2016年度第3回一般社団法人日本疫学会理事会 議事録
日時 2016年(平成28年)10月28日(金)13:30-16:45
場所 グランフロント大阪 北館
ナレッジキャピタル コングレコンベンションセンター B2F ルーム5
〒530-0011 大阪府大阪市北区大深町3-1
出席者 (順不同、敬称略)理事: 磯博康、井上真奈美、尾島俊之、川上憲人、小橋元、祖父江友孝、曽根博仁、嶽崎俊郎、玉腰暁子、津金昌一郎、辻一郎、中村好一、中山健夫、松尾恵太郎、三浦克之、安田誠史、安村誠司、若井建志
監事:西信雄、横山徹爾
委任状出席者:岡村智教、小笹晃太郎
学術総会会長:山縣然太朗
禁煙推進学術ネットワーク連絡委員会委員長:片野田耕太
学会事務局: 今野弘規、西野雅子

理事会に先立ち、磯理事長より、出席者・委任状提出者を含めて理事・監事全員の出席により理事会が成立していることが確認された。


<協議事項>
1.2016年度第2回日本疫学会理事会議事録(案)について報告があり、承認された。
2.今野事務局長より、10月15日現在の収支計算書に基づいて収支報告が行われた。学術総会の収支は、法人化に伴い今後学会の収支として計上される。ジャーナル掲載料はエレゼビアへの移行により請求が遅延しており、来年度入金の予定。会誌別刷代の収入は注文減少により予算額を現状10万円以上下回っている。前年度からの科研費繰越金が230万円。支出では、オンライン投稿システム維持費として、新たに導入したAuthorship e-formの使用料3.2万円が加わった。予算時にJE編集委員会の通信連絡費に計上されていたウェブ会議のライセンス料17万円は国際情報発信強化費に、編集事務委託費に計上されていた社会保険は法定福利費に計上した。国際情報発信強化費は次年度に150万円繰越。国際化推進費としてトラベルグラント6名分60万円。委員会開催費は予算額を33万円以上上回っているので、出来るだけウェブ会議で経費削減に協力をお願いしたい。管理費支出として、会費請求に関わる通信連絡費が予算額を7万円以上上回っていた。事務局のパソコンが壊れたため消耗品費としてパソコン1台を購入。雑役務費として疫学用語特設ページ制作費6.7万円。全体としては、学術総会を除く年度末の収支差額は約150万円の見込みで、次年度への科研費繰越金が150万円であることから、現状ほぼ予定通りの運営が出来ている。なお、学術総会の収支差額約33万円は国際化基金に組み入れて使用する。

2017年度予算(案)について今野事務局長より報告があった。事業活動収入計は40,965,000円として計上した(前年度の予算は学術総会を除いて28,825,000円)。主な内訳として、普通会員会費(1,800人分)1,620万円、代議員会費(135人分)162万円、JE掲載料(80論文)500万円、学術総会940万円(第2回理事会資料より)、補助金等収入として科研費540万円(うち繰越金150万円)国際化基金からの組み入れ90万円(トラベルグラント、日韓セミナー交通費用)を計上した。
事業活動支出計事業費は、選挙に関わる支出を除き40,965,000円が見込まれた。会誌発行費は868万円で、その主な内訳として、エルゼビア出版サービス費610万円、J-STAGE登載用データ作成28万円、Supplement発行費92万円がそれぞれ新規で必要になる一方、会誌印刷(製本)費は、前年決算額(予定)274万円に対して90万円の予算で収まる。エルゼビアへの投資による掲載料値上げの効果は再来年以降となる見込み。JE編集委員会の予算は1,153万円で、その主な内訳は、事務人件費622万円(引継期間の人件費を含む、うち100万円は科研費より支出)、英文校正費270万円(うち100万円は科研費より支出)、国際情報発信強化費200万円である。総会準備金として150万円、学術総会の予算として940万円を計上した。賛助会費として新規に社会医学系専門医制度支援金20万円を計上した。学会事務局人件費の予算は405万円で事務作業の増加により補助職員の人件費を前年の50万円から100万円に増額した。予算の最終案は、今回提示されなかった選挙予算29.5万円を含めて、メール審議による承認を経て11月中に決定する。
3.選挙規定検討委員会の川上委員長より、2件の協議事項について、課題の説明と選挙規定の見直しに関する提案があった。
現細則が当該年度会費の納入を条件としていることによる選挙権・被選挙権の不公平については、当該年度会費の納入条件を「前年度会費納入」に変更するための2つの案が提示され、そのうち細則を改訂する方の案が薦められた。
海外在住の会員の選挙権・被選挙権については、所属ブロックを選び、選挙権・被選挙権を履行できるように、2つの案(①自由に選べる、②所属する国内の機関がある地域・無い場合国内の留守宅等のある地域)が提示された。それに対して他の理事らから別の案(③一番大きいブロックの所属とする、④日本の所属がある者はそのブロック・無ければ海外に行く前の住所地・それも無ければ一番大きいブロック、⑤海外に行く前の住所地)が提示された。現在海外会員は20名ほどいるが、日本人でないと代議員になれない可能性があり、確認が必要。海外会員には選挙権は有り、被選挙権は無しという方針ではどうかとの意見があった。海外会員向けに英語版の選挙規定や投票システムが必要となるとその分経費がかかる。それらは日本語でよいとの意見もあった。
4. その他の協議事項について、磯理事長より説明があった。
●社員総会は、2017年1月26日(木)13:30~14:30に開催されることが承認された。
●2017年度第1回理事会は2017年1月25日(水)18:00~20:00に開催予定。
●2019年学術総会学会長は、津金昌一郎先生で承認された。
●7月から10月にかけて承認された9件の理事会メールによる審議事項について報告があった。
●会員登録情報を委員会で利用すること、それを会員にメルマガ等を通じて周知することについて承認された。
●12月1日現在代議員である者に代議員の会費を請求することが承認された。
●会費納入時にコンビニ払いの手数料110円を誤って多く支払った場合は寄付金として処理することが承認された。
●社会医学系専門医制度化にあたり、本学会から拠出金の出し方について3つの案が提示され、「初めの3年間においてのみ20万円/年を拠出する」という案で承認された。
●JEの2017年冊子購読料を会員向け8,100円、機関向け24,000円に改定することが承認された。Supplement冊子印刷費は、会員購読分50冊の印刷費を含んだ額をSupplementを出す会員に請求することが承認された。2017年より冊子をオンデマンド印刷にすることが承認された。

