母集団と標本

母集団とは研究対象としている個体の全体集合であり, 標本とは母集団から選び出された調査可能な集団を指す. 疫学的により正確な調査を行うには標本は母集団の性質を忠実に反映し, 母集団を代表した集団でなければならない.

(例)

ある病院において患者満足度を調査する場合, 研究に同意して回答してくれた患者が必ずしもその病院で治療をうけた患者全員を代表していないことがある. すなわち, 回答をしてくれた患者は, 回答を拒否した患者に比べ若く, 軽症で, しかも性格的に頼みやすいなど偏った傾向にある可能性があるためである. こういった偏りを減らすため, 母集団から標本を抽出する際は, 研究者の主観や恣意性が介入しない無作為抽出が最も好ましいとされる.

 

「岡本和士:はじめて学ぶやさしい疫学(日本疫学会監修), 改訂第2版, p25-32, 2010, 南江堂」より許諾を得て抜粋し転載.

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