有病率と罹患率

有病率は、ある一時点において、疾病を有している人の割合である。
集団の特定の時点での健康問題の大きさをはかり、その対策を立てるなど、行政面で有用な指標である。

罹患率は、一定期間にどれだけの疾病(健康障害)者が発生したかを示す指標であり、発生率の一種である。
罹患率が上がるときには、なにかその裏に隠された原因(発生要因)がある場合が多い。したがって、罹患率は疾病と発生要因との因果関係を探る場合に有用な指標である。

※1
危険曝露人口:疾病に罹りうる危険性を持った集団
例)子宮がんの場合は女性、はしかの場合ははしかの既往歴がない者
※2
人-年法:追跡期間中に対象者が転出、死亡、拒否などで観察集団から脱落したりすることで追跡バイアスが生じる。そのため、罹患率の分母には、観察された対象者と各対象者についての観察期間を同時に考慮に入れで、人-年が用いられる。

 

罹患率と有病率との間には、平均有病期間がほぼ一定であるとき、以下の関係が成り立つ。

 

「小橋 元:はじめて学ぶやさしい疫学(日本疫学会監修), 改訂第2版, p13-24, 2010, 南江堂」より許諾を得て抜粋し転載.

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