Journal of Epidemiology

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日本語抄録

 

Vol.17-3

甲状腺癌の非放射線危険因子について検討した広島と長崎における症例対照研究
A case-control study in Hiroshima and Nagasaki examining non-radiation risk factors for thyroid cancer

永野 純(財団法人放射線影響研究所疫学部)、馬淵清彦、吉本泰彦、林 雄三、津田暢夫、Charles Land、児玉和紀
【背景】日本における甲状腺癌の原因については殆ど分かっていないことから、我々は甲状腺癌と生活習慣やその他の要因についての症例対照研究を行った。本報告では、既往歴、家族歴、喫煙、飲酒、およびこれらの要因と放射線暴露との交互作用に焦点を当てる。
【方法】1970年から1986年の間に広島および長崎腫瘍登録に報告された甲状腺癌症例について、病理医による病理組織診断を行った。75歳未満で診断された乳頭状または濾胞状腺癌の362症例それぞれについて、都市、性、生年、および原爆放射線暴露でマッチさせたがん既往のない対照者1人ずつを、寿命調査コホートあるいは被爆二世コホートから選出した。これらのコホート構成員は、原爆放射線の暴露があった、または暴露のなかった広島と長崎の住民であった。危険因子についての情報は、1986年から1988年にかけて実施された構造化面接を通じて入手した。
【結果】条件付きロジスティック回帰を用いた解析の結果、甲状腺腫または甲状腺結節の既往とがんの家族歴が甲状腺癌オッズ比の高まりと有意に関連していた。喫煙と飲酒は有意に、互いに独立してオッズ比の低下と関連していた。喫煙と飲酒との交互作用は、相加モデル、相乗モデルのいずれにおいても明らかでなかった。放射線暴露はこれらの要因と甲状腺癌との関連を有意に修飾することはなかった。
【結論】甲状腺腫と結節の既往、およびがんの家族歴は甲状腺癌の危険因子であった。喫煙と飲酒は互いに独立してリスクの低下と関連していた。ただし、これらの結果が回顧的な自己報告による情報に基づいていることから、その解釈には一定の制限を伴う。
キーワード:甲状腺癌、喫煙、飲酒、放射線、症例対照研究
(P76~85)

日本人における各種脂肪酸摂取量と血清C反応性蛋白との関連
Dietary Intake of Fatty Acids and Serum C-reactive Protein in Japanese

米山智子(金沢医科大学健康増進予防医学)、三浦克之、佐々木敏、由田克士、森河裕子、石崎昌夫、城戸照彦、成瀬優知、中川秀昭
【背景】炎症は循環器疾患の危険因子として確立されてきている。欧米から報告では多価不飽和脂肪酸 (PUFA) および一価不飽和脂肪酸の抗炎症作用は一定していない。また魚介類からの長鎖n-3 PUFA摂取の高い日本において、この関連が明らかになっていない。
【方法】35-60歳の日本人成人男女 (男性1,556人、女性1,461人) において横断研究を行った。血清高感度C反応性蛋白 (CRP) を測定し、妥当性が確認された自記式食事歴法質問票により7つの代表的な脂肪酸摂取量 (エネルギー比率) を評価した。
【結果】交絡因子調整後、CRPは、女性ではオレイン酸 (p=0.008)、α-リノレン酸 (p=0.026) と有意な負の関連を示した。重回帰分析においては、特に長鎖n-3 PUFA (エイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸)中程度摂取群において、男女ともオレイン酸摂取量とリノール酸摂取量と負の関連を示し、女性ではα-リノレン酸摂取量との負の関連も示した。
【結論】オレイン酸、リノール酸、α-リノレン酸摂取は、特に日本人における長鎖n-3 PUFAの平均的な摂取量のときに血清CRPを下げる可能性が示された。
キーワード:C反応性蛋白、脂肪酸、食事、疫学
(P86~92)

 
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