寄与危険と寄与危険割合

寄与危険

寄与危険(attributable risk, AR)は、危険因子曝露群の罹患リスクと非曝露群の罹患リスクとの差で示される(表1)。リスク差ともいう。すなわち、「危険因子の曝露によって罹患リスクがどれだけ増えたか」「危険因子に曝露されなければ罹患リスクがどれだけ減少するか(危険因子が集団に与える影響の大きさ)」を示す。公衆衛生対策で重要な指標であり、もしその要因が除去されたらどれだけ疾病を予防できるかを意味している。

表1
要 因罹 患
あり なし
曝露群 A B A+B
非曝露群 C D C+D

寄与危険割合

寄与危険割合(percent attributable risk, PAR)は、寄与危険が曝露群の罹患リスクに占める割合を示す。すなわち、「危険因子曝露群のなかで発症(罹患)したもののうち、真に曝露が影響して罹患(発症)した者は何%であるか」を示す。

例)表2より、喫煙(要因)と肺がん(罹患)の調査結果から寄与危険と寄与危険割合を算出する。

表2
要 因
(喫煙)
罹 患(肺がん)
あり なし
曝露群 A(80) B(40) A+B(120)
非曝露群 C(20) D(120) C+D(140)

この例から考えると、喫煙者を禁煙させることによって、100名のうち52名は肺がんを予防できると考えられるほか、

この例では、喫煙者で肺がんの者のうち78.6%が喫煙によって肺がんになったと考えられる。

 

「小橋 元:はじめて学ぶやさしい疫学(日本疫学会監修), 改訂第2版, p13-24, 2010, 南江堂」より許諾を得て抜粋し転載.

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