公式表明(提言等)

日本疫学会は、新型コロナウイルス感染症への対応に関して、疫学的観点から提案、意見等を表明しています。

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 4学会連名による「感染症対策のためのデータ収集システムの構築と利活用に関する要望書」

4学会連名による「感染症対策のためのデータ収集システムの構築と利活用に関する要望書」

内閣府特命担当大臣    西村 康稔様
厚生労働大臣             加藤 勝信様

2020年7月2日

日本疫学会 理事長             祖父江友孝
日本公衆衛生学会 理事長     磯 博康
日本感染症学会 理事長          舘田一博
日本環境感染学会 理事長       吉田正樹

感染症対策のためのデータ収集システムの構築と利活用に関する要望書

今回の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対しては、患者数を日々把握し、それに基づくその後の患者/重症者・死亡者数の予測、感染が生じやすい場所の共通項の特定など、これまで以上にデータに基づいた対策の呼びかけと実践が行われたことは大いなる成果であり、今後の国内の感染症対策の新しい第一歩を踏み出したと考えます。内閣官房及び厚生労働省の担当者、また専門家会議メンバーをはじめとする関係の皆さまの献身的なご尽力にも大いに敬意を表します。

一方で、情報を解析し有効に活用するためには、国レベルで正しいデータが蓄積されるとともにその情報が複数の視点、技術等により解析されたうえで議論に基づいて公表され、講じられた対策が事後検証されることが重要と考えます。日単位で感染が広がるため、タイムリーに、容易に、正確に情報が収集されることが必要であり、また、感染者数のみならず、クラスター対策のために患者の感染経路、濃厚接触者の特定と管理、中等症・重症患者の適切な管理のために病院・病床の占有状況の把握や連携体制の構築など、求められる情報も多岐にわたります。しかし、これまでのところ、必ずしもその情報は一元的に、迅速かつ有効に収集されたとは言い難く、保健所、自治体、都道府県、専門家等がそれぞれの工夫や努力を重ねて対応し、また中央ではその情報を個別に多くの人手を割いて収集・入力・分析せざるを得なかったと聞いております。

そのため、再度の流行が高い確率で予測されているCOVID-19に対して、今こそ、データを正確かつ迅速に収集する手段と、それを保健所、医療機関、行政機関、大学等の人材が協働で解析、結果を共有し、対策に反映するための体制づくりが必要と考えます。現在、厚生労働省において新型コロナウイルス感染症医療機関等情報支援システム(G-MIS)、新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)の運用が始まっていますが、登録、利用いずれの面からもまだ十分に使われるには至っていません。これらのシステムを有効に活用し、より実効性の高い、検証可能な対策の立案と実行につなげるために、以下の2点を強く要望いたします。

  1. 保健所、医療機関、行政機関等の現場の負担を軽減するとともに、各部署の担当者が正確な情報を 収集し、タイムリーに共有できるシステムを、現場の声を反映する形で構築すること。
  2. 構築されたシステムで収集された情報を解析し、迅速かつ効果的に各部署での対策に還元するための、データの利活用を実現すること。

私どもは、保健所、医療機関、行政機関等において、データのマネジメント並びに分析能力を備え、科学的根拠と現場の状況に基づいた感染症対策の立案や遂行ができる人材の育成に尽力すると共に、感染症拡大の際には、保健所、医療機関、行政機関等からの依頼に応じて、人的・技術的支援を積極的に行う所存です。