理事長挨拶
第12代 日本疫学会 理事長 ご挨拶
北海道大学大学院 医学研究院
社会医学分野 公衆衛生学教室
教授
玉腰 暁子
今年初めの総会で、祖父江友孝前理事長から理事長のバトンを受け継ぎました。疫学は、新型コロナウイルス感染症拡大以来、これまでに増して社会に注目される学問領域となっています。私にとっても疫学は自身の研究の中核を構成する学問です。今回、このような大役を仰せつかり、身の引き締まる思いでおります。
学会の役割として、様々な立場の研究者が集い、自由に意見交換ができること、さらにはそれが好循環を生み出すことが重要であると思います。疫学の性質上、この学会に集う研究者も多様で、予防、臨床、看護、介護の分野のみならず、栄養や運動、理論・統計学、また広く心理学、社会科学、政策学等の文化系の学問や実践の分野に亘っています。一次予防、二次予防、三次予防の各段階が、体質や環境、生活習慣等の観点から取り扱われますので、共通した研究基盤の充実、質の高い研究者の育成と交流が求められていると考えます。一方で、人を対象とする以上、社会倫理的な側面を抜きに疫学研究を行うことはできません。対象者集団との対話を通じて研究への理解を促すとともに、研究成果を地域に還元し施策に反映させることが重要となっています。そのためには、学問成果の発出にとどまらず産官民と連携した実装も求められますが、疫学会の果たすべき役割は何かを常に考えながら一歩ずつ進んでいきたいと存じます。
2018年に10年後のあるべき姿を見据えて公表された将来構想検討委員会の報告(活動方針)に基づき、今期はこれまでの体制を大きく変えない形で運営していく所存です。とはいえ、社会情勢も大きく変化し、先に書きましたように社会から疫学への注目・期待も大きくなっています。そこで、これまで会員の皆さまが積み上げてきた研究や新型コロナウイルス感染症対策をはじめとした喫緊に求められる研究、そしてそれらの実践を堅実に進めていくために、新たに学術委員会を発足させました。さらに今期は、報告書に示された指標に基づき中間的な評価を行い、必要に応じて体制等も見直していきたいと考えています。事務局体制については、2013年に東京に固定化され安定してきていますので、今期はこれまで理事長の所属から選出していた事務局長を東京医科大学の菊池宏幸先生にお願いしました。副理事長は前体制と同様2名とし、国立がん研究センター井上真奈美先生、富山大学関根道和先生にお願いしています。
現状では会員の皆さまに直接ご挨拶することができませんが、どうぞ疫学のさらなる発展のため、お力添えくださいますようよろしくお願いいたします。
令和4(2022)年3月
歴代理事長一覧
代 | 在任期間 | 氏名(敬称略) |
12 | 2022年1月~2024年1月 | 玉腰 暁子 ご挨拶 |
11 10 |
2020年2月~2022年1月 2018年1月~2020年2月 |
祖父江 友孝 ご挨拶 |
9 | 2015年12月~2018年1月 | 磯 博康 ご挨拶 |
8 | 2013年1月~2015年11月 | 磯 博康 ご挨拶 ご挨拶(ニュースレター) |
7 | 2010年1月~2013年1月 | 秋葉 澄伯 ご挨拶(ニュースレター) |
6 | 2007年1月~2010年1月 | 児玉 和紀 ご挨拶(ニュースレター) |
5 | 2004年1月~2007年1月 | 吉村 健清 ご挨拶(ニュースレター) |
4 | 2001年1月~2004年1月 | 能勢 隆之 |
3 | 1998年1月~2001年1月 | 田中 平三 |
2 | 1995年1月~1998年1月 | 柳川 洋 |
1 | 1992年1月~1995年1月 | 廣畑 富雄 |