Journal of Epidemiology

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日本語版Highlights

 

Volume 34, Issue 1-4 (2024)

Issue 4 (April 2024)
Issue 3 (March 2024)

Issue 2 (February 2024)

Issue 1 (January 2024)

Volume 34, Issue 4 (April 2024)

Validity of Using Japanese Administrative Data to Identify Inpatients With Acute Pulmonary Embolism: Referencing the COMMAND VTE Registry [日本の退院患者調査(DPCデータ)を用いた急性肺塞栓患者の抽出の妥当性評価:COMMAND VTE Registryをゴールドスタンダードとして]
 
  • 日本のDPCデータから急性肺塞栓症の入院患者を抽出するアルゴリズムの妥当性を、既存のレジストリをゴールドスタンダードとして用いて評価した。

  • 日本のDPCデータベースの退院サマリ情報(様式1)の診断名情報を用いて、急性肺塞栓患者の90%以上を抽出できた。

  • 症候性急性肺塞栓症の94.6%を、診断名情報によるアルゴリズムにより抽出できた。

  • 診断名情報によるアルゴリズムは、日本のDPCデータベースから比較的高い感度で急性肺塞栓症の入院患者を抽出できると考えられる。

Associations Between Lifestyle Factors and Constipation Among Survivors After the Great East Japan Earthquake: A 9-year Follow-up Study (東日本大震災被災者における生活習慣と便秘の関連:9年間の追跡調査)
 
  • 本研究は、被災者における9年間の追跡調査を行い、生活習慣と便秘の関連について検討した。

  • 男女ともに、年齢が高いこと、心の健康状態が悪化していること、身体活動が少ないことが便秘と有意な関連があった。

  • 女性においては、食事回数が少ないことと便秘に有意な関連があった。

  • 災害発生後、中長期的な被災者支援が重要であることが示唆される。

Development and Validation of Prediction Models for the 5-year Risk of Type 2 Diabetes in a Japanese Population: Japan Public Health Center-based Prospective (JPHC) Diabetes Study (5年間の2型糖尿病罹患リスクの予測モデルの開発および検証: 多目的コホート糖尿病研究)
 
  • 本研究では、日本人を対象とする住民ベースコホート研究の参加者において、5年間の2型糖尿病罹患リスクの予測モデルを開発および検証を行った。

  • 本前向き研究では、侵襲性と非侵襲性の予測因子を用いて、5年間の糖尿病罹患リスクを予測するモデルを作成した。

  • 非侵襲的リスクモデルのROC曲線下面積は0.643であり、非侵襲性の予測因子にHbA1c値を追加したリスクモデルのROC曲線下面積は0.786、HbA1cと空腹時血糖値を加えたリスクモデルのROC曲線下面積は0.845であった。外部検証コホートにおいて、各モデルの判別能が十分であることが確認され、非侵襲性の予測因子にHbA1cを追加したリスクモデルは、較正能も十分であることが確認された。

Impact of Radiofrequency Exposure From Mobile Phones on the Risk of Developing Brain Tumors in Korean and Japanese Adolescents: A MOBI-Kids Case-control Study (韓国と日本の若年者において携帯電話からの高周波電磁界が脳腫瘍発生に与える影響: MOBI-Kids症例対照研究)
 
  • 第2世代携帯電話 (2G) やPHSは1990年代日本で広く普及したが、韓国では2000年代に第3世代から普及が進んだ、第2世代の出力は第3世代よりもかなり大きいことが知られている。

  • MOBI-Kids国際症例対照研究では、若年者において携帯電話(低周波ばく露を含む)と脳腫瘍の関連を認めないことが報告されている。

  • 本研究では、特に韓国と日本の携帯電話普及状況の差に着目して、若年者における携帯電話の通話利用が脳腫瘍のリスクと関連するかを検討した。

  • 本研究により、携帯電話使用あるいは、高周波ばく露は神経膠腫または脳腫瘍リスクを増加させないと結論付けられた。

Epidemiologic Trends and Distributions of Imported Infectious Diseases Among Travelers to Japan Before and During the COVID-19 Pandemic, 2016 to 2021: A Descriptive Study [COVID-19流行前後の訪日渡航者における輸入感染症の疫学的動向と分布(2016~2021年):記述的研究]
 
