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Journal of Epidemiology編集委員会より


Journal of Epidemiology編集委員長 中村 好一


 皆さん,こん○○は。Journal of Epidemiologyの鬼の編集委員長,中村です。「鬼」というのは論文の採択率の低さ(約50%,rejectした論文を公開できないのが残念です)や厳しい査読の取り立てに由来しています。ある疫学者の集まった会合で,一人の編集委員から「この中に先生を恨んでいるのは一杯いるよね」と言われましたが,rejectは編集委員全員の責任です。恨むのであれば全員を恨んでください。

 今から3年半ほど前,能勢隆之前理事長(この4月より鳥取大学の学長に就任されます)より編集委員長のお話があり,2002年1月より編集委員長をお引き受けしています。昨年末で3年の任期を終えましたが,吉村健清理事長より「もう1期」というお話を頂き,あと3年間,務めさせていただきます(セクハラで大学を馘になるとか,鬱病で措置入院するとかいった事態がない限り)。
 再任に当たっては,「現在の編集委員が全員再任を引き受けてくれるならば」という条件を出しました。そしてこのことを編集委員会に図り(謀り?)ましたところ,全員の編集委員が快く(本当かね?)引き受けてくださいましたので,もう3年務めざるを得ない状態となりました。幸いなことに投稿数が増え,編集委員会の負担も増えてきたので,次の6人の先生に新たに編集委員として加わっていただくことになりました(名前のアルファベット順,敬称略)。

    林 朝茂 (大阪市立大学大学院医学研究科都市医学大講座産業医学分野)
    溝上 哲也 (九州大学大学院医学研究院社会環境医学講座予防医学分野)
    永田 知里 (岐阜大学大学院医学研究科疫学・予防医学分野)
    新開 省二 (東京都老人総合研究所地域保健研究グループ)
    曽根 智史 (国立保健医療科学院公衆衛生政策部)
    谷原 真一 (島根大学医学部環境保健医学講座公衆衛生学)
 編集委員長から「編集委員に」という電話を受けたときに,これほど大変な仕事とは知らずに安易に引き受けた先生方は,「これは大変なことになった」とそろそろ気付いたようです(いつもの騙しのテクニックです)。昨年末にメーリングリストの5000番をうれしがりの編集委員長がゲットして以来,1月20日現在で5200番,1日平均(休みの日も含めて)10通のメールが行き交っていることになります。ただしこの数字はこの間に新規投稿がなかったので,通常よりも少ないものとなっています。これだけ見てもいかに大変な作業かおわかりいただけると思います。
 1月の理事会・評議員会・総会でも報告しましたが,現在,第1回投稿の受付から著者への返却までの期間が平均,中央値共に25日となっています。これもひとえに編集委員の涙ぐましい努力と,前述の厳しい査読結果の取り立てに査読者が応えていただいているという点に立脚しています。昨年10月頃より迅速化と送料節減のために電子メールによる査読依頼を試行し始めました(というよりも,すでにほとんどの査読依頼がメールによるものとなっています)。「JE編集委員会<>」からのメールはジャンクメールとは思わずに,開けて迅速な対応をお願いします(翌々日までに返事がない場合には別の人に依頼するようにしています)。
 現在,雑誌の電子ジャーナル化を進めています。独立行政法人科学技術振興機構(旧科学技術振興事業団)(http://www.jst.go.jp/http://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja)で無料のサーバー提供があり,これを利用します。Medlineとのクロスリンクなどもあり,電子ジャーナル化により,

という,好ましい循環が発生すると信じています(妄想だったりして)。3月か4月頃に昨年の14巻からアップしますので,一度ご覧ください(雑誌の論文が無料で読めるからといって,学会を退会しないでください (^o^))。
 新たに投稿を考えている方にお願いがあります。投稿規定(雑誌の各号に掲載していますし,日本語訳を学会のウェブページで公開しています)をよく読んでください。加えて,ウェブページには初心者向けの投稿の際の心得を示していますので,これも参考にしてください。昨年からあちこちで言ってまわっていますが,「編集委員会は神様であり,人間でもある」ということは,実は非常に大きなことです。論文の採否についてのすべての権限と責任を負っているという点では神様ですが,投稿規定や業界の慣例を無視した論文については,時にムッとすることがある(編集委員長だけかもしれませんが)のは人間です。特に論文の形式について投稿規定を無視したようなものは,「他の雑誌でrejectされたものをそのままJournal of Epidemiologyに再投稿してきたものかな?」と下種の勘ぐりにより,評価が厳しくなることもあります(このことは論文作成の指南書にも記載されています。「下種の勘ぐり」とは書かれていませんが)。
 私自身は編集委員長の任期の折り返し点を過ぎたと考えています(昨年12月31日がちょうど中間点でした)。人生もおそらく中間点を越したことだし,もう3年,気持ちを新たにして頑張ろう(頑張って編集委員をこき使おう)と考えています。質の高い論文の投稿をお待ちいたします。最後になりましたが,日頃からこき使われている編集委員の先生方にはこの場を借りて御礼申し上げます。


1月22日,年1回[七夕みたいだな]の顔を合わせる編集委員会にて