疫学研究に関する倫理指針の施行・健康増進法の成立と地域がん登録事業大阪府立成人病センター調査部 大島 明
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的確ながん対策を立てて評価する上で必須のがん登録事業を,プライバシー権にもとづく本人同意の原則とどのように調整し社会的承認を得るようにするかは,きわめて重大な課題である。最近のプライバシー権に対する関心の高まりの中においてこそ,地域がん登録事業の必要性に関して広く国民に理解を求め,プライバシー権と公益のバランスをどうとるかに関して議論することが必要である。「指針」策定のための委員会での議論だけにとどまらず,広く国民と議論する努力を通じてはじめて,国民の理解のもとに,多くの先進諸国と同様に,地域がん登録事業を法的裏づけのある事業として整備し,地域がん登録からの精度の高い情報をがん予防対策の政策決定の基盤として位置づけ,さらに一層公衆衛生の向上に役立てることが出来ると考える。 |