  • COVID-19流行後、世界中で渡航状況が変化した。それに伴い、日本の感染症発生動向調査に基づく輸入感染症の疫学も大きく変化した。

  • 輸入感染症の報告数は、事前に選定した全15疾患で減少した。

  • 一方で訪日渡航者あたり報告数は、15疾患のうちアメーバ赤痢、マラリアにおいて顕著な絶対的、相対的増加を認めた。

  • 輸入感染症の早期診断・治療に資するため、渡航者あたり報告数の相対的・絶対的変化を評価し、臨床現場へ情報提供することは重要である。

Statistical Data
Surveillance of Wastewater to Monitor the Prevalence of Gastroenteritis Viruses in Chiba Prefecture (2014–2019) [下水サーベイランスによる千葉県における胃腸炎ウイルスの流行状況の把握(2014-2019)]

  • 感染症発生動向調査で報告された胃腸炎ウイルス陽性検体数と下水中の胃腸炎ウイルス検出状況を比較評価した。

  • 胃腸炎ウイルス陽性検体が報告されていない期間も、下水から胃腸炎ウイルスが検出されていた。

  • 小児科定点医療機関ごとの感染性胃腸炎の患者数は、下水から検出されたノロウイルスGIIと最も強い相関が見受けられた。

  • 下水サーベイランスは、定点報告による感染性胃腸炎のサーベイランスを補完できることが示唆された。

  • 下水サーベイランスは、感染性胃腸炎のサーベイランスに有用なツールとなり得る。

 

Volume 34, Issue 3 (March 2024)

Diabetes, Prediabetes, and the Risk of a Composite Outcome of Long-term Sickness Absence and Pre-retirement Death Due to Physical Disorders(糖尿病・前糖尿病と、身体疾患による長期病休と在職中死亡の複合アウトカムとの関連)
 
  • 日本人労働者を対象に、糖尿病・前糖尿病と、身体疾患を理由とした長期病休および在職中死亡の複合アウトカムとの関連を前向きに調べた。

  • ベースライン時点での糖尿病・前糖尿病は、身体疾患による複合アウトカムのリスク上昇と関連していた。

  • 疾病別にみると糖尿病・前糖尿病はがん、心血管疾患、筋骨格系疾患、外傷による複合アウトカムのリスク上昇と関連していた。

Claims-based Frailty Index in Japanese Older Adults: A Cohort Study Using LIFE Study Data(日本人高齢者におけるClaimed-based frailty index: LIFE Study)
 
  • 本研究の目的は、医療レセプトデータベースからフレイルを判定するClaimed-based frailty index (CFI)が、日本人高齢者にも適用できるかを、有害事象の予測を通して検討することである。 

  • 2014年4月から2019年3月に、ある12市町村の国民健康保険後期高齢者医療制度に加入している高齢者を対象にした。

  • CFIによるprefrail、frail群はrobust群と比較して、有意に要介護認定・死亡が起こりやすいことが明らかとなった。

  • 本研究は、要介護認定・死亡の予測を通して、日本人高齢者におけるレセプトデータベースでも、CFIが適用できることを明らかにした。

Combined Fat Mass and Fat-free Mass Indices and Lung Function Among Japanese Population: The Tohoku Medical Megabank Community-based Cohort Study(脂肪量指数と除脂肪量指数の組み合わせと呼吸機能:東北メディカル・メガバンク地域住民コホート調査)
 
  • 脂肪量指数が高いほど呼吸機能が低いという関連は全ての除脂肪量指数のサブグループにおいて認められた。

  • 除脂肪量指数が高いほど呼吸機能が高いという関連は全ての脂肪量指数のサブグループにおいて認められた。

  • 呼吸機能の維持には脂肪の減少および除脂肪量の維持が重要である可能性が示唆された。

Patient Characteristics and Public Health Office Factors Associated With Long Reporting Delay of COVID-19 Cases in Sapporo City, Japan(札幌市における新型コロナウイルス感染症の報告遅延に関連する患者特性および保健所要因の分析)
 
  • 札幌市の陽性者データを用いて、COVID-19患者の報告遅延に関連する患者特性および保健所要因を検討した。

  • COVID-19患者12399名を、濃厚接触者と判定され検査に至ったLinked case (7814名)、検査前に感染者との接触歴がなかったUnlinked case (4585名)に分類し分析を行った。

