and Tsunami
● 女性においてソーシャル・キャピタルが低いことは、食事摂取不良と関連していた。
● 離婚、死別、独身の被災者は、食事摂取不良であった。
● 年齢が65歳未満であることは、食事摂取不良と関連していた。
● 陸前高田市の住民は、比較的良好な食事摂取状況であった。

3) Prevalence and Correlates of Dyslipidemia Among Men and Women in Palau: Findings of the Palau STEPS Survey 2011–2013
● 本研究はパラオ共和国の地域における生活習慣病のリスクである脂質異常に関する初めての研究である。
● パラオ共和国の2011年から2013年にかけて実施されたSTEPS調査を用いて脂質測定値に関しての解析を行った。
● パラオ人は、高BMI値や肥満の割合が多いにもかかわらず、総コレステロール高値の割合が低かった。
● パラオ人男性は非パラオ人男性より総コレステロールの平均値が低く、パラオ人女性は非パラオ人女性より中性脂肪値が高かった。
● 血清脂質の平均値は年齢、民族と居住地域によって異なった。

4) The Prospective Association Between Plasma Concentrations of Cellular Growth Factors and Risk of Heart Failure Mortality in Japanese Population
● 血清中のインスリン様成長因子濃度と心不全死亡との関連についての疫学的エビデンスは限られている。
● 40-74歳の男女を約9年間追跡したコホート内症例対照研究を実施した。
● 血清中のインスリン様成長因子濃度(インスリン様成長因子-I、インスリン様成長因子-II、インスリン様成長因子結合タンパク-3、トランスフォーミング増殖因子-β1)を88名の心不全死亡例と88名の対照例で測定した。
●インスリン様成長因子-IIの1標準偏差(女性120.0 ng/ml、男性134.7 ng/ml)増加は心不全死亡の半減と関連した。

5)Impact of Comorbidities on Survival in Gastric, Colorectal, and Lung Cancer Patients
● がん患者における、がん以外の慢性疾病(併存疾患)の有無と生存期間の関係を調べた。
● 大阪府の地域がん登録データと5つの病院のDPCデータをリンケージしたデータを用いた。
● コックス回帰分析で交絡因子を補正すると、併存疾患を持つ患者は持たない患者に比べて生存期間が短かった。
● 併存疾患の存在はがん患者において独立した負の予後因子であることが示された。

6) Effects of Omitting Non-confounding Predictors From General Relative-Risk Models for Binary Outcomes
● 二値アウトカムに関する一般化相対リスクモデルから非交絡予測変数を除外する場合の効果について評価した。
● バイアスおよび精度はロジスティック回帰の場合と定性的に類似していた。
● バイアスおよび精度は、実際の相対リスクの大きさに関連して、ロジスティック回帰の場合よりも多少上回った。
● 除外した変数について更に懸念することなく、一般的な相対リスクモデルを利用できる。

Volume 29, Issue 2 (February 2019)

1) Physical Activity and Health-Related Quality of Life Among Low-Income Adults in Metropolitan Kuala Lumpur
● 身体活動は、健康とQOLを改善するための費用対効果のよい方法であるかも知れない。
● マレーシアにおける低収入の都市居住者の5人に1人は身体的に不活動であった。
● 身体活動量の推奨値を満たしている人はよりよいQOLスコアを示した。
● メンタルヘルスの改善に身体活動の介入を利用できる可能性がある。

2) Association of Low Family Income With Lung Function Among Children and Adolescents: Results of the J-SHINE Study
● 東京近郊に住む1224人の子どもを対象として分析を行った。
● 所得の高い家庭に住む子どもと比べて、所得の低い家庭に住む子どもの呼吸機能は低かった。
● 生活に困窮する家庭に住む子どもに対して早期介入が必要である。

3) Physical Activity Earlier in Life Is Inversely Associated With Insulin Resistance Among Adults in Japan
● 若年期に運動を継続してきたひとは,壮年期のインスリン抵抗性を示す割合が低かった。
● 若年期に運動を継続してきたひとは,現時点での肥満度と関係なくインスリン抵抗性の割合が低かった。
● すべての結果において,男女を問わずインスリン抵抗性に関して同じような効果が認められた。

