日本疫学会奨励賞を受賞して

社会に受け入れられる研究を目指して


名古屋大学大学院医学系研究科予防医学
/医学推計・判断学 玉腰 暁子


 この度は,日本疫学会奨励賞をいただき,大変名誉に感じております。

 受賞の理由のひとつである,文部科学省が助成する大規模コホート研究(JACC Study)は先々代の青木國雄教授が,多くの研究者と協力し開始したものです。大野良之教授の後,それを引き継ぎ,15年近く経過したコホートから,今多くの研究成果が公表されつつあります。研究班に名前を連ねる先生だけでも30名に上る大きな研究班ですが,さらにそれぞれの先生の下で多くの先生方が疾病の発生や死亡に関連する要因を検討くださっています。私自身はまったく微力ですが,コホート研究というのはこのように多くの研究者が知恵と力を出し合い,そして何より多くの対象者の方の協力を得て,長い年月をかけて成果が出てくるものだということを実感しております。この場をお借りして,関係の方々の日頃のご厚情に御礼申し上げます。

 また,疫学研究に関わる中で,対象者の方達の理解と協力がなければ,何もできないということを感じ,そのためには何をすればよいのだろうかと考えるようになりました。疫学会の若手の集いを基盤に同じような問題意識を持つ仲間が集まり,手探りに近い状態で6年間に渡り社会と疫学の関係を様々な方面から検討してきました(http://www.jichi.ac.jp/ethics/)こともまた,今回評価いただいたと受け止めております。まだ発展途上の研究ではありますが,仲間に感謝すると同時に,今後も研究と社会とのよりよい関係作りのために何ができるのかを考えていきたいと気持ちを新たにしております。

 どうぞ,今後ともよろしくご指導・ご鞭撻くださいますようお願い申し上げます。