Journal of Epidemiology

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日本語抄録

 

Vol.16-3

Young Investigator Award Winner's Special Article
Evidence-based Healthcare and Health Informatics: Derivations and Extension of Epidemiology

Takeo Nakayama.
(P93~100)

日本の血液製剤によるHIV感染者のCD4値、HIV RNA量と抗HIV薬治療によるエイズ発病率の違い
Difference of progression to AIDS according to CD4 cell count, plasma HIV RNA level and the use of antiretroviral therapy among HIV patients infected through blood products in Japan

川戸美由紀(藤田保健衛生大学医学部衛生学)、橋本修二、山口拓洋、岡 慎一、吉崎和幸、木村 哲、福武勝幸、日笠 聡、白阪琢磨
【背景】HIV感染者におけるエイズ発病・死亡の状況とその予測因子について、多剤併用療法(HAART)が利用可能となった前後(日本では1997年頃)で検討することは重要である。
【方法】血液製剤によるHIV感染者の調査データを用いて、1994年1月~1997年3月(前期)、1997年4月~2002年3月(後期)のエイズ発症または死亡を観察した。
【結果】観察開始から3年後のエイズ未発病割合は、前期の観察対象者417人では74%であり、後期の観察対象者605人では94%であった。低CD4値(200cells/μL未満)の、500cells/μL以上に対するハザード比は、前期では50.8であったが、後期では4.7であった。後期においてHIV RNA量と抗HIV治療を調整しても、CD4値が低い場合のハザード比は有意であった。
【結論】日本において、血液製剤によるHIV感染者のエイズ未発病割合は、HAART導入後に大きく上昇した。CD4値は将来のAIDS発病の重要な予測因子であったが、その重要性がHAARTにより低下したと示唆された。
【キーワード】HIV、AIDS、血液製剤、CD4、HAART
(P101~106)

Impact of the revision of a nutrient database on the validity of a self-administered food frequency questionnaire(FFQ)

Junko Ishihara, et al.
(P107~116)

早食いは肥満を来す
Eating Fast Leads to Obesity: Findings Based on Self-administered Questionnaires among Middle-aged Japanese Men and Women

大塚礼(名古屋大学大学院医学系研究科公衆衛生学/医学ネットワーク管理学)、玉腰浩司、八谷寛、村田千代栄、関谷敦史、和田恵子、張恵明、松下邦洋、杉浦嘉一郎、竹藤聖子、歐陽蓓、長澤伸江、近藤高明、佐々木敏、豊嶋英明
【背景】食べる速さと肥満との関連を検討した疫学研究はほとんどない。本研究では、自己申告の食べる速さが現在の肥満度(Body Mass Index (BMI))および20歳から現在までのBMI変化量といかなる関連を有しているか横断研究によって検討した。
【方法】対象者は日本人の某自治体職員3737人の男性 (平均年齢±標準偏差、BMI±標準偏差: 48.2±7.1 歳、23.3±2.7 kg/m2) と1005人の女性 (46.3±7.0歳、21.8±2.8 kg/m2)である。自己申告の食べる速さ(かなり遅い、やや遅い、ふつう、やや速い、かなり速い)と現在のBMI、20歳時のBMI、および20歳から現在までのBMI変化量を測定した。エネルギー摂取量は最近1ヶ月の食事内容について簡易式食物摂取頻度調査票により評価した。
【結果】 現在のBMIを従属変数とし、エネルギー摂取量、年齢、生活習慣等を補正した多変量回帰分析では、男性において現在の食べる速さが「ふつう」と答えた群を基準とすると、「かなり遅い」、「やや遅い」、「やや速い」、「かなり速い」群ではそれぞれ-0.99、-0.67、0.81、1.47 kg/m2 と食べる速さが速い群ほど、BMIが高かった。女性においても同様に-1.06、-0.35、0.50、1.34 kg/m2と高かった。20歳からのBMI変化量を従属変数とし同様の解析を行ったところ、食べる速さが速くなるにつれて男性では-0.63、-0.34、0.57、1.05 kg/m2、女性では-0.71、-0.32、0.34、1.14 kg/m2 とBMI変化量が大きくなった。また20歳時のBMIと現在の身長は食べる速さと正の関連性を示した。
【結論】 日本人中年男女において、速く食べることは肥満を来す可能性が示唆された。
【キーワード】食べる速さ、肥満、BMI増加量、日本人中年男女、横断研究
(P117~124)

結腸および直腸がんの食事危険因子:両者を比較した症例対照研究
Dietary risk factors for colon and rectal cancers: a comparative case-control study

若井建志(愛知県がんセンター研究所疫学・予防部)、広瀬かおる、松尾恵太郎、伊藤秀美、栗木清典、鈴木勇史、加藤知行、平井 孝、金光幸秀、田島和雄
【背景】日本では、結腸がんの罹患率が直腸がんよりも急速に増加している。異なる年次推移は、結腸がんと直腸がん発生の食事要因が異なるためかもしれない。
【方法】結腸がんと直腸がんで食事危険因子を比較するため、愛知県がんセンター病院において症例対照研究を実施した。対象者には新たに診断された結腸がん(265名)および直腸がん(242名)患者507名、およびがんのない外来患者2,535名(対照)を含めた。栄養素や食品群の摂取は食物摂取頻度調査で評価し、多変量調整オッズ比(OR)をunconditional logistic modelを用いて推定した。
【結果】カルシウムおよび不溶性食物繊維の摂取が増えるにつれて、結腸がんのリスクが減少した。摂取量4分位ごとの多変量ORはカルシウムで1.00、0.90、0.80、0.67 (trend p = 0.040)、不溶性食物繊維で1.00、0.69、0.64、0.65 (trend p = 0.027)であった。直腸がんについては、カロテンおよび肉類の高摂取がリスク減少と関連した。対応するオッズ比は、カロテンが1.00、1.10、0.71、0.70 (trend p = 0.028)、肉類が1.00、0.99、0.68、0.72 (trend p = 0.036)であった。炭水化物は直腸がんのリスクと正に関連していた(4分位ごとのOR:1.00、1.14、1.42、 1.54、trend p = 0.048)。この関連は女性で強く、また、脂質の摂取は女性の結腸・直腸のリスクと負に相関していた。
【結論】食事危険因子は結腸がんと直腸がんでかなり異なるようである。
【キーワード】食事、結腸がん、直腸がん、症例対照研究、日本
(P125~135)

 
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