<報告事項>
1. 学会事務局からの報告
今野事務局長より、学会事務局活動、旅費規程・謝金規定、代議員の繰り上げ補充、庶務報告が行われた
1) 学会事務局活動
今年5月から10月にかけて本学会ホームページのアクセス状況をみると、新規の一般向けコーナーに1,200件以上のアクセスがあり(8位)、日本語抄録も1,000件以上のアクセスがあった(10位)。「疫学研究を実施するにあたっての倫理宣言」の転載許可、「はじめて学ぶやさしい疫学」第2版の3,500部増刷依頼を行った。関連団体への対応に関して、日本医学会連合総会(6/17)の議事要旨について川上憲人理事より報告があった。

2) 法人化定着委員会が作成し、理事会のメール審議で7月に承認された旅費規程・謝金規定を8月から施行中。

3) 5月と9月に異動に伴う代議員の繰り上げ補充があった(近畿ブロック:崔仁哲先生、北海道・東北ブロック:菊谷昌浩先生)。

4)庶務報告
● 会員数(2016年10月1日現在 名誉会員:28名、代議員:138名、普通会員:1,867名(合計:2,033名 普通会員のうち2016年入会学生会員:87名、海外会員:20名)
● 年会費納入状況(2016年10月14日現在 2016年度会費の納入義務のある会員:1,918名、2016年度までの会費納入完了者:1,630名、85%)、2年以上の滞納者:31名

2.各委員会等からの報告
1) JE編集委員会
井上委員長より、JE投稿・査読状況および刊行状況に関する報告があった。AEとして、山岸良匡先生(筑波大学)、大平哲也先生(福島県立医科大学)、和田耕治先生(国立国際医療研究センター)、後藤温先生(国立がん研究センター)、頼藤貴志先生(岡山大学)、笹月静先生(国立がん研究センター)、村山洋史先生(東京大学高齢社会総合研究機構)、八谷寛先生(藤田保健衛生大学)が推薦され承認された。

2) 学術委員会
委任状出席の岡村委員長に代わり、磯理事長より、今年度のサマーセミナーの概要(受講者53名)および新規疫学会入会者が13名あったこと、来年1月の学術総会での委員会企画として「臨床医と共に臨床研究を推進する疫学」をテーマにシンポジウムを予定していることの報告があった。

3) 広報委員会
中山委員長より、ニュースレターNo.48を10月に発刊したこと、ウェブサイト「一般向けコーナー:疫学研究って何?」を新設し、疫学用語、疫学紹介スライド優秀作品、市民公開講座一覧を提供していること、第2回疫学一般向けスライドコンテストに5作品応募があり審査中であることの報告があった。

4) 法人化定着委員会
嶽崎委員長より、旅費規程・謝金規定を整備し、その後特に問題無く運用出来ているとの報告があった。会計規程・監事監査規程を作成し、承認された。

5) 選挙規定検討委員会
川上委員長より、活動状況の報告が行われた(協議事項3参照)。

6) 疫学専門家養成検討委員会
尾島委員長より、検討中の疫学専門家のレベル、疫学指導者のレベルについて説明があった。疫学指導者は「上級専門家」に変更がよいのではとの提案があった。先ずは上級専門家の具体的な基準を文章化する作業が必要である。試験に関する理事からの意見として、過去の研究に関する規定の様式によるレポート提出、「はじめて学ぶやさしい疫学」等を問題にしたペーパー試験、面接試験は必要、といった意見が出された。

