Journal of Epidemiology

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日本語抄録

 

Vol.17-6

1999年と2004年における原発性胆汁性肝硬変の臨床像比較:特定疾患医療受給者証交付申請時の臨床調査個人票データの活用
Comparison of the clinical features of Japanese patients with primary biliary cirrhosis in 1999 and 2004: utilization of clinical data when patients applied to receive public financial aid

坂内文男(札幌医科大学医学部公衆衛生学講座)、大浦麻絵、大西浩文、森満
【背景】アジア諸国からの原発性胆汁性肝硬変(PBC)に関する報告はまだ少ない。そこで、今回、我々は本邦における2時点でのPBC臨床像の比較を行った。
【対象と方法】1999年度と5年後の2004年度に特定疾患医療受給者証の交付を受けた症候性PBC患者数は各々9,761人と13,142人であった。これらの症例の内、両年度とも同一地域に居住していた2,127人(1999年度)と6,423人(2004年度)を対象として、性別、年齢、身体所見、生化学データについて集計し臨床像の比較を行った。
【結果】男/女比は両年度とも0.13であった。年齢中央値は1999年度が59歳、2004年度は63歳と有意に上昇していた。また、黄疸と食道静脈瘤の頻度は2004年度の方が少なく、総ビリルビン値、γGTP、総コレステロール値、血清IgM値も2004年度の方が低かった。一方、抗ミトコンドリア抗体(AMA)陽性率 は1999年度の方が高かった。シェーグレン症候群、慢性関節リウマチ、慢性甲状腺炎の合併頻度は2004年度で高かった。
【結論】2004年度では1999年度に比較して、年齢中央値の上昇、臨床検査値の低下がみられた。このことは、比較的予後良好な患者が蓄積されつつあり、また、治療における医学的進歩も関与していることが推測された。
キーワード:原発性胆汁性肝硬変(PBC)、特定疾患医療受給、臨床像、抗ミトコンドリア抗体(AMA)
(P210~214)

 
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