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Journal of Epidemiology vol.22-(4)

1)両親の既往歴、生活習慣と脳卒中との関連:JACC Study

江口依里(愛媛大学大学院医学系研究科公衆衛生学)、磯博康、和田安彦、菊地正悟、渡辺能行、玉腰暁子

【背景】両親の脳卒中の既往歴の有無と本人の脳卒中死亡との関連、及び、両親の脳卒中の既往歴が本人の生活習慣の組み合わせと脳卒中死亡との関連に与える影響について検討することを目的とした。
【方法】地域における前向きコホート研究にて、1988年から1990年のベースライン調査時に循環器疾患やがんの既往のない40から79歳の22,763人の男性と30,928人の女性を対象とし、2008年まで追跡した。両親の脳卒中の既往と本人の脳卒中死亡との関連を分析した。また、本人の果物≥1回/日、魚≥1回/日、牛乳ほぼ毎日摂取、運動≥5h/週か歩行≥1h/日、BMI 21- <25kg/m2、飲酒<46.0g/日、非現喫煙、睡眠5.5- <7.5時間の8つの健康的な生活習慣の組み合わせ(8点満点)とその後の脳卒中死亡との関連に対して、両親の脳卒中の既往歴が与える影響について検討した。
【結果】平均15.9年の追跡期間中に1502人が脳卒中にて死亡した。父か母の脳卒中の既往がある者は、ない者に比べ、男女ともに脳卒中になるリスクが高く、それぞれの比例ハザード比(95%信頼区間)、人口寄与割合は、男性で1.28(1.10-1.49)、5.4%、女性で1.22(1.04-1.43)、4.3%であった。また、両親の脳卒中の既往の有無にかかわらず、本人の健康的な生活習慣と脳卒中死亡との間に関連が認められた。生活習慣の悪い群(0-3点)に比べ良い群(6-8点)のそれぞれの脳卒中死亡の比例ハザード比(95%信頼区間)は、父か母の脳卒中の既往がある群で0.56 (0.43–0.72)、ない群で 0.44 (0.36–0.53)であった。
【結論】両親の脳卒中の既往歴と本人の脳卒中死亡との間に関連が認められた。本人の健康的な生活習慣とその後の脳卒中死亡との関連は、両親の脳卒中の既往の有無にかかわらず認められた。以上より、両親の脳卒中の既往の有無にかかわらず生活習慣の改善が脳卒中予防に効果的であることが示唆された。
キーワード:両親の既往、脳卒中、生活習慣、コホート
P331-339

2)地域在住高齢者の趣味活動と生命予後及び要介護の発生との関連:日本における追跡調査の結果

伏木康弘(札幌医科大学医学部公衆衛生学講座)、大西浩文、大浦麻絵、坂内文男、森  満

【背景】わが国では、今後65歳以上の高齢者人口の更なる増加が見込まれており、高齢者の健康に影響を与える要因を明らかにすることは極めて重要と考えられる。このため我々は、地域在住高齢者を対象とした趣味活動と生命予後及び要介護状態の発生との関連を追跡調査により検討した。
【対象】札幌近郊の7市町に居住する65歳以上85歳未満の高齢者3,583人を住民基本台帳より無作為に抽出した。書面で同意の得られた1,955人(54.6%)を調査対象に、2007年9月に基礎調査、2008年9月、2009年9月、2010年5月の3回追跡調査を郵送により実施した。趣味活動を単独運動活動、集団運動活動、単独文化活動、集団文化活動の4群に分け、死亡と重度の要介護状態の発生をイベントとして、Cox比例ハザードモデルにより各趣味活動群のイベントに対するハザード比とその95%信頼区間を算出した。 【結果】交絡要因を調整した単独運動活動参加と要介護状態の発生との関連は0.57(0.33,0.99)で有意に要介護状態の発生のリスクを低減していた。また、集団文化活動参加と要介護状態の発生との関連は0.41(0.19,0.87)で有意に要介護状態の発生のリスクを低減していた。
【結論】今回得られた知見から単独運動活動、集団文化活動への参加は高齢者の健康を増進するためのプログラムとして重要となりうる可能性が示唆された。
キーワード:高齢者、趣味活動、文化活動、生命予後、要介護状態
P340-347