7) 国際交流委員会
松尾委員長より、IEA事務局にIEA会員且つJEAの会員のリストを請求したこと、会員に対しIEAメンバーになるよう働きかけを行ったこと、今年12月2日の第53回韓国疫学会総会における第9回日韓疫学セミナーの演者として自身と山岸良匡先生(筑波大学)を選考したこと、座長は井上真奈美先生(東京大)が務め、浜島信之先生(名古屋大)も参加予定であること、学術総会のtravel grantに12名の応募があり、昨年度同様7名程度(1件10万円)の選考を行っていることが報告された。

8) 国際疫学会準備委員会
中村委員長より、来年8月19-22日に開催される第21回国際疫学会総会の準備状況について報告があった。引き続き、セミナー・共催シンポジウム・広告・寄付などの依頼をお願いしたい。

9) 医療情報・統計利用促進委員会
祖父江委員長より、委員とオブザーバーのメンバーについて報告があり、知識の標準化のための勉強を兼ねて、今年3月から10月にかけてWebEx会議を8回行い、11月にも1回行う予定であることが報告された。喫緊の課題である「医学研究等における個人情報の取り扱い等に関する合同会議」および「個人情報保護委員会」の対応があり、オブザーバーとして三浦克之先生と玉腰暁子先生に協力いただいている。

10) 倫理問題検討委員会
三浦委員長より、個人情報保護法改正に伴う要望書を今年4月13日に提出したこと、8月29日に再度の要望書を提出したこと、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の見直しに関するパブコメへの書き込みを奨励するメールを全会員に送付したこと、日本循環器学会を中心とする個人情報保護委員会への要望書への賛同について理事会承認を行ったことが報告された。

11) 倫理審査委員会(東日本、西日本)
東日本について、小橋委員長より、8月に審査受付が1件あり、差し戻し再審査後承認となったことが報告された。西日本については、審査受付は0件であった。

12) 利益相反(COI)委員会
安村委員長より、役員全116名のCOI自己申告書に関して問題が無いことを確認したこと、社会医学系6学会各学会におけるCOIマネジメントの状況がまとめられたことが報告された。

13) 学会連携推進委員会
曽根委員長より、他学会との共同シンポジウム・セミナー開催について、今後もいろいろな機会を活用して働きかけていく予定であることが報告された。事務局に連絡すれば、依頼状を出すことが可能である。疫学関連の教育セミナー・教育講演のニードは高いので、出張講演を行うとよいこと、それに関連したインターネットアンケートを本学会理事・代議員に行ったところ、33名から回答があり、非常に前向きの回答が得られたこと、学会HPなどで教育セミナー・講演の依頼養成を学会として受け付けている旨を公知する予定であることが報告された。

14) 将来構想検討委員会
玉腰委員長より、今年3回の会合を開いたこと、テーマごとに3~4名から成る10のWGを構成し、メール、スカイプ等を利用し活動中であること、学会員名簿の活用、会員向けアンケート調査の実施について、本日理事会の承認を得たことが報告された。

15) 疫学研究支援委員会
安田委員長より、7月に疫学研究支援事業への申請が1件あり、10月に研究支援者を1名紹介したこと、学会ホームページの疫学研究支援事業の説明文の改訂を学会連携推進委員会と共同で進めたことが報告された。

16) 奨励賞選考委員会
辻委員長より、2016年度の奨励賞に、黒谷佳代先生(国立国際医療研究センター)と櫻井勝先生(金沢医科大学)の2名が推薦されたことが報告され、承認された。

17) 名誉会員推薦・功労賞受賞者推薦
2016年の名誉会員は該当者なし、功労賞に黒沢洋一先生が推薦されたことが報告され、承認された。

18) 禁煙推進学術ネットワーク連絡委員会薦
片野田委員長から、6月の会議について、28加盟学会中21学会において会費(1口10万円)拠出が承認されたこと、特定健診・特定保健指導と2020年東京オリンピックに関連した要望書への本学会参加を回答したこと、たばこ産業との関係に関する加盟学会アンケートを予定していることが報告された。また、10月の会議報告の資料が提示された。さらに、喫煙の健康影響に関する疫学研究データベースの提案として、平成27年度の研究班で収集したデータでスタートする予定であること、今度の学術総会で「たばこ白書」の内容紹介のセッションが設けられる予定であることが報告された。

19) 全国公衆衛生関連学協会連絡協議会
5月9日に役員会、総会を開催したこと、8月23日にシンポジウム「住環境と健康」を開催したことが報告された。

3. 第27回日本疫学会学術総会準備状況について
山縣次期学会長より、313演題の応募があり、口演希望150演題のうち50演題を口演にしたこと、タイムスケジュールが決まったこと、デジタルポスターセッションにしたことが報告され、2つの特別講演、3つのシンポジウム、学術委員会企画シンポジウム、特別企画(国際シンポジウム、トピックス、JE編集委員会企画)、疫学セミナーの紹介があった。

4. 第28回日本疫学会学術総会準備状況について
安村次々期学会長より、前回の報告に加え、テーマを災害と疫学(仮題)にする予定であることの報告があった。


以上
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