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Journal of Epidemiology vol.19-(3)

1)日本人における飲酒量および飲酒頻度と総死亡:JMSコホート研究

定金敦子(自治医科大学公衆衛生学教室)、後藤忠雄、石川鎮清、中村好一、萱場一則

【背景】適量の飲酒により死亡のリスクが低下するとの報告が見られている。日本人の集団における飲酒量及び飲酒頻度と総死亡との関連について検討した。
【方法】8934名(男性3444名、女性5490名)の日本人を対象とした前向きコホート研究を実施した。飲酒量などについてのベースライン調査は1992年から95年に行われた。対象者の死亡の確認は小票を閲覧して行った。解析に際しては、コックスの比例ハザードモデルを用いて、交絡因子となりうる変数を調整したうえで、飲酒と総死亡の関連について検討した。
【結果】平均12年の追跡期間中に637名(男性397名、女性240名)の死亡を確認した。男性では、飲酒しない群を基準としたハザード比は、飲酒をやめた群で1.18と軽度上昇、少量(ハザード比0.95)及び中等量(ハザード比0.91)飲酒群で軽度低下、大量飲酒群で統計学的に有意に上昇(ハザード比1.67、95%信頼区間1.10-2.55)していた。女性では、少量、中等量、大量飲酒群を現在飲酒群にまとめて解析を行った。女性の飲酒しない群を基準としたハザード比は、現在飲酒群で1.23と軽度上昇していたが、飲酒をやめた群では0.97とほぼ1に近い値を示した。喫煙状況や年齢階級別の層化解析では、大量飲酒による総死亡のリスクの上昇は、男性の喫煙者と若年男性で特に顕著であった。飲酒頻度に着目した解析では、男性の集まりの時にのみ飲酒する群で飲まない群を基準としたハザード比が1.28と最も高くなっていた。 【結論】男性では、飲酒量と総死亡においてJ型に近い関連が見られた。飲酒量と飲酒頻度それぞれが総死亡と関連していた。
キーワード:コホート研究、飲酒、死亡率、日本
P107~115

2)日本人におけるIL-1B C-31T遺伝子多型と肥満との関連

鈴木康司(藤田保健衛生大学医療科学部公衆衛生学教室)、井上 孝、柳澤昌実、木村麻美、伊藤宜則、浜島信之

【背景】近年、炎症関連遺伝子と肥満との関連が示唆されているが、IL-1β遺伝子多型と肥満との関連は明らかではない。我々はIL-B C-31T遺伝子多型と肥満との関連を調査した。
【方法】39~88歳の健診受診者802名(男性281名、女性521名)を対象として、健診時に身長、体重、ウエスト径、ヒップ径、体脂肪率を測定した。IL-1B C-31T遺伝子型はPCR-CTPP法により判定した。肥満に対する交絡要因調整オッズ比と95%信頼区間は、ロジスティック回帰分析により算出した。
【結果】IL-1B -31遺伝子のCC型をreferenceとした場合、男性では、CTおよびTT型は、体脂肪率が高いことに対するオッズ比が、それぞれ2.58(95%CI=1.17-6.34)、2.81(1.17-7.33)であった。女性では、TT型はBMIが高いことに対するオッズ比が2.13(1.25-3.67)、ウエスト径が大きいことに対するオッズ比が2.49(1.37-4.66)であった。
【結論】日本人ではIL-1B C-31T遺伝子型がTT型の人はCC型の人に比べ肥満度が高く、IL-1BC-31T遺伝子多型は肥満と関連があることが示唆された。
キーワード:インターロイキン-1β、肥満、遺伝子多型、日本人
P131~135

3)妊娠中の喫煙が、生まれてきた子どもの肥満に与える影響は、9-10歳まで継続する。

鈴木孝太(山梨大学医学部社会医学講座)、安藤大輔、佐藤美理、田中太一郎、近藤尚己、山縣然太朗

【背景】われわれは以前に、喫煙を含む母親の妊娠中の生活習慣が、5歳児の肥満と関連することを報告した。今回は、その関連が9-10歳(小学校4年生)まで継続しているかどうかを検討することを目的とした。
【方法】対象者は、1991年4月1日から1999年3月31日までの期間に出生した子どもとその母親である。従属変数は5歳児および9-10歳児の過体重と肥満であり、これらは国際的な基準を用いて定義した。母親の妊娠初期の喫煙を独立変数とした。
【結果】調査期間中に、調査票に回答し子どもを出産した母親は1644人であった。その子どもが9-10歳となったときに1302人から身体データを収集した(追跡率:79.2%)。母親の妊娠初期の喫煙は9-10歳の子どもの肥満と関連していた(調整オッズ比,1.91;95%信頼区間,1.03-3.53)。しかしながら、点推定値は5歳児に比べて9-10歳では小さくなっていた。
【結論】われわれの結果は、母親の喫煙を含む胎内環境が、9-10歳における子どもの肥満にまで影響を及ぼし続ける可能性を示唆した。
キーワード:喫煙、妊娠、ライフスタイル、肥満、胎児期のプログラミング
P136~142