個人情報等の保護
個人情報とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるものをいい、他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。個人情報等とは、個人情報に加えて、個人に関する情報であって、死者について特定の個人を識別することができる情報を含めたものをいう*1。
疫学研究を行う上で、研究者は個人情報等の保護に努めなければいけない。そのためには、1) 研究計画に沿って、明確な目的のもと情報収集をし、不必要な情報は収集しない、2) 個人情報等にアクセスできる人数を制限、施錠したキャビネットに個人情報を保管する等の徹底した情報管理を行う、3) 不要となった個人データを消去することが必要である。
しかし個人情報等の保護は調査方法によっては調査の回収率に影響を与える。ある病院外来患者の内視鏡検査への満足度に関する質問紙調査の回収率を郵送、電話、ネットの3種類の方法で比較を行った。結果、ネットによる回収率が34%と郵送や電話によるそれの約1/2であった。*2。
*1. 文部科学省、厚生労働省:人を対象とする医学系研究に関する倫理指針. 平成26年12月22日
*2. Gavin C.Harewood, Maurits J Wiersema, Miet C. de Groen. Utility of Web-Based Assessment of Patient Satisfaction With Endoscopy. Am J Gastroenterol. 2003 ; 98(5) : 1016-21.
「鷲尾昌一:はじめて学ぶやさしい疫学(日本疫学会監修), 改訂第2版, p101-110, 2010, 南江堂」より許諾を得て抜粋し転載.