日本疫学会奨励賞を受賞して

介護負担研究における疫学的手法の普及に
一層の精進


国立長寿医療センター研究所長寿看護介護研究室
(旧 看護介護心理研究室)
荒井 由美子


 この度,このような栄誉ある賞を頂けることになりまして身に余る光栄に存じますとともに,日本疫学会奨励賞選考委員会の諸先生方に深謝いたします。

 私は,医学部学生時代から,患者様を介護するご家族の抱える負担に関心をもっておりまして,当初からこのようなテーマでの研究活動・実践活動に従事いたしたいと思っておりました。卒後研修を精神科で行った後,エジンバラ大学医学部公衆衛生学科,次いでリーズ大学医療行政学科修士課程に留学し,両大学それぞれにおいて修士号を取得いたしました。帰国後,母校,東北大学医学部公衆衛生学講座に入局させて頂き,公衆衛生学・疫学研究に関する本格的なご指導を頂くことができました。その際にご指導賜りました久道茂先生(現・東北大学名誉教授),深尾彰先生(現・山形大学医学部教授),辻一郎先生(現・東北大学大学院医学系研究科教授)に,この場をお借りいたしまして,厚く御礼申し上げます。

 母校の公衆衛生学講座の先生方,疫学・公衆衛生学ならびに老年医学関係の先生方からのご指導を頂き,学生時代から関心を持ち続けてきた"介護負担"というテーマの研究を現在に至るまで続けることができておりますことは,大変有り難いことであると,真摯に受けとめております。これからは,介護者の負担を軽減するにはどのような施策があるのかを具体的に提言していけるような研究にも取り組むことができればと考えております。

 今後,看護・介護および老年医学をはじめとする様々な研究分野において,疫学的な手法がますます有用になるものと考えております。私自身も,疫学セミナーに参加させて頂いて以来,僭越ながら,介護負担研究における疫学的手法の応用と普及に腐心して参りました。

 今回の受賞を励みに,さらに精進して参りたいと存じますので,今後とも,ご指導,ご鞭撻を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。