  • Linked caseでは報告遅延は主に保健所要因(発症日前7日間の新規陽性者数が多いこと、発症曜日が週末であること)と関連していた。

  • Unlinked caseでは報告遅延は主に患者特性(65歳以上、無職、独居)と関連していた。

  • 社会とのつながりが希薄になりやすい人々への受診に関する啓発活動の強化や医療アクセス改善の必要性が示唆された。

The Relationship of Alcohol Consumption and Drinking Pattern to the Risk of Glomerular Hyperfiltration in Middle-aged Japanese Men: The Kansai Healthcare Study(飲酒パターンと糸球体過剰濾過の発症との関係:関西ヘルスケア研究)
 
  • 糸球体過剰濾過は一般人においても心血管病や死亡との関連が報告されており、糸球体過剰濾過発症に寄与する因子の検討が重要である。

  • 飲酒及び飲酒パターンと糸球体過剰濾過発症との関係を、健常者を対象として前向きに検討した。

  • 1日当たりの平均飲酒量が多いほど糸球体過剰濾過発症リスクが高かった。

  • 飲酒パターンを考慮すると、1週間当たりの飲酒頻度が高いグループでは飲酒日当たりの飲酒量が多いほど糸球体過剰濾過発症リスクが高かった。

  • 一方で、1週間当たりの飲酒頻度が低いグループでは飲酒日当たりの飲酒量が最も多い場合にのみ糸球体過剰濾過発症リスク増加との関係を認めた。

Dietary Consumption of Antioxidant Vitamins in Relation to Prostate Cancer Risk in Japanese Men: The Japan Public Health Center-based Prospective Study[日本人男性における前立腺がんリスクと抗酸化ビタミンの食事摂取量との関係:多目的コホート研究(JPHC研究)]
 
  • リコピン、α-カロテン、β-カロテン、ビタミン C、ビタミンEなどの抗酸化ビタミン類の摂取量と前立腺がんリスクとの関連について、多目的コホート研究(JPHC研究)で検討した。

  • α-カロテン、β-カロテン、ビタミン C、ビタミンEなどの抗酸化ビタミンの摂取量と前立腺がんリスクには関連は見られなかった。

  • リコピンの摂取量が多いほど前立腺がんのリスクが高くなったが、リコピン摂取量と自覚症状で発見される前立腺がんリスクとの関連は認めなかった。

  • 本研究では、抗酸化ビタミン摂取量と前立腺がんリスクとの間に関連はないことが示唆された。

 

Volume 34, Issue 2 (February 2024)

BMI and Cardiometabolic Traits in Japanese: A Mendelian Randomization Study(日本人のBMIと循環器・代謝系形質:メンデルランダム化研究)
 
  • 日本人14,083人を対象に、BMIと循環器・代謝系形質との因果関係をメンデルランダム化法によって検討した。

  • 日本人集団において、個人レベルのメンデルランダム化解析では、予測BMIはどの循環器・代謝系形質とも有意な関連を示さなかった。

  • 日本人173,430人を対象とした2標本のメンデルランダム化解析に基づく感度解析では、BMIは様々な循環器・代謝系形質と関連した。

  • 肥満度の低い東アジア人である日本人集団でも、ヨーロッパの研究結果と同様に、BMIの高さは様々な循環器・代謝系形質と因果関係がある可能性がある。

  • これらの関連の因果関係は、今後、より大規模な集団を対象とした研究で明らかにされるべきである。

Frequency of Going Outdoors and Risk of Poor Oral Health Among Older Japanese Adults: A Longitudinal Cohort From the Japan Gerontological Evaluation Study(日本人高齢者における外出頻度と口腔機能低下リスクに関する縦断研究:日本老年学的評価研究)
 
  • 外出頻度と複合的な口腔機能低下、および歯牙欠損、噛めない食品の増加、むせ、口渇感のリスクとの間で負の関連を見出した。
  • 外出頻度と口腔機能低下リスクとの関連は、修正可能なリスク因子によって2~13%媒介された。
  • 外出頻度は、高齢者において口腔機能低下の有用な予測因子の可能性がある。
Incidence and Prevalence of Epilepsy in Japan: A Retrospective Analysis of Insurance Claims Data of 9,864,278 Insured Persons (日本におけるてんかん有病率、罹患率:健康保険組合加入者9,864,278人分のレセプトデータ解析)
 