4) Cedar Pollinosis and Mortality: A Population-Based Prospective Cohort Study in Japan
● 日本人集団におけるスギ花粉症と死亡との関連をコホート研究(高山スタディ)において検討した。
● 本研究では事前に検証されたスギ花粉症の症状に関する質問を使用した。
● スギ花粉症であることは全死因死亡および呼吸器疾患による死亡のリスクを低下させた。
● スギ花粉症と癌による死亡および心血管疾患による死亡との有意な関連は認めなかった。

5)Exploring 2.5-Year Trajectories of Functional Decline in Older Adults by Applying a Growth Mixture Model and Frequency of Outings as a Predictor: A 2010–2013 JAGES Longitudinal Study
● 日本人高齢者の機能低下パターンとして、男女別に3パターンが抽出された(「徐々に悪化」「中等度を維持」「急激悪化」)。
● 多くの日本人高齢者は、機能低下発生後、「徐々に悪化」パターンに属していた。
● 外出頻度が少ない自立男性高齢者は、そうでない高齢者に比べて、機能低下発生後、「中等度を維持」パターンにより属していた(「徐々に悪化」パターンを基準)。

6) Study Profile
A Community-Wide Intervention Trial for Preventing and Reducing Frailty Among Older Adults Living in Metropolitan Areas: Design and Baseline Survey for a Study Integrating Participatory Action Research With a Cluster Trial
● 東京都大田区では、フレイルを先送りするための地域介入研究が開始された。
● 15,500名の住民を対象としたベースライン調査が実施された(回収率76.9%)。
● 調査結果に基づく介入は、アクションリサーチとしておこなわれる。
● 大都市における地域ぐるみのフレイル予防戦略が開発される。

Volume 29, Issue 1 (January 2019)

1) Review Article
Contribution of Diabetes to the Incidence and Prevalence of Comorbid Conditions (Cancer, Periodontal Disease, Fracture, Impaired Cognitive Function, and Depression): A Systematic Review of Epidemiological Studies in Japanese Populations
● 糖尿病関連の併存疾患の有病率や罹患率は、国外から多数の研究が報告される一方で我が国独自の調査は少ない。
● 本研究では、悪性新生物、歯周病、骨粗鬆症、認知機能低下、うつ病の有病率・罹患率を糖尿病患者と糖尿病でない者の間で比較した日本国内の疫学研究についてシステマティックレビューを行なった。
● 糖尿病と悪性新生物についての疫学研究は多く、日本国内の研究のみでメタアナリシスも実施されていたが、その他の疾患ではコホート研究デザインのものはそれぞれ1報のみであった。
● 糖尿病と歯周病、骨粗鬆症、認知機能低下、うつ病の有病率・罹患率の関連を示す日本国内で実施された研究は乏しいため、今後多くの研究が実施されエビデンスが確立されることが望まれる。

2) Changes in Smoking Status and Mortality From All Causes and Lung Cancer: A Longitudinal Analysis of a Population-based Study in Japan
● 追跡期間中に生じた喫煙習慣の変化を考慮した解析を行った。
●喫煙変化を考慮した解析による過去喫煙者の死亡リスクが高くなった。
●追跡期間中に病気のために新たに禁煙した人の死亡リスクは喫煙継続者のよりも高かった。

3) Birth Anomalies in Monozygotic and Dizygotic Twins: Results From the California Twin Registry
● 米国初の双生児研究において、9種類の出生時異常に対する、遺伝的因子と親由来因子の関連を検討した。
● カリフォルニアにおける双生児における出生時異常は、1957年から1982年の間、わずかながら低下した。
● 内反足と斜視に関して、一卵性双生児と二卵性双生児の間の高い一致率が認められた。
● 両親の喫煙は脊椎管欠損と斜視のリスクを上昇させた。

4) Number of Teeth, Oral Self-care, Eating Speed, and Metabolic Syndrome in an Aged Japanese Population
● 歯が20本未満の高齢者はメタボリック症候群のリスクが高い。
● 早食いの高齢者はメタボリック症候群のリスクが高い。
● 歯間清掃用具を毎日使用している男性の高齢者はメタボリック症候群のリスクが低い。
● 歯が少ないことと早食いが組み合わさるとメタボリック症候群のリスクが高まる可能性がある。

5) Short communication
Subjective Household Economic Status and Obesity in Toddlers: A Cross-Sectional Study of Daycare Centers in Japan
● 世帯の経済状態が低いことが学童期の子どもの肥満と関連することが知られている。
● 幼児期の肥満に対する経済状況の影響は明確になっていない。
● 世帯の経済状態にゆとりがないことが幼児期の肥満と関連していた。