学会長挨拶

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第24回日本疫学会学術総会開催にあたって

第24回日本疫学会学術総会会長
東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学
教授  辻 一郎

 この度、第24回日本疫学会学術総会を仙台で開催させていただくことになりました。本学会総会のテーマは「次世代の疫学を展望する」です。その意味について、個人的感慨とともに述べさせていただきます。
 私が疫学の世界に足を踏み入れた頃、日本の疫学は一つの転換期を迎えていました。それは大規模コホート研究の創設です。1988年にJACC Studyが始まり、約11万人のコホートを立ち上げました。1990年にJPHC Studyが始まり、約14万人のコホートを立ち上げました。そして東北大学公衆衛生学分野は、1990年に宮城県コホートを、1994年に大崎国保コホート(合計で約10万人)を立ち上げました。さらに全国各地でコホートが立ち上がっていきました。
 それから四半世紀が経ち、各地のコホートは成熟期を迎え、日本発の疫学エビデンスが世界中の医学誌に多数掲載されるようになりました。大規模コホート研究の発展とともに成長できたのは、実に幸運なことであったと思っております。
 そして今、日本の疫学は新たな転換期を迎えようとしています。各地でゲノムコホートが立ち上がり、分子疫学研究が飛躍しようとしています。格差社会の到来とともに社会疫学が急速に発展し、それは健康日本21(第2次)にも反映されました。DPCやNDBなどの大規模臨床データベースを武器に、臨床疫学は新たなステージに到達しようとしています。さらにICTや統計学の進歩は、ビッグデータ解析の可能性を拡げています。
 本学術総会では、これら「次世代の疫学」とも言うべき潮流を俯瞰したうえで、新しい時代にマッチした疫学研究のあり方とその実現に向けた戦略について、参加者の方々と議論を深め、今後のアクションにつなげたいと思っております。
 本学術総会が日本の疫学研究のさらなる発展に貢献することを祈念し、多くの方々のご参加をお待ち申し上げます。

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