  • 日本におけるてんかん有病率・罹患率に関する全国規模の調査報告は乏しい。
  • 患者の規模(有病率と発症率)を把握することは治療戦略を考える上で重要である。
  • 本研究では、(株)JMDCが契約する全国の健康保険組合加入者約1,000万人分(2012-2019年)の大規模レセプトデータベースを活用し、日本のてんかん有病率、発症率を算出した。
Time Trends in Income-related Differences in Food Group Intakes: The National Health and Nutrition Survey, Japan in 2010, 2014, and 2018 (所得群間の食品摂取量の違いの経年変化: 2010、2014、2018年の国民健康・栄養調査による検討)
 
  • 2010、2014、2018年の国民健康・栄養調査結果を用いて、所得群間の食品摂取量を男女別に比較した。
  • 女性において、2010年と2014年には「600万円以上」群で「200万円未満」群より野菜摂取量が有意に多かった。しかし、「600万円以上」群と「200万円以上~600万円未満」群では2010年に比べて2018年の野菜摂取量は有意に少なく、女性における所得群に伴う野菜摂取量の差は経年的に有意に変化した(調査年×所得群の相互作用のp=0.04)。
  • 2010~2018年の日本人女性においては、所得が低い群の野菜摂取量の増加ではなく、所得が高い群の野菜摂取量の減少により、望ましくない形で所得群間の食品摂取量の差が縮まった可能性がある。今後の研究では、本調査よりも詳細な所得の質問票を用いた観察期間がより長い調査データによる検討が必要である。
 
Exposure to PM2.5 Metal Constituents and Liver Cancer Risk in REVEAL-HBV[微小粒子状物質(PM2.5)の金属成分による肝細胞がんリスク(REVEAL-HBVコホートより)]
 
  • PM2.5の金属成分(銅とバリウム)が肝細胞がん発生の増加と関連していた。

  • 複数成分を同時に調整すると、銅成分が独立して肝細胞がんと関連していた。

  • 肝炎ウイルス感染がない集団においても銅成分と肝細胞がんとの関連性が観察された。

 
Adult Height and Risk of Colorectal Cancer: A Pooled Analysis of 10 Population-based Cohort Studies in Japan(成人の身長と大腸がんリスク:日本における10の住民コホート研究のプール解析)
 
  • 高身長が大腸がんのリスクに関連していることを示す科学的証拠はアジア人で不足している。

  • 日本人成人を対象にした10の住民コホート研究に基づくプール解析を実施し、身長と大腸がんリスクとの関連を調べた。

  • 男女とも、身長が高いことは大腸及びその亜部位のがんのリスク上昇と関連していた。

  • 成人期の身長は、日本人の大腸がんハイリスク者を同定する一助となる。


Volume 34, Issue 1 (January 2024)

Serum Lipopolysaccharide-binding Protein Levels and the Incidence of Metabolic Syndrome in a General Japanese Population: the Hisayama Study(血清リポ多糖結合蛋白濃度とメタボリックシンドローム発症との関連:久山町研究)
 
  • 本研究は、血清リポ多糖結合蛋白(LBP)値とメタボリックシンドローム(MetS)発症との関連を検討した最初の前向きコホート研究である。

  • 血清LBP値の上昇に伴いメタボリックシンドロームおよびその構成要素の発症リスクは上昇した。

  • 媒介解析において、HOMA-IRと血清高感度CRPは血清LBPとMetS発症との関連に、部分的に介在していた。

  • 血清LBP値とメタボリックシンドロームの発症リスクの関連はインスリン抵抗性と慢性炎症を介した機序が示唆された。

Machine Learning-based Models for Outpatient Prescription of Kampo Formulations: An Analysis of a Health Insurance Claims Database(漢方製剤の外来処方に関する機械学習モデル:レセプトデータベースを用いた分析)
 
