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学会長挨拶

第26回日本疫学会学術総会開催にあたって



第26回日本疫学会学術総会会長
鳥取大学医学部医学科社会医学講座健康政策医学分野
教授 黒沢 洋一
この度、第26回日本疫学会学術総会を平成28年1月21日(木)~1月23日(土)の3日間、鳥取県米子市の米子コンベンションセンターで開催させていただくことになりました。今回の開催地である米子市は、平成12年に第10回日本疫学会学術総会が開催されて以来、16年ぶりの開催地となります。米子市は、陸路では高速道路や鉄道が整備されている便利なアクセス環境から、山陰の玄関口と呼ばれる交流のまちです。また、「伯耆富士」とも呼ばれる国立公園大山、北に日本海、そして西には汽水湖として日本で2番目の大きさを誇り、ラムサール条約にも登録されている中海があり、豊かな自然に囲まれています。少し足を延ばせば、水都松江、神話の出雲大社があります。また、境港は国内3位の水揚高で、年間を通じて新鮮な海の幸が満喫できます。
さて、本学術総会のテーマは「環境と健康・疫学の挑戦」としました。我が国の高度経済成長期に住民に大きな被害をもたらした公害、地球温暖化などの地球規模の環境問題、最近では、放射能汚染、PM2.5、エボラ出血熱など「環境と健康」に関する問題に、私たちは絶えず直面しています。いうまでもなく、環境には社会環境もふくまれ、健康に関する社会資本や医療政策の重要性が認識されるようになりました。それらの「環境と健康」の問題に、疫学は果敢に挑戦し続けています。私の所属する教室でも公害で問題となったカドミウム、ヒ素などの重金属の健康影響、職場環境では振動工具の健康影響の研究を行っていました。最近では、グローバルCOEプログラム「乾燥地科学拠点の世界展開(文部科学省)」をきっかけに、乾燥地由来の黄砂の健康影響に関する研究、さらに、環境省の疫学調査「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」に参加し、黄砂を含めた環境要因が子どもたちの成長・発達にどのような影響を与えるのかを明らかにするための疫学調査を行っています。個人的に振り返っても、「環境と健康」に関する問題に対してささやかな挑戦を行ってきたのではないかと思います。
本学術総会が、古くて新しい「環境と健康」をテーマに最近の知見を報告し合い、新たな疫学の挑戦を促す契機となることを祈念しつつ、多くの会員の方々のご参加をお待ちしております。