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Journal of Epidemiology vol.21-(5)

1)途上国での出生時における体重以外の身体計測値による低体重児の同定について:メタアナリシス

後藤英太 (三澤病院 内科)

【背景】体重計並びに医療従事者が不足しているために、容易に体重を測定できない途上国においても、低体重児は早期発見されるべきである。そこで、本メタアナリシスでは、出生時における体重以外の身体計測値をもって、低体重児であると予測できるかを評価し、各々を比較した。
【方法】英文にて発表されている、中等度、あるいは、高い質の研究(QUADAS スコアが8以上)を収集し分析した。ランダム効果による二変数のメタアナリシスを行い、サマリーROC曲線を描いた。
【結果】脚長、胸囲、上腕囲、大腿囲を評価した69の研究(それぞれ8, 25, 30, 6の研究)を分析した。胸囲と上腕囲については、曲線下面積は0.9より大きく(両者とも0.95)、統合された陽性尤度比は5より大きく(それぞれ8.7と10.3)、陰性尤度比は0.2より小さかった(それぞれ0.13と0.17)。大腿囲と脚長は、これらより劣っていた。胸囲と上腕囲の間では、統合された感度(それぞれ0.88と0.84、p値は0.505)、特異度(それぞれ0.90と0.92、p値は0.565)、診断オッズ比(それぞれ67と60、p値は0.552)について有意な差はなかった。しかしながら、胸囲は上腕囲に比較し、サマリーROC曲線において、プロットが密集しており、95%信頼領域と予測領域は、共に狭かった。
【結論】胸囲と上腕囲は、低体重児の予測について、確定的ではないが、同様に高い精度を示していた。しかしながら、胸囲のほうが、より正確であろう。
キーワード:メタアナリシス、 低体重児、 身体計測値、 感度と特異度、 新生児 
P354-362

2)日本人児童生徒における肥満からの回復が心血管系リスクファクターに及ぼす影響:磐田ポピュレーションベースの追跡研究

甲田勝康(近畿大学医学部公衆衛生学教室)、藤田裕規、中村晴信、竹内宏一、伊木雅之

【背景】日本人小児において、肥満からの回復が心血管系リスクファクターに及ぼす影響についてはあまり知られていない。
【方法】磐田市の教育委員会は1997年の小学5年生と2001年の中学3年生の血清脂質や血圧等のスクリーニング検査を行った。我々は、このポピュレーションベースの追跡データを解析した。小学5年生であった1047名のうち、914名が中学3年生まで追跡できた。4年間の追跡期間中の肥満のパターンによって、正常群、回復群、悪化群、持続群に分けた。
【結果】914名のうち111名が小学5年時で肥満と判定され、このうち44名は中学3年時までに肥満から回復した。回復群の男子は他群に比べnon-HDLコレステロールが追跡期間中に最も低下し、回復群の男子は持続群より有意に中学3年時のHDLコレステロールが高かった。また、回復群の女子は持続群より有意に中学3年時のnon-HDLコレステロールが低かった。さらに、脂質異常からの正常化率は回復群が持続群より有意に高かった。
【結論】肥満からの回復は脂質異常の正常化に影響することが示唆された。
キーワード:血圧、コレステロール、小児、追跡研究、肥満
P370-375

3)がん患者に対する日本の看護師の禁煙支援の意識と現状

谷口千枝(国立病院機構名古屋医療センター看護部)、日比野福代、川口悦子、丸口ミサエ、徳永尚美、坂英雄、尾瀬功、伊藤秀美、平木章夫、中村澄江、田中英夫

【背景】喫煙者に対する看護師の禁煙支援の充実化のために、看護師の禁煙支援に対する現状と意識の調査を行った。
【方法】がん専門病院と総合病院の各々3施設に勤務する看護師2676人に対し、各施設の看護部管理の下、自記式のアンケート調査を行った。2215人(82.8%)から回答を得た。
【結果】喫煙を継続している術前患者や早期がん患者に対しては、ほとんどの看護師が禁煙支援の実施に対して必要性が高いと回答した。一方、治る見込みのない喫煙がん患者に対しては、禁煙支援の必要性を感じている看護師は少なかった。ほとんどの看護師は、患者の喫煙状況の把握と記録を実施していたが、禁煙に関するアドバイス、患者の禁煙の準備性の把握、タバコの有害性に対する個別化された情報提供についてはあまり実施していなかった。多変量解析では、看護教育課程において禁煙支援に関する講義を受けた看護師たちは、講義を受けていない看護師と比べて、禁煙に関するアドバイス(オッズ比1.61、95%信頼区間、1.15-2.26)、禁煙の準備性の把握(1.73、1.09-2.75)、タバコの有害性に対する個別化された情報提供(1.94、1.39-2.69)において、有意にその実施率が高かった。
【結論】日本の看護師のがん患者に対する禁煙支援の意識は、患者の治療状況や予後によって大きく異なった。看護教育課程において、適切な禁煙支援の講義をすることは、非常に重要であることが示唆された。
キーワード:禁煙、禁煙介入、看護師、意識
P391-397