  • レセプトデータベースにlasso回帰を適用し、外来での漢方製剤の処方を目的変数としたモデルを作成した。

  • 作成されたモデルは、使用頻度が高い10種類の漢方製剤の処方を高い精度で説明可能であった。

  • 作成されたモデルにより、様々な漢方製剤の処方に共通した予測因子、および各々の製剤に特徴的な患者要因が明らかとなった。

Association of Stressful Life Events With Oral Health Among Japanese Workers(日本の労働者における日常生活のストレスと口腔の健康の関係性)
 
  • 我々は、労働者における広範な日常生活のストレスと口腔の健康の関連を検討することを目的として本研究を実施した。

  • 対象者 274,881 名のうち、口腔の健康の問題の有病率は、ストレスのない人で 2.1%、ストレススコアが最大の人で15.4%であった。

  • 交絡要因を考慮したAIPWで推定した口腔の健康の問題の有病率は、ストレスのない人で2.2%、ストレススコアが最大の人で14.4%であった。

  • 日常生活のストレスと口腔の健康の問題との間には,明確な用量反応的な関係が認められた。

Dose-response Associations of Physical Activity and Sitting Time With All-cause Mortality in Older Japanese Adults(日本人高齢者における身体活動量および座位時間と総死亡との量反応関係)
 
  • 身体活動量および座位時間と健康アウトカムとの量反応曲線の検討は、重要な研究課題の一つに位置づけられている。

  • 中高強度身体活動量と総死亡リスクとの間には、非線型の有意な負の量反応関係が確認された。

  • 推奨値よりもさらに高い水準の身体活動量(およそ3000-4500 METs・分/週)において、総死亡リスクは最低値を示した。

  • それ以上の身体活動量では、さらなる総死亡リスクの低減はみられず、総死亡リスクの有意な上昇もみられなかった。

  • 本研究では、座位時間と総死亡リスクとの間に有意な量反応関係はみられなかった。

Association Between Advanced Airway Management With Adrenaline Injection and Prognosis in Adult Patients With Asystole Asphyxia Out-of-hospital Cardiac Arrest(アドレナリンが投与された心電図が心静止の成人窒息心停止患者への高度気道確保とその予後の関係)
 
  • アドレナリンが投与された心電図が心静止の成人窒息心停止患者に対し、高度な気道確保を行うことは、一ヵ月後の生存率と心拍再開率を改善させた。

  • しかし、高度な気道確保により神経学的、機能的予後は改善させなかった。

  • 特に高齢者では、心電図が心静止の窒息による心肺停止患者の予後と、患者へ高度な気道確保を行うことの効果を理解することは重要であり、高度な気道確保を行う前に家族にその予後と効果を説明し、アドバンストケアプランニングを確認することが重要である。

Short Communication

Variance Estimation for Logistic Regression in Case-cohort Studies(ケースコホート研究におけるロジスティック回帰の分散推定)

  • ケースコホート研究の統計解析において、Schouten et al. (Stat Med. 1993;12:1733–1745) によって提案されたロジスティック回帰分析は、交絡要因の調整を行った上でリスク比を推定することができる簡便な方法として、現状のスタンダードな方法の一つとして広く用いられている。
  • Schouten et al. (1993) は、ロバスト分散によって、リスク比の標準誤差を推定することができると提案しているが、本研究では、この分散推定方法にバイアスがあることを示す。
  • また、本研究では、ケースとサブコホートの重複を適切に考慮したバイアスのない方法として、ブートストラップ法による分散推定の方法を新たに提案し、それに基づく信頼区間・検定の構成方法を提案する。
  • シミュレーション実験による結果、現実的な条件下で、ロバスト分散には過大評価方向のバイアスがあることが示され、一方、提案したブートストラップ法を用いることで、バイアスのない、妥当な信頼区間・検定を構成することができることが示された。

Study Profile
Cohort Profile: The China Severe Trauma Cohort (CSTC) [コホートプロファイル:The China Severe Trauma Cohort (CSTC)]

  • The China Severe Trauma Cohort (CSTC)は、中国人における外傷関連アウトカムに焦点を当てた、初の病院ベースの大規模コホートである。
  • CSTCの特徴は、厳格な品質管理プロセスによる生体試料とデータの収集、ベースラインと複数回のフォローアップの回答率の高さである。
  • CSTCの目的は、環境的・生物学的要因が外傷関連アウトカムにおよぼす影響とメカニズムを探求する研究をサポートすることである。
 
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