学会報告


「第37回日本循環器管理協議会総会・
日本循環器病予防学会」報告


第37回日本循環器管理協議会総会
日本循環器病予防学会事務局長
 吉池 信男


 去る5月29,30日に,田中平三先生を学会長として,第37回日本循環器管理協議会総会・日本循環器病予防学会が,国立健康・栄養研究所において開催されました。昨年の本学会は,大阪で第5回国際循環器病予防会議との同時開催でしたが,今回は"通常"の形での開催となり,2日間で延べ約230名の参加がありました。
 国立健康・栄養研究所での開催ということから,メーンテーマを「栄養・食生活と循環器疾患予防」とし,そのテーマに関連したシンポジウムや31日の「第67回生活習慣病予防講演会」を行いました。シンポジウムT「循環器疾患予防のための新しい栄養素,非栄養素成分」(座長:佐藤眞一先生,吉池)では,食品科学,臨床栄養学,疫学の専門の先生方をお迎えして活発な討論,問題提起がなされました。特に,"ヒト"の実生活に近い場で行われる疫学研究等において,食品・栄養学の基礎的な研究から得られた各種指標を積極的に採り入れる等,より学際的な研究を行う必要性が確認されました。また,会長講演では,「2000年循環器疾患基礎調査成績の概要」が報告されるとともに,特別講演には,磯博康先生をお迎えして「脳卒中と虚血性心疾患の新しい危険因子」についてたいへんわかりやすい解説をいただきました。
 教育講演Tでは,水嶋春朔先生にコーディネーター及び座長をお願いし,折笠秀樹先生に「系統的レビューとメタアナリシスの実際」についてご講演いただくとともに,「系統的レビューとメタアナリシスの結果を誰が享受すべきか?」という指定発言を設け,"ユーザー"側からの視点を加えた構成といたしました。また,教育講演U(座長:久代登志男先生)では,東京医科大学の山科章先生に「循環器病の新しい診断法(画像診断を中心に)」と題して,最新の情報をたいへんビジュアルでわかりやすくお話いただきました。
 シンポジウムUでは,田辺直仁先生にコーディネーターをお願いし「高コレステロール血症における保健と医療の境目は?−循環器病予防対策にかかわる"ガイドライン"を考える−」という題目で,公衆衛生(疫学),臨床,医療経済を専門とする6名の演者からの講演の後に,それぞれの立場や考え方の違いを明確にするために,総合討論の中で実際の"症例"に対する"対処(治療)方針"を具体的に示してもらいました。たいへん進行が難しいテーマにもかかわらず,座長の児玉和紀先生,板倉弘重先生の好リードによりたいへん活発かつ有意義な議論ができたのではないかと思っております。
 今回のプログラム編成にあたっては,田中会長の強い意向で"若返り"を図るために,シンポジウム,教育講演などの演者,座長,コーディネーターや,一般演題の座長に,特に日本疫学会にも所属されている"若手〜中堅"の先生方に多くのご協力をいただきました。この場をお借りして改めて感謝申し上げます。