倫理指針
倫理指針は、人を対象とする医学系研究に携わる全ての関係者が遵守すべき事項を定めることにより、人間の尊厳及び人権が守られ、研究の適正な推進が図られるようにすることを目的としている*1。さらに全ての関係者が基本方針としてこの指針を遵守すべきこととして以下を掲げている*1。
- 社会的及び学術的な意義を有する研究の実施
- 研究分野の特性に応じた科学的合理性の確保
- 研究対象者への負担並びに予測されるリスク及び利益の総合的評価
- 独立かつ公正な立場に立った倫理審査委員会による審査
- 事前の十分な説明及び研究対象者の自由意思による同意
- 社会的に弱い立場にある者への特別な配慮
- 個人情報等の保護
- 研究の質及び透明性の確保
日本疫学会の「疫学研究を実施するにあたっての倫理宣言」では、疫学研究が備えておくべき倫理的条件として、1) 真理の追究を目的とした研究であること、2) 対象者の人権を尊重した研究であること、3) 目的を達成するために最も適切な方法を用いた研究であること、4)社会規範に反しない研究であること、5) 常に社会に開かれた研究であること、の5つをあげている。
*1. 文部科学省、厚生労働省:人を対象とする医学系研究に関する倫理指針. 平成26年12月22日
「鷲尾昌一:はじめて学ぶやさしい疫学(日本疫学会監修), 改訂第2版, p101-110, 2010, 南江堂」より許諾を得て抜粋し転載.