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Journal of Epidemiology vol.19-(1)

1)高尿酸血症に対する肥満と飲酒の相互作用

白石浩(今津赤十字病院リハビリテーション科)、畝博

【背景】高尿酸血症の危険因子として肥満と飲酒はよく知られている。しかし、高尿酸血症に対する肥満と飲酒の相互作用ついては明らかではない。
【方法】高尿酸血症に対する肥満と飲酒の関連について、血清尿酸値が6.0mg/dL未満の5348名を対照群、高尿酸血症(7.0mg/dL以上)の3028名を症例群としてロジスティック回帰分析を用いて解析した。対象者を肥満についてはBMIが25以上を肥満者、25未満を非肥満者の2群に、飲酒については、非飲酒、1合未満/日、1合~2合未満/日、2合~3合未満/日、3合以上/日の5群にそれぞれ分け、10組の肥満と飲酒の組み合わせを作り、高尿酸血症に対する肥満と飲酒の相互作用について検討した。
【結果】非肥満(BMI25未満)・非飲酒群をreferenceとした場合、高尿酸血症に対する非肥満・飲酒1合未満/日群のオッズ比は1.80、非肥満・飲酒1合~2合未満/日群は2.15、非肥満・飲酒2合~3合未満/日群は2.60、非肥満・飲酒3合以上/日群は2.56、肥満(BMI25以上)・非飲酒群は4.40、肥満・飲酒1合未満/日群は5.74、肥満・飲酒1合~2合未満/日群は6.57、肥満・飲酒2合~3合未満/日群は5.55、肥満・飲酒3合以上/日群は7.77であった。高尿酸血症に対する肥満と飲酒の相互作用には有意差が認められた。
【結論】本研究の結果、高尿酸血症に対する肥満と飲酒の相互作用は相乗的ではなく、相加的であることが示唆された。
キーワード:飲酒、疫学、高尿酸血症、相互作用、肥満
P12~16

2)身体活動と総死亡:JMSコホート研究

早坂信哉(浜松医科大学健康社会医学講座)、柴田陽介、石川鎮清、萱場一則、後藤忠雄、野田龍也、村田千代栄、山田友世、後藤康彰、中村好一、尾島俊之、JMSコホート研究グループ

【背景】日本では2008年4月に特定健診・特定保健指導が政府によって導入され、身体活動を増やすように勧められているところである。しかし、アジアにおいて一般住民を対象とした身体活動の増加による健康への効果の調査研究は少ない。我々は日本の多地域における住民を対象として身体活動度との総死亡率関係を検討した。
【方法】JMSコホート研究は日本の12地区の一般住民を対象として行われた。ベースラインデータは1992年4月から1995年7月にかけて、4222人の男と6609人の女から収集された(平均年齢は男54.8歳、女55.0歳)。調査対象者の平均追跡期間は11.9年だった。身体活動度と総死亡率の関連を検討するため身体活動度別に1000人年あたりの粗死亡率を求め、さらにCoxの比例ハザードモデルを用いて年齢、地区を調整したハザード比とその95%信頼区間を求めた。対象者の身体活動度はphysical activity index (PAI) を用いて4分位で群分した。最も身体活動度の低い群(1群目)をハザード比を求めるにあたっての参照群とした。
【結果】男では3群目において、95名の死亡で粗死亡率は7.6と最も低い死亡率を観察し、ハザード比は0.59(95%信頼区間0.45-0.76)であった。死亡率は逆Jカーブを示していた。女では最も身体活動度の高い群において、69名の死亡で粗死亡率は3.5と最も低い死亡率を観察し、ハザード比は0.81(95%信頼区間0.58-1.12)であった。
【結論】本研究の結果は日本人において身体活動度の高さは総死亡の低下と関連があることを示唆している。
キーワード:総死亡、コホート研究、日本、身体活動
P24~27

3)我が国におけるスモン患者のADL、生活機能と生活満足度について

亀井哲也(藤田保健衛生大学短期大学医療情報技術科)、橋本修二、川戸美由紀、世古留美、氏平高敏、小長谷正明、松岡幸彦

【背景】スモン患者は多くの重篤な神経症状を有し、それらが低ADLに影響している。一方、生活機能や生活満足度との関連は報告されていない。
【方法】我が国において、スモンに関する調査研究班による2004~2006年の検診を受診した55~94歳のスモン患者1300人のデータを解析した。神経症状としては視覚障害、歩行障害、下肢症状と感覚症状とし、重症度で区分した。ADL、生活機能と生活満足度の測定にはそれぞれBarthel Index、老研式活動能力指標と「生活に満足していますか」という質問を用いた。これらのスコア(順序データ)を従属変数とする比例オッズモデルを解析に用いた。
【結果】ほとんどの神経症状では、重度と中等度の者はほぼ正常の者に比べて、ADL、生活機能と生活満足度のスコアが有意に低かった。生活満足度に対する生活機能のオッズ比は、性、年齢とADLを調整しても有意であった。
【結論】スモン患者において、神経症状はADLとともに、生活機能と生活満足度に関連していた。生活機能の向上によって生活満足度が改善することが示唆された。
キーワード:スモン、ADL、生活機能、生活満足度
P28~33