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Journal of Epidemiology vol.21-(2)

1)思春期における身長別血清コレステロール値:ポピュレーションベースの学校健診データ

藤田裕規(近畿大学医学部公衆衛生学教室)、甲田勝康、中村晴信、西尾信宏、竹内宏一、伊木雅之

これまでの研究において思春期における身長と血清脂質値との間には負の関連があることが報告されている。今回、思春期における身長別血清脂質の基準値を明確にするため、ポピュレーションベースの学校健診データを用いて検討を行った。血清総コレステロール(TC)値と高比重リポたんぱくコレステロール(HDL-C)値は2002年から2007年の間に磐田市の公立の学校に通っていた小学5年生(10歳)と中学3年生(14歳)10,151名(全集団の98.9%)で測定した。身長により五分位に分けた第一分位(身長が最も低いグループ)と第五分位(身長が最も高いグループ)それぞれのTCの95パーセンタイル値は、10歳の男子で221 mg/dlと219 mg/dl、14歳の男子で215 mg/dlと203 mg/dl、10歳の女子で 220 mg/dlと204 mg/dl、14歳の女子で226 mg/dlと214 mg/dlであった。また、身長を五分位に分けた第一分位と第五分位それぞれのHDL-Cの5パーセンタイル値は、10歳の男子で45 mg/dlと43 mg/dl、14歳の男子で43 mg/dlと40 mg/dl、10歳の女子で46 mg/dlと42 mg/dl、14歳の女子で47 mg/dlと44 mg/dlであった。今回の研究において10歳と14歳の身長別血清脂質値を示した。思春期におけるコレスレロール値を評価する場合、身長を考慮すべきである。
キーワード:child、diagnosis、growth、cholesterol
P102-107

2)二重標識水法を使用した日本人のための身体活動量質問紙の妥当性検討

髙田和子((独)国立健康・栄養研究所 健康増進プログラム)、内籐義彦、田中茂穂、海老根直之、田畑泉

【背景】日本人のための身体活動量質問紙を二重標識水(DLW)法を使用して妥当性を検討した研究はみられない。身体活動量質問紙の発展や改善のためには、身体活動レベルに影響する身体活動の要素を明確にする必要がある。 【方法】20~83歳の226名の日本人男女を対象に、総エネルギー消費量(TEE)を日本動脈硬化縦断研究の身体活動量調査票(JALSPAQ)により求め、DLW法により測定したTEEをゴールドスタンダードとして比較した。安静時代謝量(RMR)は、ダグラスバッグ法を用いて測定した。
【結果】DLW法により求めたTEEと身体活動レベル(PAL: TEE/RMR)の中央値は、男性では11.21MJ/dayと1.88、女性では8.42MJ/dayと1.83であった。JALSPAQ はわずかに過小評価し、差の平均値と標準誤差は-1.15+1.92 MJ/dayであった。JALSPAQとDLW法によるTEEは、中程度に相関し(スピアマンの相関係数0.742, p<0.001, 級内相関係数 0.648, p<0.001)、95%一致限界は-4.99から2.69MJであった。JALSPAQによる過小評価は、活動的な人で非活動的な人に比べて大きかった。中強度と高強度の身体活動と仕事中の身体活動(職業と家事)は、身体活動レベルに大きく関連した。しかし、不活発な人を中程度の活動量の人と区分する身体活動の要素は明確ではなかった。
【結論】JALSPAQとDLW法による身体活動レベルは、弱い相関であった。活動的な人のTEEの推定をさらに改善する必要がある。また、不活発な人を中程度の活動量の人から区分する質問項目を再検討する必要がある。
キーワード:身体活動量質問紙、二重標識水法、身体活動、エネルギー消費量
P114-121

3)日本における大気汚染長期曝露と肺がんおよび呼吸器疾患死亡との関連

片野田耕太(独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センターがん情報・統計部)、祖父江友孝、佐藤洋、田島和雄、鈴木隆一郎、中塚晴夫、嶽崎俊郎、中山富雄、新田裕史、田邊潔、富永祐民、三府県コホート研究グループ*

【背景】大気汚染への長期曝露と肺がんとの関連を示す科学的証拠は欧米人集団に限られている。本研究は、日本人集団でこの関連があるかどうかを前向きコホート研究により調べた。
【方法】対象者は1983~1985年に3府県6地域に居住していた住民63520名。粒径2.5 μm以下の粒子状物質(PM2.5)、二酸化硫黄(SO2)、および二酸化窒素(NO2)への曝露は、各地域内または近隣に位置する大気測定局のデータを用いて評価した。コックス比例ハザードモデルを用いて、これらの物質の平均濃度に対応するハザード比を算出した。
【結果】対象者登録前10年間(1974~1983年)の平均濃度は、PM2.5: 16.8~41.9 μg/m3、SO2: 2.4~19.0 ppb、およびNO2: 1.2~33.7 ppbであった(いずれも地域間の範囲)。平均追跡期間は8.7年で、その間に6687例の死亡が観察され、うち518例が肺がんであった。汚染物質濃度10単位増加に対応する肺がん死亡ハザード比は、PM2.5(μg/m3): 1.24(95%信頼区間1.12~1.37)、SO2(ppb): 1.26(1.07~1.48)、およびNO2(ppb): 1.17(1.10~1.26)であった(喫煙状況および他の交絡要因調整後)。さらに、男性喫煙者および女性非喫煙者においても有意なリスク増加が観察された。呼吸器疾患、特に肺炎もこれらの大気汚染物質と有意な関連があった。
【結論】日本において、大気汚染への長期曝露は、肺がんおよび呼吸器疾患と関連していた。
キーワード: 大気汚染、肺がん、二酸化窒素、粒子状物質、二酸化硫黄

*三府県コホート研究グループ: 宮城県: 久道茂、池田正之、清水弘之、小松正子、深尾彰、辻一郎、西野善一; 愛知県: 加藤育子、井上真奈美、田中英夫、平木章夫、若井建志、鈴木勇史; 大阪府: 森永謙二、赤尾満、佐々木陽、藤本伊三郎、津熊秀明、大島明、浅利喜美子; 独立行政法人国立環境研究所: 森田昌敏; 独立行政法人国立がん研究センターなど: 鈴木武夫、鈴木継美、邱冬梅
P132-143

4)コホートプロフィール:愛知におけるAGES2003コホート研究、日本

西 晃弘(ハーバード公衆衛生大学院、社会・人間開発・健康研究科、東京大学大学院医学研究科公衆衛生学)、近藤克則、平井寛、Ichiro Kawachi

【背景】 日本人の長寿は、ストレス対処能力や社会的サポート、ソーシャルキャピタルなどの心理社会的要因と関連していると考えられる。しかし、実際に個人の健康に寄与している要因とその大きさについては知られていない。
【方法】 AGES(Aichi Gerontological Evaluation Study、愛知老年学的評価研究)2003コホート研究は、知多半島にある6自治体における日常生活が自立した地域在住の65歳以上の者を対象とする前向きコホート研究である。心理社会的要因と他の個人および地域レベル要因に関する情報が、ベースラインとなる調査票によって2003年下期に収集された。生存状態と身体および認知機能低下について、介護保険の介護認定データを用いて追跡された。対象者の居住地地理情報も得られている。
【結果】 本研究には、13310人(男性6508人、女性6802人)が分析対象者として登録された。48か月後の時点で、男性24753人年、女性で26456人年が記録された。
【結論】 AGES2003コホート研究は社会疫学、老年学、ヘルスサービスリサーチに対し有益なエビデンスを提供しうる。
P151-157