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Journal of Epidemiology vol.20-(5)

1)ARIC研究における肥満指標と脳梗塞病型との関連

八谷寛(ミネソタ大学、名古屋大学)、山岸良匡、Kari E. North、Frederick L. Brancati、June Stevens、Aaron R. Folsom

【背景】肥満指標と、ラクナ梗塞、非ラクナ血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓の関連は確立していない。
【方法】地域における動脈硬化リスク研究(Atherosclerosis Risk in Communities Study、ARIC研究)のベースライン(1987-98年)に、心血管疾患、がんの既往のない米国黒人および白人対象者13,549人のBody mass index(BMI)、ウエスト周囲径、ウエストヒップ比(WHR)を得た。脳梗塞病型の発症は病院診療録のサーベイランスによって確認された。本解析は2005年末までの16.9年間(中央値)の追跡結果に基づくものである。年齢、性、人種、教育歴、喫煙状況、ブリンクマン喫煙指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)、アルコール摂取量、余暇スポーツ活動指数を調整したCoxハザードモデルによってハザード比が推定された。
【結果】解析対象者の43.8%が男性、27.3%が黒人、平均年齢は53.9歳であった。BMI、ウエスト周囲径、WHRの平均は27.7kg/m2、96.8cm、0.92であった。追跡期間中のラクナ梗塞、非ラクナ血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓の発症数はそれぞれ138例、338例、122例であった。脳梗塞各病型と肥満各指標にはいずれも正の線形な関連が認められた。各肥満指標第5五分位の第1五分位に対するハザード比は、ラクナ梗塞で1.43-2.21、非ラクナ血栓性脳梗塞で1.90-2.16、心原性脳塞栓で2.37-2.91の範囲にあった。【結論】梗塞、非ラクナ血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓の発症には異なる病態が存在しているかもしれないが、肥満指標との間にはいずれも有意な正の関連が認められた。また、その関連は肥満指標の種類によらず類似していた。
キーワード:肥満、脳卒中、ラクナ梗塞、発症、危険因子
P347-354

2)日本人男性労働者における短時間睡眠とBMI変化の4年間の関係

西浦千尋(東京ガス株式会社 安全健康・福利室)、橋本英樹

【背景】短時間睡眠とBody Mass Index(BMI)の縦断的関係は、これまでの西洋人を対象とした研究では一致した結果が得られていない。最近、日本人を対象とした研究により男性で有意な関係が報告されたが、1年間での検討であった。本縦断研究の目的は、この関係が4年間の観察でも認められるかを検討することにある。
【方法】東京都の3803名の中高年齢層の日本人男性ホワイトカラー労働者(平均年齢47.8歳、平均BMI23.9kg/m2)を対象とし、1994-1995年(ベースライン調査年)から1998-1999年(フォローアップ調査年)にかけて調査した。身長・体重は健康診断時に客観的に測定し、睡眠時間を含めた他のデータは構造化面接により得た。共変量を調整したBMI変化の推定には、線型回帰モデルを用いた。睡眠時間のリファレンスカテゴリは先行研究に倣い7時間とした。
【結果】年齢、ベースラインBMI、生活習慣、治療中の疾患で調整したところ、7時間睡眠群と比較して、睡眠時間が5時間以下の群ではベースラインBMIが有意に大きく(ベータ係数:0.34kg/m2、95%信頼区間:0.03、0.65)、4年間ではBMIが0.15kg/m2増加していた(95%信頼区間:0.03、0.27)。結論:ベースラインの短時間睡眠と相対的BMI増加の縦断的関係は、日本人男性労働者の4年間の観察でも認められた。
キーワード:日本人、縦断研究、肥満、睡眠、体重増加
P385-390

3)日本人男性における喫煙、飲酒とメタボリックシンドロームとの関連の検討

仲下祐美子(大阪府立健康科学センター、大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻)、中村正和、北村明彦、木山昌彦、石川善紀、三上洋

【背景】喫煙はメタボリックシンドローム(MetS)を悪化させる要因として重要である。しかし、飲酒とMetSとの関連については報告間で一致しておらず、喫煙と飲酒の組み合わせとMetSとの関連については十分に明らかにされていない。
【方法】対象は20歳以上の日本人男性3904人であり、自己記式質問紙を用いて、喫煙と飲酒状況について横断調査により把握した。MetSは日本の基準を用いた。交絡因子を調整したロジスティック回帰分析を用いて、喫煙、飲酒とMetSとの関連を検討した。
【結果】MetSの有所見は581人(14.9%)であった。喫煙本数ならびに飲酒量の増加はMetSの頻度と有意な正の関連を示した(P<0.0001、P=0.030 for trend)。MetSに対する喫煙本数≧30本/日の多変量調整オッズ比は、非喫煙を基準とすると1.89(95%CI 1.34-2.65)であり、飲酒量≧69グラム/日は非飲酒を基準とすると1.54(1.06-2.23)であった。MetSに対する喫煙と飲酒の組み合わせの多変量調整オッズ比は、非喫煙・非飲酒を基準とすると、30本以上・69グラム以上では3.63(1.91-6.90)であった。その交互作用項は2.03(1.02-4.01、P=0.043)であった。
【結論】本研究により、喫煙、飲酒はそれぞれが独立してMetSの頻度と関連していること、さらに多量喫煙かつ多量飲酒者におけるMetSの頻度が有意に高いことが示された。
キーワード:メタボリックシンドローム、喫煙、飲酒、横断研究、日本
P391-397

