コホート研究

調査時点で、仮説として考えられる要因を持つ集団(曝露群)と持たない集団(非曝露群)を追跡し、両群の疾病の罹患率または死亡率を比較する方法である。また、どのような要因を持つ者が、どのような疾病に罹患しやすいかを究明し、かつ因果関係の推定を行うことを目的としている。
たとえば、大量喫煙者(曝露群)と非喫煙者(非曝露群)、各々10万人について10年間追跡調査を行い、肺がんと冠動脈性心疾患に関する死亡率を得たとする。そこで、疫学の要因分析で重要な指標である相対危険を算出することにより、肺がんが喫煙との関連が強いということが判明したり、公衆衛生対策で重要な指標である寄与危険を算出することにより、集団に対する禁煙の効果が最も期待されるのは、冠動脈性心疾患であることが推測されたりする。仮想の例を下に示す。

表1

 

「阪本尚正・岡本和士:はじめて学ぶやさしい疫学(日本疫学会監修), 改訂第2版, p66-70, 2010, 南江堂」より許諾を得て抜粋し転載.

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