第二に疫学の教育システムの強化である。現在,国内でまとまった疫学のコースとしては,学会の疫学セミナー,循環器セミナー,日英セミナー,産業医学基本講座での疫学といくつかあるが,受講者の多様なニーズを満足させられるような数ではない。残念ながら,今は国外のいろんなコースで疫学のトレーニングを受ける方が効率的と考えられている。しかし,それでは多くの保健専門職や医学研究者の人達に疫学の考え方が普及しない。米国では,高校で疫学の教育を取り入れ,その重要性を理解させようとしている。
そこで,疫学会では,疫学の考え方の普及を目指して,どのようなシステムを考えればよいか検討したい。さらには,疫学の初級,中級,上級コースへと発展できれば嬉しいことである。このようなコースは,School of Public Healthのような教育システムができないとなかなか実現しないかもしれないが,疫学会でもできることから考えたい。
以上二つが私の課題と考えている。
最後にこれからの疫学,疫学会に向けて学会員各位が積極的に意見や提言を寄せていただき,刺激的な疫学会になることを期待している。