Journal of Epidemiology

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日本語抄録

 

Vol.20-2

健康な未就学児における睡眠評価ツールの検討:睡眠日誌・簡易質問紙・Actigraphyの比較

岩崎瑞枝(久留米大学高次脳疾患研究所・科学技術振興機構Japan Children’s Study Group)、岩田幸子、家村明子、山下夏美、冨野泰吏、安梅勅江、山縣然太朗、岩田欧介、松石豊次郎

【背景】規則正しい睡眠習慣は、こどもの健全な発達に非常に重要な要素である。こどもの睡眠評価ツールとしては、PolysomnographyやActigraphyのような客観評価だけでなく、睡眠日誌や質問紙のような主観評価がまだまだ頻用されている。客観・主観評価によって得られる睡眠指標は、お互いによく相関することがわかっているが、それぞれの評価値の特徴やバイアスに関してはほとんどわかっていない。
【目的・方法】未就学児の両親による主観的睡眠評価(睡眠日誌と簡易質問紙)の特徴を明らかにする目的で、48人の健康な5歳児を対象に、Actigraphyを併用しながら、7日間にわたる睡眠評価を行った。
【結果】主観的評価指標は、Actigraphyによる客観指標と好相関を見せたが、両親の主観評価による睡眠時間はActigraphyよりも長く、Actigraphyで観察される5分以上の夜間覚醒の内、10%以下しか観察されなかった。睡眠日誌の方が、簡易質問紙よりもActigraphyと良く相関したが、簡易質問紙から得られる睡眠指標も、週日のActigraphyによる睡眠指標と良く相関していた。
【結論】研究の規模や目的・予算によって、主観的睡眠評価は、まだまだ利用価値の高いツールであるが、本研究で明らかにされたような、各ツールに特徴的なバイアスや傾向が理解されれば、異なるツールを用いた研究間での比較が容易になると期待される。
キーワード:actigraphy、睡眠日誌、質問紙、未就学児、睡眠習慣、主観的睡眠評価
P143-149

 
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