4)年齢階級別のBMIと全死因死亡リスクの関連について:大崎コホート研究

永井雅人(東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野)、栗山進一、柿崎真沙子、大森芳、菅原由美、曽根稔雅、寳澤篤、辻一郎

【背景】諸外国よりBody mass index (BMI)と全死因死亡リスクの関係は、年齢階級ごとに異なる可能性が示されている。そこで、本研究ではBMIと全死因死亡リスクの関係を年齢階級別に検討した。 【方法】解析対象は40~79歳の日本人、43,972名で生存状況を12年間追跡した。BMIを<18.5(やせ)、18.5-20.9、21.0-22.9、23.0-24.9(基準)、25.0-27.4、27.5-29.9、≧30.0(肥満)の7つに分類し、男女別、年齢階級別(中年者:40~64歳、高齢者:65~79歳)に全死因死亡リスクとの関連をCox比例ハザードモデルより求めた。 【結果】男性のやせのハザード比は中年者が1.26(0.92-1.73)、高齢者が1.49(1.26-1.76)と高齢者で有意な死亡リスクの上昇を示した。肥満のハザード比は中年者が1.71(1.17-2.50)、高齢者が1.25(0.87-1.80)と中年者で有意な死亡リスクの上昇を示した。女性のやせのハザード比は中年者が1.46(0.96-2.22)、高齢者が1.47(1.19-1.82)と年齢階級にかかわらず死亡リスクの上昇を示した。肥満のハザード比は中年者で1.47(0.94-2.27)、高齢者で1.26(0.95-1.68)と有意な死亡リスクの上昇を示さなかった。 【結論】基準のBMIカテゴリと比較して、肥満は中年男性で高い死亡リスクであるのに対し、やせは高齢男性で高い死亡リスクとなった。女性では、肥満は中年者で高い死亡リスクであり、やせは年齢階級にかかわらず高い死亡リスクとなった。やせと肥満の死亡リスクは年齢と性別によるかもしれない。 キーワード:body mass index、死亡率、年齢、やせ、肥満 P398-407

5)日本における小児肥満と血圧の関連-学童期の血圧測定は必要か?

白澤貴子(昭和大学医学部公衆衛生学講座)、島田直樹、落合裕隆、大津忠弘、星野祐美、西村理明、森本彩、田嶼尚子、小風暁

【背景】近年、小児において肥満と高血圧の有病率が増加している。しかしながら、血圧に関する疫学調査はほとんど行われていない。そこで本研究は、日本人学童における血圧の実態、さらにBMI(Body Mass Index)と血圧の関連について明らかにすることを目的とした。
【方法】2006年~2008年の埼玉県伊奈町における小学4年生及び中学1年生、計2420人を対象とした。小児生活習慣病予防検診において身長、体重、血圧を測定し、血圧の判定は、日本の高血圧治療ガイドライン(JHS2004)の小児高血圧基準値に従った。本研究では、正常高値血圧または高血圧を血圧高値と定義した。
【結果】血圧高値の割合は、小学4年生の男子15.9%、女子15.8%、中学1年生の男子11.1%、女子10.8%であった。性、学年にかかわらずBMIの高い者ほど血圧高値の割合が増加する傾向を認めた(p<0.001)。血圧高値に対するオッズ比は、BMIが50パーセンタイル未満のカテゴリーと比較して、小学4年生の男子では75-84パーセンタイルのカテゴリーにおいて統計学的に有意であった(オッズ比:4.54、95%信頼区間:2.36-8.76)。また、小学4年生の女子では95パーセンタイル以上(13.29、5.93-29.77)、中学1年生の男子では85-94パーセンタイル(3.16、1.46-6.84)、中学1年生の女子では95パーセンタイル以上(7.96、3.18-19.93)において統計学的に有意なオッズ比の上昇を認めた。
【結論】本研究では、日本人学童においてBMIと血圧の関連を認めた。さらには、低いBMIの学童の中にも血圧高値の者がいることが明らかになった。
キーワード:高血圧、学童、BMI、高血圧家族歴
P408-412